【感想】 リゼロ2期 20話(45話) 明らかになるロズワールの過去　ヘクトールと似ているのはなぜなんだ？

ロズワール「はぁ…はぁ…」

ロズワール「はぁ…はぁ…くっ…」

エキドナ「なるほど…。これは重傷だ。よくもまあ、死なずにこれまで耐えてきたものだね」 

ロズワール「だ、誰です？」

ロズワール「はっ…」

エキドナ「貯まったマナの発散の仕方も知らないとは…。理解度の低さが嘆かわしいな」

ロズワール「うっ…ぐは…」

ロズワール「ぁ…」

エキドナ「どうだい？少しは楽になったかな？」

ロズワール「何をされるんですか…。女性が…こんな…」

エキドナ「マナを直接吸い出しただけだよ」 

ロズワール「マナを…」

エキドナ「君のそれは、病ではない。発魔期と言うものだ」 

ロズワール「初…魔期…」

エキドナ「非常に稀なものだよ。故に、今日まで誰も君を理解できなかったはずだ」

エキドナ「だが、私は君の苦しみがわかる。同じ思いを味わったものとして」

ロズワール「は…」

ロズワール「ぅ…」

ロズワール「貴方は一体…」 

エキドナ「私は、魔女だ。たまに善行もする悪い魔女だよ」

エキドナ「君は…？」

ロズワール「どうだった、ベティ？僕と先生との馴れ初めは…」

ベアトリス「どうだったも何も、全然全くこれっぽっちも聞いちゃいなかったかしら！」

ベアトリス「それに馴れ初めなんて、お母様にも気安過ぎるのよ」 

ロズワール「そうだね。ただのきっかけだ。でも、僕はあの時の先生の事を全部覚えている」

ベアトリス「お母様にとっては、いい迷惑かしら。もちろんベティにとってもなのよ」 

リューズ「ベアトリス様、そんな言い方をされては…」

リューズ「それにロズワール様のお気持ちは、私にもわかります。私もエキドナ様に救われた一人ですから」

ベアトリス「フン…」

ロズワール「リューズ君も先生に感謝しないとね」 

リューズ「はい」

ロズワール「僕もあの日、先生と出会わなければ、今も一人苦しみ続けていたはずだ。あるいは、世は儚んで早まった事をしていたかもしれない…」

ロズワール「そうならず両親や兄弟を見返して、メイザース家を乗っ取れたのも、全部先生のおかげなんだよ」

ベアトリス「はんっ、図々しい男かしら！感謝を強要なんて、女々しいものなのよ」

リューズ「でも、ベアトリス様もちゃんと感謝するのよって、言いますけど…」 

ベアトリス「お前、ベティとロズワールのどっちの味方かしら！」

ロズワール「…」

ベアトリス「あ？ お前、その妙に生暖かい目つき気に入らないのよ。言いたい事があるなら、受けて立つかしら」

ロズワール「僕は、君を愛しているよ」

ベアトリス「気色悪い事言うんじゃないのよ！」

ベアトリス「あ…」 

ロズワール「先生！」

エキドナ「三人ともここだったか」

エキドナ「うむ。仲良く喧嘩しないでいたかな？」

ロズワール「もちろんです！」

ベアトリス「当然かしら」

リューズ「フ、フフフ」

エキドナ「やれやれ…。どうやら、まだまだ揃って手のかかる子のようだ」

ロズワール「ほう…。そんな話を聞かされたのかい？」

スバル「そうだ。シーマさんが墓所で見たリューズ・メイエルの記憶だ」

ロズワール「なるほど。…という事は、君はあの日の事も知ったんだね？」

ロズワール「この聖域が誕生した、あの日…」

ベアトリス「本当にロズワールは、なんて腹立たしい奴なのかしら」

ベアトリス「到底許し難いのよ」 

リューズ「そもそもベアトリス様が私にイタズラを仕掛けたから、ロズワール様が敵討ちをなさってくれたんじゃないですか」

ベアトリス「イ、イタズラなんて言い方は止めるかしら。あれはもっと高尚なあれなのよ…」

リューズ「扉を何枚開けても同じ部屋で、私はとても怖い思いをしてしまいました」

ベアトリス「ちょっとした陰魔法の応用かしら…。そんなに目くじら立てなくても…」

ロズワール「なるほど。それなら反魔法でそっくりそのままやり返した僕に対しても、全く目くじらを立てないわけだ」

ベアトリス「はぁっ！」

ベアトリス「うが…」 

ロズワール「良い顏するねぇ、ベアトリス。僕は君のその顔が、先生の顏の次に好きなんだ」

ベアトリス「何て言い方しやがるのよ。お前なんかちょっと才能と家柄に恵まれて、世界最高の師を得た幸運なだけの奴かしら。調子に乗るんじゃないのよ！」

リューズ「ベアトリス様…。それは褒めているだけなのでは…」

ロズワール「リューズ君もまたベアトリスに困らされたら、いつでも言ってくれていい。すぐに懲らしめて、お尻ぺんぺんしてあげるから」 

ベアトリス「ハンッ、この娘がお前に頼る事なんて一切無いかしら！ほら、言ってやるのよ！」

リューズ「ありがとうございます。では、何かあればきっとご報告しますね」

ベアトリス「何て事かしら！ うぅ…」

ロズワール「読書の邪魔をして悪かったね。ベアトリスに代わって、謝っておくよ」 

リューズ「あ、いえ…。そんな恐れ多いです」

リューズ「それに、読書と言えるほどの事はまだ… 」

ベアトリス「ふぅん、本を読むのは良い事かしら」

ベアトリス「読書は人生を豊かにしてくれるのよ」

ロズワール「と、正しく先生の受け売りを口にするベアトリスなのでした」

ベアトリス「ぶー…」

ロズワール「そうだ！どうせならベアトリス、君がリューズ君の先生になってあげたらどうだい？」

ベアトリス「ベティがこの娘の…？」

リューズ「そ、そんな事は…！ お忙しいベアトリス様に、ご迷惑をお掛けするわけには…」

ベアトリス「べ、別にやってやってもいいかしら。そのくらいはお茶の子さいさいなのよ」

リューズ「ぁ…」

ベアトリス「何かしら？嫌なら無理するつもりはないのよ。ベティだってそんなに乗り気じゃ…」

リューズ「いいえ。ベアトリス様に教えて頂けるなら、それはとても嬉しいです」

ベアトリス「そ、そこまで言われちゃ仕方ないかしら。本当に運の良い娘なのよ」

ベアトリス「…っ！」

リューズ「ベアトリス様…？」

ベアトリス「お母様が呼んでるかしら…」

ベアトリス「ロズワール！お母様は、お前もお呼びなのよ！緊急事態かしら」

ロズワール「わかっている」

ロズワール「どうやら、奴が来た…」

ロズワール「確認できました。やはりあの男です」

エキドナ「そうか」

ロズワール「今すぐここから逃げるべきです。奴が現れれば、計画は破綻します。立て直すことも不可能になる」

ロズワール「先生、迷っている暇はありません！僕ではまだ先生のお役に立てない。盾になれと言われれば、喜んで盾になります。ですが、対抗策なしでは…」

エキドナ「手段がないわけじゃない。ある程度、聖域の目算は立っている」

ロズワール「え…」

エキドナ「理論の構築はできている」

ロズワール「でしたら…！」

エキドナ「ただし、結界の発動に必要な核がまだ不十分だ。それなしでは、結界は機能しない」

ロズワール「そのために、これまで…。あと一歩で聖域が完成したのに…！」

リューズ「その足りていない結界の核として、私はお役に立てませんか？」

ロズワール「リューズ君…」

リューズ「以前からお話は伺っていました。エキドナ様のお作りになる結界、その核の条件に合うのは私だと…」

エキドナ「ベアトリスから…かい？」

リューズ「はい」

エキドナ「確かに結界の核として、君が機能する可能性は高い。ただし、君のマナと土地がもっと馴染むのを待った後だ」

リューズ「今はまだできないのですね」

ロズワール「ありきたりの結界じゃないんだ。人と亜人の混血を数年がかりでこの地に集め、結界の成立する規模にした。君は、その最後の一押しになるんだ」

ロズワール「だが…」

リューズ「何とかする方法をお持ちなのですよね？」

エキドナ・ロズワール「！」

リューズ「私は、エキドナ様やロズワール様に救われました。誰に蔑まれず、疎まれる事もない生活を送れて幸せでした」

リューズ「その時間の恩返しが出来るなら、私の生きた意味は、そこにあると思うのです」

エキドナ「…」

ロズワール「先生…！」

エキドナ「君のオドを触媒に、聖域の核を作り上げる…。そうすれば工程を短縮し、結界を機能させる事が出来るだろう」

リューズ「それで聖域は救われますか？」

エキドナ「今の脅威を退ける事は可能なはずだ」

リューズ「始めるのはいつになりますか？」

エキドナ「今すぐにでも…。核を置くための施設は、ベアトリスに準備させている。あとは、術式を構築する時間さえ稼げれば…」

ロズワール「それは、僕の役目ですね…」

ロズワール「死力を尽くし、時間を作ります」

ロズワール「リューズ君、すまない…。先生を助けるには、僕だけでは力不足だった…」

リューズ「いいえ。ロズワール様も、多くを与えてくれました」

リューズ「その事に感謝をしても、恨む事なんて何もありません」

ロズワール「僕はすぐに出ます。先生は、結界の準備とベアトリスを呼び戻して下さい」

エキドナ「ベアトリスには、知らせない方がいいんじゃないかい？」

ロズワール「今ここでベアトリスを呼ばなかったら、僕も先生も一生あの子に恨まれますよ」

ロズワール「呼んでもそうかもしれませんが…」

エキドナ「わかった。助言に従おう…」

ロズワール「…」

リューズ「ベアトリス様…」

ロズワール「ぐあっ！」

？？？「まだ…やるの？」

ロズワール「うぐぐ…」

？？？「うるさい…。やかましい…」

ロズワール「ぐっ…」

？？？「鬱陶しい…煩わしい…萎える…滅入る…」

ロズワール「ぐあっ…」

ロズワール「ここで僕がお前を止めないと…」

？？？「はぁ…本当に嫌だ。凄い下がる…」

？？？「落ち込む…しぼむ…。最悪の中の最悪の最悪…。憂鬱だ」

ロズワール「ぐあっ！」

ロズワール「ぐぉ…っ！」

リューズ「…」

？？？「ん…？ 誰か…いる？」

リューズ「はっ…！」

？？？「憂鬱だ…」

ロズワール「アル…」

ロズワール「ゴーアァァ！！」

？？？「汗が滲むと、鬱陶しい」

ロズワール「くっ…、憂鬱の魔人め！」

？？？「嫌な呼び名で気分が滅入る…。己が好きでこーんな風になったと思うのか？」

ロズワール「何にどう生き方を曲げられようと、限られた選択肢から今の自分を選んだのはお前だ！被害者ぶった顔をするな！」

ロズワール「憂鬱の魔人ヘクトール！！」

ヘクトール「正論に耳が痛くて罰も悪い…。本当にど～もお前が苦手だ」

ロズワール「ぐあっ！」

ヘクトール「骨がたがた、内臓ぐちゃぐちゃ、心ばきばき…」

ヘクトール「そんな所でどぉーだい？」

ヘクトール「ん？」

エキドナ「間に合った…とは到底言い難い状況のようだ」

ヘクトール「いいや、間に合ったとも。お前の弟子は、己を足止めして健気に時間稼ぎを果たしたさぁ～」

エキドナ「存外に胸が痛むな」

ヘクトール「泣きたいなら、そのくらいの時間を取ろうか？」

エキドナ「貴方は何も変わらないな。決別した時そのままだ」

ヘクトール「お前の口の利き方も相変わらずなってない」

ヘクトール「昔はあんなに可愛かったの～に」

ベアトリス「いつまでこんな所で無様に臥せっているつもりかしら」

リューズ「え…ベアトリス様…」

ベアトリス「呆けてないで、お母様が時間を稼いでくれてる間に動くのよ」

リューズ「で、ですが…」

ベアトリス「準備は整った…。それがお母様の伝言かしら」

リューズ「わかりました…。行きましょう、ベアトリス様」

リューズ「わぁ…」

ベアトリス「結晶の一部にされたくなかったら、うっかり魅入られるんじゃないのよ」

リューズ「申し訳ありません。こんな時に…」

ベアトリス「それでどうするかしら？お母様からは、お前をここに連れてこいとしか聞かされてないのよ」

リューズ「それでもベアトリス様は、エキドナ様のお言いつけを守られるんですね」

ベアトリス「当然かしら」

ベアトリス「ベティにとってお母様は絶対。お前やここの住人たちは恵まれているのよ」

ベアトリス「無事にこれが片付いた後、精々働きで報いるかしら」

リューズ「…」

ベアトリス「お前…何だか嫌な顔で笑っているのよ…」

リューズ「はっ…、ぅ…」

ベアトリス「！」

リューズ「も、申し訳ありません。少しだけ目にゴミが…」

ベアトリス「やっぱりお前はここで大人しくしているかしら。ベティがお母様に加勢してくるのよ。死にかけのロズワールの奴も助けてやらんといけないかしら。それでまた明日からも…」

リューズ「ベアトリス様…、大変長い間お世話になりました」

ベアトリス「え？」

リューズ「ここでお別れです」

ベアトリス「お別れって…どういう…」

リューズ「この施設には、森に結界を張り巡らせる準備がされています。私を核として、時間をかけて結界を…。でも、その時間が足りなくなってしまいました」

ベアトリス「結界の為の時間…。あ、あの男が邪魔ならあれを…！」

リューズ「ただ戦っても勝てない…。そのための聖域です。ロズワール様があれほど献身されたのも、そうしなくてはエキドナ様を救えないとわかっていたから…」

リューズ「結界さえできれば、この場所は守られる…。私はそのためにこの身を捧げます」

ベアトリス「馬鹿な事を言うんじゃないのよ。お前の身を捧げるって、魔法の事も何も知らないお前に何が出来るっていうかしら」

ベアトリス「お前には…、はっ…！」

ベアトリス「この魔水晶を触媒に…お前のオドを核して結界を…」

リューズ「はい。それがエキドナ様のお考えです」

ベアトリス「待って！違うのよ！今すぐベティがお母様に直談判してくるかしら！」

ベアトリス「お母様はベティに甘いし、きっと聞いてくれ…」

リューズ「そんな時間はありません。今、この瞬間に決断が必要なんです」

ベアトリス「それなら、お母様に加勢するのがベティの決断なのよ。お母様とベティが一緒なら、あんな奴イチコロかしら」

ベアトリス「ベティの扉渡りで…皆ここから逃げてしまえばいいのよ…」

リューズ「ぁ…」

ベアトリス「ね、そうするかしら。あんまり大勢だとベティも大変だけど、そのぐらいやってのけるのよ。隙を見てロズワールを拾って、お母様も連れ出すかしら。ほら、これで…！」

リューズ「…」

ベアトリス「は…」

リューズ「そうやって逃げて、また追われる事に怯えて生きるんですか？エキドナ様やロズワール様のおかげで、ようやく手に入れた安寧の地…」

リューズ「それを捨てて、また新しい聖域を作るのにどのくらいかかるのでしょうか？私はもう十分に、暖かな時間を頂きました」

リューズ「私はこの場所が好きです。ここで暮らせて本当に良かったと思っています。ここで暮らす皆の笑顔が、大好きです。無くしたくありません」

ベアトリス「お、お前がここをどんな風に思っていたとしても、この場所は本当はお前たちの為なんかじゃなくて…」

リューズ「はい。わかっています」

ベアトリス「はっ…」

ベアトリス「それなら…。それがわかってるなら、どうしてなのよ！」

リューズ「いいんです…」

リューズ「始まりはそうだったかもしれません。でも…」

リューズ「ここで私たちが過ごした時間の全部が、始まりのままだったはずがありません」

リューズ「私がここで過ごして、ベアトリス様とお話したことも…」

リューズ「みんな…私が私で選んだことだったんですから…」

リューズ「私は、何も無くしてなんかいません。貰ったもの全部抱えたままです。ここで過ごせて幸せでした。だから私は、その時間を守る為にいきます」

リューズ「ベアトリス様には、何度も…今も…数々のご温情感謝を申し上げます」

ベアトリス「！」

ベアトリス「く…。ぅ…」

リューズ「ベアトリス様…」

ベアトリス「はっ」

リューズ「甘いもの、食べ過ぎないように注意して下さいね？」

ベアトリス「本を…」

ベアトリス「読み書きを教える約束が…」

リューズ「ありがとう」

リューズ「さようなら。ベティ…」

スバル「これが、俺の聞いた全てだ」

ロズワール「それで？その話が真実だとして、それがどうしたと言うんだい？」

スバル「くっ」

スバル「もう一度言う。降伏しろ。流れは変わったんだ。屋敷に向かわせた連中を止めろ。それで何もかも手打ちに出来る」

ロズワール「フッ、断るよ。スバル君」

スバル「な…」

ロズワール「この程度の変化に折れる程、私の４００年は軽くはない」

ロズワール「盤外から駒を持ち込み、ガーフィールを取り除いてそれで優位に立ったつもりでいるなら、大間違いだよ？」

ガーフィール「んだと！？」

ロズワール「違うとでも？あれだけ威勢良くよそ者に噛み付いていた君が、今やスバル君と愉快な仲間たちの一員だ」

ロズワール「その変わり身の早さには、驚かされるよ」

ガーフィール「ハッ、テメェの言葉は軽いな。ロズワール」

ロズワール「軽い…ね。これまで１０年の月日、こだわり続けてきた思い。それを容易く手放す君が、私に軽いとは、出来の悪い冗談だ」

ロズワール「願いは消えて無くなりはしない。君が母を家族を本当に愛していたのなら、そんなに愛していたのなら、そんなに容易く変わってしまうものなのか？」

ロズワール「それとも、君は母を家族を愛していなかったのか？牙をへし折られた程度で曲がる思いが、君の１０年間なのか？」

ガーフィール「勘違いすんじゃねぇ」

ロズワール「勘違い…？」

ガーフィール「俺様は別に喧嘩に負けたってだけで、大将に付いたわけじゃねぇ。俺様は１０年ずっと過去に拘ってた」

ガーフィール「その過去と、１０年ぶりにやりあってきた」

ロズワール「過去と相対したと…。君が…？」

ガーフィール「俺様が、そこで何見てどうして大将に付くのか話してやるつもりもねぇ。けどな、一個だけ俺様がテメェじゃなく大将につく気になった決定的な理由を教えてやる」

ガーフィール「弱ぇ弱ぇそのまんまでいろって言われるより、お前は強いから必要だって言われる方に付きたくなるのが、当然だろうがぁ」

ガーフィール「ぁ…？んだよ！？」

スバル「いや、何でもねぇ。頼りにしてるぜぇ！」

スバル「ガーフィールは過去を見た。その結果こっちにとっても、それで１０年家族を思いやってきた気持ちが弱くなるわけじゃない」

スバル「思いの強さは変わってないはずだ。変わらないまま、アイツは変わったんだよ。お前だって同じだ。やり方さえ、同じ方向向いてくれさえすれば、一緒にやっていける」

ロズワール「優位は依然、私の側にある」

スバル「なんだと…」

ロズワール「賭けの条件に、君は自分の持つ最大の武器を縛り、只人となったんだ。その只人である君に何が出来る？」

ロズワール「何も出来はしない！出来るものか！人並み以下のお前に何が出来る？月日が刻み込んだ思いは、誰にも侵されざる聖域だ」

ロズワール「何人たりとも、それは変えられない！私の４００年が、只人のお前に覆されることなど、あってたまるものか！！」

スバル「思いは変わらないものだからか？」

ロズワール「そうだ！」

スバル「ずっと長い時間、信じ続けてきた思いだからか？」

ロズワール「ああ！そうだとも！！

スバル「どうしてお前は、思う事の弱さばかり見てるんだ。誰かをずっと思い続ける事が、強い気持ちだってわかってるのに！どうしてその弱さばかり見ようとするんだよ！」

ロズワール「私がっ、それをっ、信じているからだっ！！」

ロズワール「お前が誰かの強さを信じて期待するように、私は誰もが弱いままだと信じているからだ！」

ロズワール「弱くてのろくて、たった一つの大切なものにすがる以外、思いを遂げる事の出来ないちっぽけな存在だと、そう信じているからだ」

ロズワール「４００年、私は1人の女性を思い続けている。共に過ごした日々をよりずっと長く…。触れ合えない時を過ごしても尚、その姿が焼き付いて離れない。魂を焦がして、やまないんだ！」

ロズワール「あの別れのあの日も、心が粉々に砕かれたまま、私は何も変わっていない！！」

スバル「く…」

ロズワール「もう一度言おう。優位は今も私の側にある。記述一部が食い違おうと、それでどうなる？私と君にとって、肝心要の一人が残り続ける限り、勝負は終わらない」

スバル「エミリアを見くびるなよ。あの子はもうお前の思惑通りにはならない。全部乗り越えて行くよ」

ロズワール「超えられるものか。寄る辺を無くし、自分の抱える後悔に押しつぶされ、変わるなんて大望を抱いた事を悔やみ、泣きじゃくって君にすがる…。それがお似合い」

スバル「泣き顔が似合う女なんかいるもんかよ！！あんな下手くそな泣き方する女、俺は一遍も見た事ねぇよ！！」

ロズワール「傷つけて貶められる…。それがハーフエルフの宿命だ。嫉妬の魔女と同じ血筋は、生まれながらに背負った呪い」

ロズワール「魔女と蔑まれる必然だよ」

スバル「ふざけるなっ！あの子のどこが魔女だ！お前らが寄ってたかってお前らが魔女にするんだろーがっ！」

スバル「誰か一人でもあの子に言ってやったことがあるのかよ！苦しい時や悲しい時は泣いてもいいんだって！流した涙が拭えないなら、傍にいる誰かが拭いてくれる」

スバル「そうしてくれる誰かが、お前にもいるんだって！誰か言ってやった事があるのかよ！！」

スバル「誰もしないなら、俺がそれをする！」

スバル「思いが…呪いが…変わる余地のないもんだって信じてるお前に…！」

スバル「俺たちが叩き付けてやる！」

スバル「俺の名前はナツキ・スバル！」

スバル「銀色のハーフエルフ、エミリアの騎士っ！！」

スバル「エミリアは来るぜ、ロズワール！お前が頑なに弱いって信じるあの子が、お前の最後の望みを絶ちきりにやってくる！」

ロズワール「やはり私の睨んだ通りだ、ナツキ・スバル」

スバル「何？」

ロズワール「君と私は似た者同士だ」

ロズワール「想い人に理想を強要すると言う意味でね」

スバル「お前は弱さを、俺は強さを信じる…」

スバル「似た者同士って、一点だけは頷いてやるよ」

スバル「行くぞ…」

スバル「バッカ野郎がっ！」

エミリア「ん…！」

エミリア「はぁ…。よしっ！もう大丈夫」

エミリア「あ…」

ラム「おかえりなさいませ。エミリア様」