【葬送のフリーレン】マハト「…近付けばこの男を殺す…」

アウラにもマハト並みのバックボーン欲しかったんですが…

おっさん達の関係でしか得られない栄養素がある

悪意を知ってる人間視点だと、黄金化が解けたと同時に息子を殺される親や、敵を追い詰めたと思ったら義父を殺される息子というシチュエーションを作れるけど、マハトはマジで何も分からなかったんだな

ここグリュックがゆっくり歩いて離れても攻撃する素ぶりすらなかったから本心で言ったわけではないんだろうけど
1 魔族の生存本能から心にもないことを言ってしまった
2 グリュックの「デンケンの師であり敵であれ」を最期まで忠実に守っていた
3 最後に支配の石環チャレンジをしてみた
どれなんだろうな

黄金郷編はキャラの心の機微の描き方がすごくうまいんだけど、
でもキャラ達の心情についてどういう風になってるか、俺がどこに感動してるのかさえ説明しづらい！

血塗れのマハトが黄金化が解けた民衆に心配されてるのも好き

親しいものをぶっ壊すために親しくなってから壊す実験を結局完遂できないのがまた…

黄金にならずに老いたりした被害者はいても、マハトは遂にヴァイゼの民を直接その手に掛けることは出来なかったという

マハトの魔法って効果としては相手を理解出来るまで固定、保存しておくって感じよね
人を理解したい魔王が持ってそうな魔法だなって思った
なんかおまけで金ピカに光ってるけど

…ところでマハト様はグリュック様に友情を感じておられたのですか？

マハトの殺す宣言をグリュックデンケンどころか読者すら信じていない

マハトにとって生き物を黄金化するのは殺す事と同義なのか
その辺も想像の余地があって面白いんだよな
グリュックを殺さず黄金化した意味の解釈が変わってくる

本当のところ何を望んでいたのか自分でも理解できず、でも最後までそれを得られず、最後に象徴的な物が残されるところにお労しい兄上と同種の美しさがある

フリーレン批判でマハト賛美みたいになってしまうけど、「人間を理解したい」という方向においては、マハトはフリーレンより遥かに誠実で努力家だったなと、舞踏会編を見てあらためて思う。

舞踏会におけるマハト→ダンスをはじめとして完璧に美しいマナーを習得し、おそろしく高い対人能力で舞踏会の誰からも一目置かれる存在になってのける
舞踏会におけるフリーレン→スイーツモリモリ

マハトに較べると、人間理解の努力においてはフリーレンは怠惰すぎるし、真剣さが足りない気はしている。ただ無意識に、ヒンメルと自分の思いの真実に到達することをいつまでも避けているような節もあるけど。
あと甘やかされ過ぎでもある。フリーレンも一緒にマナーやダンスの地獄レッスンを受けてこそ、貴族社交や男女交際という形の人間理解は深まっていたと思うんだよな。少なくともマハトはそれには真剣に取り組んでいた。フリーレンは「貴族社会とか男女交際とかは複雑でわかんないよ」みたいに努力を最初から放棄して怠惰に過ごしていた。
マハトの命がけの真剣さと、フリーレンの怠惰ぶりは対比になってると思う。
マハトほどの才覚の持ち主が、あれほど真剣かつ膨大な努力をして、なお人間理解に届かなかったのは残念だけど。
フリーレンが早い段階でマハトレベルの努力をしていれば、ヒンメルが中年に差しかかる頃にはヒンメルの気持ちも理解できたんじゃないかと思える。でもそうはしなかったよね。
ただ、「結婚式フリーレン」はガッツリとコルセットとかして、ちゃんとそれなりのマナーを予習してきた感があるので、「結婚式フリーレン」は舞踏会フェルンばりの特訓をしたり、相当ヒンメルのために人間理解をがんばったんだろうなあという悲しさもあるな。
「結婚式フリーレン」が現実では無いのが残念ではある。

黄金郷編は最後にマハトが腕輪の効果で死ぬか人の心を理解するのかと思わせておいて、魔族には人間の気持ちは理解できませんというオチだったのがよくできている

魔族の死に際は興味深いシチュエーションだわ
致命傷の場合もう死ぬのだから相手を欺いても意味はないし
その状況で出る言葉や行動だからそいつの真実に最も近いものになると思うんだ

美しい...これ以上の芸術作品は存在し得ないでしょう

何度も言われてる事だろうけど
「最期まで人間への悪意を持てなかった」
「最期までグリュックへの悪意を持てなかった」
のどちらなのかでまるっきり意味が違ってくるのいいよね…
結局どちらだったのかは誰にも永遠に分からないというところまで含めて

このアニメの原作再現と解釈は本当に素晴らしく、ほとんど見たことがないレベル。
ただこの回だけは、アニメ解釈と評価が大きく揺れる可能性はあるな。
私もあの台詞に関しては

「マハトが殺してきた小物の死に際のエミュをして、最後の悪意実験をやったのだろう」
「生き汚い小物ぶりは魔族の本質だろう」

のふたつの説の、どちらが正しいのがいまだに判断がつかないくらい。
ただ、自分とは解釈が違ったアニメ化でも、その件で大きく荒れなければ良いなと願っています。

マハトって白くてつるっとした綺麗な顔してるじゃない？
あれ、意図的だと思うんだよな
能面の若女　マハトがなんかうっすら笑ってるのもこれ、モチーフの一つだろ
で、ヴァイセが能舞台
で、一人で能舞台で舞ってるんじゃね(黄金化したヴァイセに籠って待ってた)
能は能役者が舞台で舞う姿に、見てる人が色んな感情を投影してみるものなんだよな
能と同じく鏡の世界だよね　フリーレンの世界って

フリーレン「その男に！人質の価値はねええええ！！」

最初読んだときは魔族の本能による鳴き声だと思ったけど、こういう考察見るとそういう見方も出来るのか！といろいろ気付けて面白いな
本当に奥深いエピソードだと思う

この出来事は後世の人間にはマハトの乱心みたいに伝わるんだろうか
ただどんな風に言い伝えられようと、マハトの真意にたどり着くことだけは絶対にないんだろうなって思う

魔族でありながら誰かに看取ってもらえて逝けたんだから
これ以上の終わりは無い

マハトが悪意や罪悪感を理解できてたとしてもこの言葉で石環が反応することはなかったんだろうなと思う
デンケンとは殺し合いしてたけどデンケンへの悪意があってやってたわけでもないっぽいし

フリーレン「来なければデンケンを殺す」
フェルン「殺しました」
ソリテール「人を殺したことなんて一度もないわ」

どんな解釈も合ってないような気がして難しい
ただここまで人間に近くなっても共存できるルートが見出せないのは確かだなって
グリュッグ治世（存命）の時なら共存できたとかでもないという絶妙な設定

本当に助からないんだなって返しがすごく好き

これはいい鳴き声

デンケンから致命の一撃を受けてから彷徨いながら「他の魔族と同じように…」とやるせない感情に翻弄され、グリュックの元にたどりついてた時に自然と心情を吐露する流れが最高に素晴らしいと思ってる

ただの魔族の鳴き声だとすると直前のヴァイゼの民に心配されてわざわざ問題ないって言ってたのが意味分からんバグ行動になるんだよね
ミステイルジーラの仕組みやソリテールの話と言い、マハトも知性で理解できないものを未知のまま感じられる領域に突っ込みかけてたんじゃないかなぁって思う
それで本人が納得出来ず理屈で完璧に理解したがるから惨事になるだけで

明確な答えがないのが良い

キャラの心理描写を曖昧にして解釈を読者に任せるという高度な手法がこれだけ成功してるの、サンデーだとマジで「タッチ」「うる星やつら」以来なんじゃないの？
真実はいつも一つなコナン君路線からの回帰というか

どう解釈しても「美しい･･･」てなるやつ