【感想】 無能なナナ 7話 ネクロマンサーの能力が思ってたよりずっと強力だった でも使い方がなってねぇ…！

ナナ「私は人殺しかもしれないが、死者をもて遊んだりはしない」

ユウカ「ふーん…。それが本性なんだ」

ユウカ「わー、怖いねー。でも大暴れしたってみんなには勝てないよ」 

ナナ「その必要はない」

ナナ「私は、夜中に見回りをしていただけだと説明する」

ユウカ「はぁ？今さら止めてよ！アタシもシンジもバッチリ見てるんだってば！アンタのやった事を」 

ナナ「シンジは死んでいる。お前が操っているだけだ」

ユウカ「生きているとみんな思っている！」

ナナ「私がお前たちの関係を話す。お前がネクロマンサーではなく、本当に怪力能力の持ち主なら、きちんと証明してもらおう。出来ないだろ？」

ナナ「するとどうなるかな？人間は真実を信じるわけではない。人を信じる」

ナナ「クラスのリーダーである私と、恋人の死体と毎晩イチャついている狂気のネクロマンサー。みんなは一体どちらの味方に付くだろうか？」

ナナ（…とはいえ、毒針は取り上げられてしまった。動機と言う防波堤はあるものの、証拠の凶器はキョウヤあたりが調べたら…）

ナナ「そこで提案なんだが…」

ナナ「お前は実はシンジが死んでいると、周りに知られたくないんだろ？まさかネクロマンサーを自称している人間が、実は操られた死体だとは誰も思わない」

ユウカ「提案って…？」

ナナ「私はその秘密を絶対に守る。そして今後、お前とシンジには手は出さない」

ユウカ「おかしいなぁ。私の方が立場的に優位なはずなんだけど？」

ナナ「もちろんタダでとは言わない。今回は私の負けだったわけだし、お詫びとしてお前が心の底では知りたがっている事を教えよう」

ユウカ「知りたがってる事？」

ナナ「ああ…。シンジが今、お前に何と囁きかけているかだよ」 

ユウカ「…っ！！」

ナナ「私は死者の声を聞くことが出来る」

ナナ（乗って来たな…）

ナナ「私の事を開放してくれれば、意識を集中して声を聞いてみるが…。どうかな？」

ナナ（今までの言動からも、ロマンチストだと読み取れる）

ナナ「聞きたくないですかー？好きだった男の子の天国からのメッセージですよ？」

ナナ「ありがとうございます！」

ナナ「ではやってみますね！」

ナナ「ん～…」

ユウカ「どうなの…？」

ナナ「ナナを殺せって言ってますね」

ユウカ「…っ！？」

シンジ「馬鹿だなぁ…、ユウカ」

シンジ「アイツの言う通りだよ。俺の声が聞きたいなら、アイツを殺せばいいじゃないか。ネクロマンシーなら、死んだ奴の能力も使えるわけだし」

ユウカ「そうだねぇ。ナナちゃん殺しちゃえばいいんだ」

ユウカ「そしたら秘密も全部守られるし～」

ナナ（思惑通り追ってきたな。ここからが勝負だ…）

シンジ「いたぞ！」

ユウカ「どこに行ったの？」

シンジ「こっちだ」

ナナ（能力者であるユウカを始末できればいいが…）

ナナ（護衛のシンジが厄介だな。先にシンジを無力化できればいいが、何か手がかりは…）

ナナ（……）

ナナ（あれはツネキチのネックレスだった。何故ユウカがあんなものを？）

ナナ（わからない…。確かめてみるか…）

ユウカ「こっちの茂みに入ったよね？」

シンジ「油断するなよ？いざったいう時の為に持って来たんだろ？」

ユウカ「うん。絶対逃がさないんだから」

ナナ「フッ…」

ナナ「オシャレなネックレスだな」

ユウカ・シンジ「っ！」

ナナ「そのペンダントには、遺骨でも入ってるのかな？」

ナナ「寝る時も身に着けているという事は、よほど大切なんだろうな」

ユウカ「ネクロマンシーにはさぁ、遺品とかまぁその人が生前触ってたものが必要なんだよね。ツネキチくんのネックレスとかもそう」

ナナ「なるほど」

ナナ「葬式が始まる前にネックレスを盗んでツネキチの死体を操り、シンジの存在をクラスにアピールしたかったのか。ツネキチも浮かばれないな」

ユウカ「あはっ、ナナちゃんに言われたくないよ」

ナナ「で、それを私に奪われてしまったらどうなるんだ？」

ユウカ「やれるものならやってみなよ」

ユウカ「さっきはこの辺から声が聞こえたよね？」

ユウカ「シンジ！！」

ナナ「うっ…！」

ユウカ「いてて…」

ユウカ「くそっ…、急がないと朝になっちゃう」

ナナ（ユウカはシンジを操作しつつ、自分の身も守らなければならない。闇に紛れながら何度も不意をつけば、問題はなさそうだ）

ナナ（ちょっと妙だな…）

ナナ（多少は跡を残してきたが、この闇の中…どうして一直線に私の元に向かって来られるんだ？）

＜ガサッ…＞

ナナ「あっ…」

ナナ「はぁ…」

ナナ「っ！！」

ナナ「何っ！？」

ナナ「っ！」

ナナ（何だ、今の！？）

ナナ「あっ…」

ユウカ「言ったじゃーん。おかしな島だなーっと思ってたんだよー」

ユウカ「アタシは能力でわかるんだけど、山の中には元々結構死体が埋まっててさー」

ユウカ「記憶を引き出してみたら、みんな酷い殺され方をしたみたいー」

ユウカ「学校の先生だった人とか、生徒の能力者もいてねー」

ユウカ「暗視っていうのかな？そんな能力もってる子もいてね、暗くてもバッチリ目が見えるんだよね」

ナナ（どういう事だ。確かに島は長い間、人類の敵の隔離施設だったようだが、能力者同士で争いでもあったのか？）

ナナ（それとも、私の前任でもいたと言うことか？しかし、そんな話は委員会からも聞いていない…）

ユウカ「怖いでしょ？シンジみたいに体を完璧に復元してあげてもよかったんだけどさー」

ユウカ「さあ、追いかけっこしようか」

ナナ（今は余計な事を考えている場合ではない！）

ナナ「はぁ…。そういえばユウカのベッドの下には、ツネキチのネックレスの他にも妙な小物が散乱していたな…」

ナナ「あれがまさか、ゾンビ共の持ち物だったとは」

ナナ（どうしたものか…。向こうの視界は良好で、しかもあれだけの数だ）

ナナ（ユウカを襲うのは不可能に近い…）

ナナ「くそっ！」

ユウカ「おー！しぶといねー！」

ナナ「どうにか撒いたようだな」

ナナ「捨て置かれた山小屋か…」

ナナ「壊れてる…」

ナナ「となると…、小屋のカギは外からの鍵だけか」

ナナ（シンジは日中、学校に出ないという。そして一度忍び込んだ時も部屋は異様な程、暗かった）

ナナ（薄い根拠だ。元々人類の敵の超自然的な能力を、論理的に説明できるわけがない。確証はないが、朝日が昇るまで逃げ隠れる事が出来れば、あるいは…）

ナナ（逃げ隠れるだとっ！？）

ナナ（あってはならない！私の敗北は即ち、能力者による無能力者の支配を認めるという事だ）

ナナ（確証がないなら、逃げずに確証を得なければ！）

ナナ「よしっ」

ユウカ「み～つけた」

ナナ「っ！」

ユウカ「ふーん、立てこもろうとしたってわけね。まるでゾンビ映画みたい」

ユウカ「ねぇ、ナナちゃん。シンジにしてみたら、こんなの藁の家みたいなもんだよ？」

ナナ「じゃあ、入ってきたらどうだ？」

ユウカ「何か企んでるって事だねー？」

ユウカ「どうしようかなー？そろそろ朝なんだよねー」

ユウカ「ナナちゃんに何かされてシンジが傷ついたら嫌だしねー」

ナナ「朝がマズいのか？なら急いだ方がいいんじゃないのか？」

ユウカ「ベッドの下、見なかったの？」

ナナ「！！」

ユウカ「もう襲ってるよ？」

ナナ「うわぁあああああああっ！！」

ナナ「…？」

ユウカ「あらら。間に合わなかったかー」

ナナ「日光か…」

ユウカ「そうそう。全く光を届かないようにしておけば、ちょっとは動けるし感覚も共有できるんだけどさー」

ユウカ「やるじゃん。普通必死に来るねってところを逆に急いだ方がいいとか言うあたり、根性座ってるねー。おかげで警戒しちゃったよ」

ナナ「かかってこないのか？私は満身創痍。鍵は開いているぞ？」

ユウカ「この状況でかかっていくわけないじゃん」

ナナ「あ…、くっ…」

ユウカ「今は守ってくれる人はいないんだもん。ここにナナちゃんを閉じ込めてさ、また夜を待つのが確実じゃない？」

ユウカ「脱出に役立ちそうな工具は全部外にあるよ？小屋を補強しようと頑張ったんだろうけど、裏目に出ちゃったね」

ナナ「っ！！」

ユウカ「あはは！帰ってお風呂入って学校いこーっと」

ナナ「クッソォォォ！！」

キョウヤ「寝てるとこスマンが、柊は休みか？」

ユウカ「ん？あー、ナナちゃん？」

ユウカ「わかんないけど、昨日遅くまで話してたよー？」

キョウヤ「二人で何を？」

ユウカ「別にただのガールズトークだけど、どうしたの？」

キョウヤ「いや、何もなかったんならいいんだが」

ユウカ「ぉ…？」

キョウヤ「そのネックレス外れそうだな。マルカンの輪が開いてる」

ユウカ「あ…ああ…、ありがと…」

キョウヤ「ちなみにガールズトークって、何だ？」

ユウカ「え…？え、えっとね…」

ナナ（早く脱出しなければ…）

ナナ（日が落ちれば、ゾンビ共が動き出すかもしれない）

ユウカ「さーて、元気にしてるかなー？」

シンジ「気をつけろよ？飛び出してくるかもしれない」

ユウカ「ドアを開ける時が一番危ないよねー」

ユウカ「シンジ、お願い」

ユウカ「ナナちゃ～ん？諦めたの～？」

シンジ「いないな…」

ユウカ「ベッドの下？」

ユウカ「他に隠れられそうな場所ある？」

シンジ「ちゃんと鍵かけたんだよな？」

ユウカ「うん」

シンジ「あの鍵なら、中から思いっきり体当たりでもすればやぶれるんじゃないか？」

ユウカ「まあ…。ちょっと実験してみようか？」

シンジ「どうだ？」

ユウカ「うーん、無理だと思うなー。どんだけピンチでも馬鹿力だしたって…」

シンジ「窓にはキチンと格子がハマってるしな」

ユウカ「床に穴掘ったとか…」

ユウカ「あっ、わかった。あははは！危なかったー。やっぱり逃げ出してなんかないよ」

シンジ「どういう事？」

ユウカ「だってさ、ずっとそこにいてチャンスを伺ってたんでしょ？」

ユウカ「ね、ナナちゃん」

ユウカ「っ！？」

ユウカ「え…どういう事？」

シンジ「わからん…」

ユウカ「逃げられたって言うの？」

シンジ「いいから死体を総動員して、辺りを探すぞ」

ユウカ「くっ…」

ユウカ「どういう事なのよ…。もしかして心を読めるとか嘘で、何か別の能力を持ってるのかなー」

ユウカ「どう思う？シンジ」

ユウカ「殺してやる…。私は悪くない」

ユウカ「ナナちゃんが私を殺そうってなら、シンジとの仲を引き裂こうって言うんなら…」

ナナ「いい朝ですね！ユウカちゃん…」

ユウカ「っ！」

ユウカ「っ！！うわぁあああ！！」

ユウカ「あ…やめ…！」

ユウカ「そ、そんなの取ってどうする気よ！？これがあればシンジを動かせるんだから！」

ナナ「ペラペラと自分の弱点を良く喋ると思ったんだ…」

ナナ「ネクロマンシーに遺品。死者が生前触れていたものが、必要だと言うのは本当だろう」

ナナ「実際ツネキチは動いていたわけだし、嘘つきは嘘の中に本当の事を混ぜる…」

ナナ「だが、私は気づいていた」

ナナ「ネックレスはふとした衝撃ですぐ外れる。大切な物ならキチンと手入れして、輪が開いていたら修理するはずだ」

ナナ「さらに昨晩、それを奪おうとした時、お前はネックレスではなく自分の尻ポケットを庇おうとした」

ナナ「咄嗟の事で体が反応してしまったんだな…？」

ユウカ「ぅぅ…」

ナナ「それもまさか…こんなものだったとはな」

ナナ「ここで騒ぎを起こしたくない。これを返して欲しければ、ちょっと付いてきてもらおうか」

ナナ「シンジも背負え。早くしろ」

ナナ「どうした？どの道、今は日が出ていて死体を動かせない。お前は従うしかない」

ユウカ「アタシ達をどうするつもり？」

ユウカ「ひっ…」

ナナ「まだわかっていないようだな。お前が寝たフリをして私をハメた時とは、立場が逆なんだが？」

ユウカ「どんな能力をつかったの…？」

ナナ「能力…？」

ユウカ「あの山小屋からどうやって抜け出したの！？」

ユウカ「出入り口には鍵がかかってたし、窓からだって出られるわけない」

ナナ「普通にドアから外に出た」

ユウカ「はぁ！？どんだけ体当たりしたって、鍵は外れなかったのに！」

ナナ「元々備えていたんだ。少しでも勝ち筋を残すために…」

ユウカ「備えて…？アタシが小屋に来る前に何かしてたみたいだけど」

ナナ「私は別に、小屋に立てこもる為にドアの補強をしていたわけではない。お前も言った通り、多数のゾンビやシンジを相手にあんな小屋が持つはずないからな」

ユウカ「嘘…。じゃあ何してたの？見つかるかもしれないって言うのに」

ナナ「むしろ見つけて欲しかった。怯えた私がゾンビの侵入を防ごうと、なけなしの道具を使って必死になっていると思いこませたかった」

ナナ「まさか外鍵の留め具のネジ釘を、あらかじめ抜いておくのに必死になっていたとは思わないだろ？」

ユウカ「え…」

ナナ「お前は鍵を掛けて、小屋を密室にしたと思いこんだようだが、あの時の鍵の留め具には釘が刺さっていなかった。ガムテープだけだ。ドアの開閉を抑制できるほどの強度はまるでない」

ナナ「実際部屋の中からドアを軽く押すだけで、鍵は留め具ごと簡単に外れた」

ユウカ「ガムテープで隠してたって事？留め具に釘が打ち込まれてないって思われないように…」

ナナ「お前が見張ってるかもしれないから、授業が始まるまでは動かずにいたがな。小屋を出た私は、外の工具を使って鍵を元の状態に戻した」

ナナ「それからしばらくは山の中で過ごし、夜が近づいたころに寮に戻った」

ユウカ「ちょっと待って！ ってことは、ナナちゃんは小屋に閉じ込められるって元々予想してたって事…？」

ナナ「朝日が昇ればゾンビの動きが鈍るのか、逃げずにこの目で確認したかった」

ナナ「あの外からしか鍵がかからない小屋に留まれば、勝負がもつれた時、閉じ込められる可能性は高い」

ナナ「更に上手くやれば、閉じ込められたフリが出来るとも考えた。お前は消えた私に、不安と焦りを感じながら夜通し山の中を捜索し、疲れ果てるだろうと…」

ナナ「だからあの時、私が恐れていた事は二つ」

ナナ「お前たちが朝を待たずに突っ込んでくること」

ナナ「もう一つは、そもそも朝日を受ければゾンビ活動を停止するかどうかだ。そればかりは論理的な解釈が出来ないからな」

ユウカ「体を張って色々と確かめてたんだ…。死体を動かせる条件とか、私の弱点を全部」

ユウカ「で、でも、弱点はわかったとしてもさ。もしアタシが今日の朝、寮に返って来なかったら…。もしくはシンジを動かせるときに戻ってきたら…」

ナナ「お前は夜は恐ろしいが、日中は遺品という弱点を抱える無能力者以下の敵だ。ならば、身を隠し機会を待つ…」

ナナ「どこまでも」

ユウカ「えっ…！」

ユウカ「どこまでも？」

ユウカ「ご、ごめん！ごめんなさい！何でもいう事聞くから」

ユウカ「ナナちゃんがやろうとしてる事誰にも話さないし、アタシに出来る事なら協力する。だからっ！」

ユウカ「それを…シンジを返して下さい」

ナナ「私の針ケース持っているか？」

ユウカ「うん」

ナナ「足元に投げてよこせ」

ユウカ「…っ！！」

ユウカ「いやぁああああああ！！」

ナナ「私は猫が好きだ。犬は二匹もいらない」

ユウカ「ねぇ、酷いよ…。酷すぎる。そりゃナナちゃんの事、殺そうって思ったけど、先に遊んできたから、怖いから」

ユウカ「アタシはただ、シンジと一緒に居られればそれでよかったのに…」

ナナ「別に真実はどうでもいいから、答えなくても構わないが…」

ナナ「飲み物はどこに置いてたんだ？」

ユウカ「はぁ！？」

ナナ「映画館の売店で買ったと言うお茶は、上映中どこに置いてたんだ？」

ユウカ「そんなもん座席の肘かけんとこに決まってるでしょ！！」

ナナ「それは嘘だ。お前の右の席の男が置いた飲み物をこぼし、スカートにかかった」

ナナ「それに怒って、左から身を乗り出したシンジもまた置いてあったジュースをお前にこぼした」

ナナ「つまり、右の席の者が左のドリンクホルダーを使い、左の席の者が右のドリンクホルダーを使っていたという事だ」

ナナ「すると、お前のお茶の置き場は無いはずだ」

ユウカ「じゃ、ちょっとした記憶違いで…。あっ、飲み物はずっと持ってたかも…」

ナナ「そうか、まあいい。ホラー映画で冒頭からずっとシンジに抱き着いていたとも言っていたが、まあいい」

ナナ「ちなみにお前たちは、休日には学生服でデートに出かけるのか？」

ユウカ「…」

ナナ「窒息死したシンジは、詰襟が苦しそうだったと言っていたじゃないか。つまり火事のあった日、シンジは学生服。詰襟の学ランを着ていたわけだ」

ユウカ「ち、違う…。その日のデートは…。そう、平日だよ。学校帰りだったな…」

ナナ「そっか。調べる気もない…」

ナナ「歩行者天国の屋台でクレープを食べたとも言っていたな」

ユウカ「…っ」

ナナ「お前の街では、平日でも歩行者天国をやっている区域があるんだろうな」

ユウカ「な、何が言いたいの…？」

ナナ「遺品がまさかのシンジが破り捨てたと言うテストの切れ端」

ナナ「驚いた。もっと第二ボタンだとか、そういうロマンチックな物かと思っていた」

ユウカ「くっ…」

ナナ「正直俺も、ネックレスのようにフェイクかと疑ったくらいだ。だが本物だった。そんなゴミを拾い、後生大事に持っているなど、とても幼馴染で隙あっていた関係とは思えないが、本物だった」

ユウカ「ち…ちが…違う…」

ナナ「何が違うんだ！このストーカーめ！」

ナナ「－－－－っ！！」

ナナ「何故お前は、能力を入れ替えて、周りに見せていたんだ？何故ネックレスというフェイクを用意してまで、シンジの死を暴かれないようにしていたんだ？」

ユウカ「違う！アタシは…！違う！違う！」

ナナ「そうまでして隠したい秘密は何だ？」

ユウカ「違う！！アタシが殺したんじゃない！！アタシは火を付けただけ」

ユウカ「全部あの女が悪いんだ！！」

ユウカ「アタシは悪くない…。アタシのシンジが変な女とデートしてて、二人でクレープ食べてて」

ユウカ「映画館でジュースこぼすぐらいだらしなくて、そいつからシンジを取り返そうと思って。だから、死ねば取り返せるって」

ユウカ「遺品ももっと他に欲しかったけど、嫌われてたから近づけなくて…」

ユウカ「あー…もっと何か盗んでおけばよかったんだ」

ユウカ「そしたらこんな事に…」

ナナ（私は何故、これを投げ捨てたフリをした…？）

ナナ（もし私の推理がことごとく的外れで、ユウカが善人だった場合…）

ナナ（助けてやろうとでも…？）

ナナ（まさかな…）