【感想】 リゼロ2期 19話(44話) フォルトナのエミリアもペテルギウスもこの末路は辛い…

パンドラ「貴方の方から見つけてくれて良かった。折角、封印を見つけられたのですが、肝心の鍵の在り処がわからなくて…」

エミリア「何…で…、ここにいるの…？」

パンドラ「ふっ、驚いていますね。実は、私たちの目的は、この封印にあるんです。ですから、私がここに居るのは必然なのです」

エミリア「何で…ここにいるの…？」

パンドラ「あ、ごめんなさい。貴方がお知りになりたいのは、ロマネコンティ司教やお母様の事でしたか」

パンドラ「ご安心なさって下さい。貴方の心配されているロマネコンティ司教もお母様も、どちらもご無事ですよ？」 

エミリア「ほ、ホントに？」

パンドラ「ええ、本当に。私や信徒たちは、積極的に皆さんを傷つけたくないのです。私たちの目的は、この封印にある」

エミリア「封印の御用が済んだら、森から帰ってくれますか？皆に酷いことしないで、帰ってくれますか？」

パンドラ「ええ、勿論。不必要な犠牲は、私たちも望む所ではありません。ですから、どうか鍵を渡して下さい」

エミリア「かぎ…？」

パンドラ「そう、鍵ですよ？この封印、扉の形をしているだけあって、鍵が無くては開かないのです」

パンドラ「そして、その鍵は貴方がお持ちのはずですよ？」 

エミリア「そんなの知らない…！」

パンドラ「隠すのはあまり賢いとは言えませんよ？」

エミリア「ええっ、違うの！ホントにホントに知らないの！鍵なんて持ってない！持たされていません！」

パンドラ「そうですか…。では、鍵を探す為に森中を掘り返さなければなりませんね」

エミリア「う…。開けます…！私が開けます！」

パンドラ「あら、本当ですか？良かった。やはり鍵は、貴方がお持ちなんですね」

パンドラ「だって、貴方はどう見ても、魔女の娘…ですから」

エミリア「魔…女…？」

パンドラ「では、封印をお願いします。扉さえ開かれれば、私たちはすぐにでも下がりますよ」

エミリア「…」

パンドラ「自分は鍵だと、そう思いなさいな」

エミリア「はぁ…はぁ…はぁ…」

エミリア「私は…、鍵…」

エミリア「な…」

パンドラ「見える様になりましたか？」

エミリア「これ…見えないの…？」 

パンドラ「ええ、私には見えません」

パンドラ「その鍵は、資格のある者の手にしか委ねられないものなのです」

パンドラ「さあ、開けて下さい。それで貴方の望みは叶います」

フォルトナ『エミリア、約束…』

エミリア「あ、開けられない…」

パンドラ「なぜ？」

エミリア「約束…。約束があるの！」

パンドラ「そうですか。約束は大事なことですね。それは、お母様と交わしたものでしょう？」

パンドラ「でも、時には約束を反故にしてでも、決断しなくてはならない時もあります。貴方は、どちらの希望を求めますか？」

エミリア「どちら…希望…？」

パンドラ「一つは、約束を守って私たちと対峙し、この苦難を乗り切ろうと言う希望」

パンドラ「そしてもう一つは、約束を反故にして封印を開き、円満に事態を収拾させる希望」

パンドラ「どちらの希望を選びますか？貴方に、運命を委ねます…」

エミリア「ぁ…」

エミリア「母様と、約束したの…」

エミリア「約束を、守るの…。守って…。だから…」

エミリア「母様…」

パンドラ「最後まで、自分の主神であるお母様の言葉を信じる…。その答えもまた、貴方の魂が導き出した結論…」

パンドラ「それを尊重しましょう」

エミリア「ぁ…」

パンドラ「ですから、封印を開くために手段を講じる私の決断も」

パンドラ「尊重してくださいね」

エミリア「え…」

フォルトナ「パンドラァアアア！」

パンドラ「周りを見て攻撃を仕掛けないと、危ないですよ？」

フォルトナ「食らえぇえええ！！」

エミリア「ひぃ…」

フォルトナ「エミリア！？どうして…。森の外に逃がしたはずじゃ…」

パンドラ「どうして…、何て酷い言い草ではありませんか…」 

フォルトナ「はっ…！」

パンドラ「この子は、貴方を案じて、貴方を助けたい一心でここに駆けつけたのです」

エミリア「ぁ…」

パンドラ「そうして同じ表情をすると、やっぱり良く似ておいでですね。流石は親子…」

フォルトナ「エミリアの母親は私じゃない！エミリアの可愛い顏は、姉さん似よ！」

パンドラ「ああ、彼女の…。それは失礼をしました。きっと、本当のご両親も喜んでおいででしょう」

フォルトナ「くっ…、お前の口から…」

フォルトナ「兄さんや姉さんの事を言うな！！」

パンドラ「そうして対話を拒んで暴れていても、疲れるばかりでしょう？」

パンドラ「一度落ち着て」

パンドラ「お互いに話し合いの機会を…」

フォルトナ「くどいと言ってるのよ！！」

エミリア「ああ！！」

フォルトナ「エミリア！？」

フォルトナ「違うの！そんなつもりじゃ…」

パンドラ「その気持ちをほんの少し、憎いと思ってる相手に向ける事はできませんか？」

フォルトナ「ひっ…」

フォルトナ「…」

パンドラ「全ての人を、娘さんと同じ様に愛せとはいいません。ただ、わずかな心遣いで変わるものものあります」

フォルトナ「馬鹿な事を…。誰が…誰が貴方のいう事になんか…！」

パンドラ「では、こうしませんか？貴方の口から、娘さんを説得して頂くのです。あの子が鍵を持っているのは確認したが、どうしても扉を開けようとはして下さらないのです。他ならぬ貴方との約束を守るために…」

フォルトナ「は…」

エミリア「あ…あ…」

パンドラ「封印さえ解かれれば、私たちもこれ以上何もせずに森を離れると約束します。約束…、いい言葉ですね」

フォルトナ「ごめんなさい、エミリア。そんな辛い思いをさせて…」

フォルトナ「ここには一人？アーチは？」

エミリア「アーチは、私に白いお花まで走れって…」

エミリア「だから私、走って…」

フォルトナ「はっ…」

フォルトナ「エミリア…。エミリア…」

フォルトナ「約束、よく守ってくれたわね。偉かったわね。偉かった…」

エミリア「母様…母様…。私…私…」

フォルトナ「エミリア、貴方は私の誇り。私の宝物…」

パンドラ「美しい親子愛、堪能しました…」

パンドラ「やっぱり思い合う姿は、素晴らしいですね」

フォルトナ「封印は解かせない。この子は渡さない」

フォルトナ「ここで…貴方は氷像となって朽ちなさい！」

ジュース「やっと追いついた…のデス！」

フォルトナ「ジュース！」

ジュース「フォルトナ様！」

フォルトナ「…っ」

フォルトナ「アル・ヒューマ！」

ジュース「見えざる手！」

エミリア「え…」

エミリア「母様…？」

フォルトナ「あ…」

エミリア「……！」

フォルトナ「ぁ…」

ジュース「これで終わり」

ジュース「デス！」

ジュース「これだけやれば、今度こそは！！」

ジュース「フォルトナ様！警戒を緩めず、ご注意を！！私は確認して…」

エミリア「……ジュース？」

ジュース「は…、エミリア様？」

ジュース「そんな…馬鹿な…」

ジュース「……」

パンドラ「仕方のない事です。貴方は見間違えた…だけなのですから」

ジュース「はぁ、はぁ、はぁ…」

ジュース「あ…あ…ああああああああああ！」

ジュース「馬鹿な…馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁあああああ！」

ジュース「私は…私は何をっ！？何をしているのデスかぁ！？何をして…何故…何故…何故何故何故何故何故何故何故何故何故…」

ジュース「何の為にぃぃぃぃぃぃいいいいい！！！」

パンドラ「全て、愛の為です」

パンドラ「貴方は愛する人救う為に、自らの魂すら捧げたのです。貴方の行いは、全て愛の賜物。いと素晴らしき愛の道しるべ…」

ジュース「愛…愛…愛…愛…」

パンドラ「そう。何を恐れる必要も、悔やむ必要もありません」

パンドラ「全ては必然。こうなる様、道はここに続いてきた」

パンドラ「貴方の愛は間違ってない…」

ジュース「愛の…為に…」

フォルトナ「エミ…リア…」

エミリア「お母様…」

フォルトナ「姉さん…、ごめんなさい…」

エミリア「お母様？」

フォルトナ「私…言われた事…何にも…守れなくて…」

フォルトナ「姉さん…怒るよね…？許して…もらえないよね…？」

エミリア「…あ」

エミリア「ぅ…」

エミリア「母様を、許します」

エミリア「母様は私の母様で、ずっと大事にしてくれて、お父様にもお母様にも負けないくらい私をすごーく好きでいてくれて…」

エミリア「だから、謝ることなんてない。ありません。エミリアは、フォルトナ母様を、ずっとずっと大好きでいます…」

エミリア「大好き…大好き…大好き…大好き…！ぅぅぅ…」

フォルトナ「エミリア…」

エミリア「母様…？」

フォルトナ「泣き虫な子…」

フォルトナ「すごーく…、愛して…」

パンドラ「では、封印を解く希望を選ぶ準備は出来ましたか？」

エミリア「封印を…開ける…？」

パンドラ「約束を交わしたお母様は、残念ながらお亡くなりになりました。これでもう貴方を縛り付ける約束という枷はありません」

パンドラ「如何ですか？」

エミリア「死んじゃえ…」

パンドラ「物騒な事をされますね。急にどうし…」

エミリア「死んじゃえ」

パンドラ「落ち着いて下さい。話せばわかり合えるはずです」

エミリア「死んじゃえ」

パンドラ「貴方は心根の優しい子です」

パンドラ「こんな事はお母様が…」

エミリア「死んじゃえ」

パンドラ「困りましたね…。どうやら逆効果の･･･」

エミリア「死んじゃえ…死んじゃえ…死んじゃえ死んじゃえ」

エミリア「死んじゃえぇぇええ！！」

エミリア「死んじゃえ…」

エミリア「死んじゃえ…」

エミリア「死んじゃえ…」

エミリア「死んじゃえ…！死んじゃえ…！死んじゃえ…！死んじゃえ…！！」

パンドラ「悲願を前にして残念ですが…。今日はここまでと致しましょう」

パンドラ「これ以上は貴方に無理を強いる事になりそうです」

パンドラ「…！」

エミリア「死んじゃえ…！死んじゃえ…！死んじゃえ…！死んじゃえ…！」

パンドラ「この様子だと、貴方は恐らく長い眠りにつくことになるでしょう」

パンドラ「貴方の力で、この森は溶ける事のない凍土に覆われる…」

パンドラ「いずれ貴方のマナが底をつくか、あるいは…。貴方に匹敵する持ち主がマナを相殺するか…」

パンドラ「それまでは…」

エミリア「死んじゃえ…死んじゃえ…死んじゃえ…死んじゃえ…」

パンドラ「残念ですが、死ねません」

パンドラ「私も貴方も、いずれ雪が溶け氷期が終わるように、必ずまた出会う事になる」

パンドラ「ただ、その時も嫌われていては寂しいですから…。貴方の今日までの思い出を、私の存在を忘れて完結すること…」

パンドラ「空白はご自由に補完して下さい。そうですね…。貴方は一生懸命約束を守った。そのことをしっかり心に刻んで、今のままの貴方でいてくれると嬉しく思います」

エミリア「ぁ…」

パンドラ「いずれ来る再会の日を楽しみにしています」

パンドラ「……」

ジュース「はははは…！ははははははは…！！」

エミリア「母…様…」

エキドナ「記憶の改ざんに関して自分を責めているなら、それはお角違いと言うものだよ」

エキドナ「君たちが相対していたアレは、虚飾の魔女だ。歪な記憶の補完は、虚飾の権能で間違いない」

エミリア「パンドラの事、聞いたら教えてくれる？」

エキドナ「他人との会話を好ましく思う僕だが、君に限って話の脱線はお断りだ」

エミリア「そっか。ありがと」

エミリア「皆を氷像にしたのは私で、それも皆は助けようとしてくれてて…」

エキドナ「君は過去を思い出し、後悔を見届けた。あとは、答えを出さなくてはね」

エミリア「試練に対する答え…」

エキドナ「第一の試練は、己の最大の後悔に決別することで達成される。過去の自分を肯定するか、否定するか…」

エミリア「はぁ…」

エキドナ「何せ他ならぬ君自身の罪で、君の母は、友人は、家族は氷像となり果てた。皆を救いたいと願った決断も、理想論どころか夢物語でしかなかった…」

エキドナ「そんな君に何が残されている？」

エミリア「それはもう…教えてもらったもの」

エミリア「母様は、私を愛してくれていたわ」

エミリア「私は、母様を…フォルトナ母様を助けてあげたかった。また抱きしめて貰って、一緒のベッドで眠りたかった。大好きって、何度も伝えたかった」

エキドナ「なら、後悔しているかい？」

エミリア「後悔なんてしないわ」

エミリア「約束を守ってあの場所を譲らなかったこと…。後悔しない。私が後悔するとしたら、あの時に力が足りなかったこと。賢く頑張れなかったこと。母様の言いつけを破って、パンドラの言いなりにならなかったことを後悔するなんて、絶対にしてあげない」

エミリア「だって…」

エミリア「母様は最後まで言ってくれたもん。約束を守った私を、誇りに思うって。貴方は私の宝物だって」

エキドナ「その母親は救えない…。君は、戦う意味をなくしたんじゃないのかい？」

エミリア「そんな事はないわ。母様は救えなかった。でも、村の皆はまだわからない。皆、氷の中で眠りながら今も待ってくれてる。私しかそれを助け出せない」

エキドナ「森は黒蛇に汚染されている。仮に凍土が溶けたとしても、肉体を病魔に蝕まれていたら…。先祖代々の土地には残れないと知ったら…」

エミリア「そんなの悪い想像よ！皆は助けを待ってる。早く起こしてあげて、私は皆に怒られるの。それから、生きててくれて良かったって、笑うのよ」

エキドナ「バカげた妄想だよ」

エミリア「いいえ。幸せな未来予想よ」

エミリア「母様は言っていたわ。いつか皆森を出て、普通に暮らせる時が来る。ジュースたちと村の皆が、仲良くできてたみたいに…。スバルが私を好きだって言ってくれるみたいに…。母様とジュースが並んで歩けたはずの世界が」

エミリア「きっと来るわ」

エキドナ「そこに、氷像となった村人の姿があると…？君がその手で氷漬けにしておいて」

エミリア「すごーく謝る。何度も何度も、何度だって許してもらえるまで頑張る！それで許してもらえたら、皆に世界を紹介するの」

エミリア「もう隠れて暮らす必要はないのよって。ここが、フォルトナ母様が言っていた世界なんだって」

エミリア「は～…」

エミリア「声を嗄らして、夢を謳って、空の上にいる母様に聞こえる様に言うの！母様の愛した世界はで、私は幸せでいるよって！！」

エキドナ「なるほど…。理解したよ。わかっていたつもりでいたが、僕の想像以上だ」

エキドナ「押しつけがましく、傲慢で、一人よがりで、身勝手で、偽善の押し売りだ」

エミリア「そうね。ダメ？」

エキドナ「これで試練は終わりだ。どれだけ一人よがりな結論であれ、過去の決着に違いはない」

エキドナ「母の犠牲を覚悟の言い訳にして、精々身勝手な願いを貫き通すと良い」

エミリア「好きに言ってくれていいわ。私、エキドナの悪口慣れてきたもの」

エキドナ「残す試練はあと二つ。精々君の無様な苦闘に期待したいところだが…」

エミリア「え？試練って…まだあるの？あと二つも？全部で三つ？」

エキドナ「残る試練は、あまり君には堪えないだろうね」

エミリア「そうなの…？」

エキドナ「開き直った君とは、すこぶる相性が悪い。ある種の思考放棄なわけだからね」

エミリア「すごーく心外」

エキドナ「ふっ、僕は君が嫌いだよ」

エミリア「でも私…、そんなに貴方のこと嫌いじゃないわ」

エミリア「…」

エミリア「ん…」

エミリア「すごーくありがとう…」

エミリア「ごめんなさい…。母様…」

エミリア「ぅ…ぅぅ…」

エミリア「母様…、母様…」

スバル「無理させてごめん…。でも、聞きたい以上の話が出来た。ありがとよ」

シーマ「結界を解くことが、リューズ・メイエルの望みを、ワシらの始祖の願いを踏みにじるのではないかと、ワシはずっと恐れておった…」

スバル「気持ちはわかる。でも、エミリアがそれをやってのけて全部が上手くいった時、今度は世界中が誰にとっても聖域って言えるようになるさ」

シーマ「預けたぞ…。スー坊」

スバル「預かったぞ。４００年前からの願いってやつ」

スバル「ともあれ、シーマさんは休ませたい。ラム、後は任せていいか？」

ガーフィール「ああ！それならリュー婆の家より、シー婆の隠れ家の方がいい、俺様が一緒に付いて…」

オットー「ああっと、待ってください！ガーフィールもまだ無理はいけませんよ！？ここはラムさんとリューズさんに任せましょう！」

ガーフィール「ああん？」

ラム「ガサツなガーフに来られて、シーマ様のお休みを邪魔されては本末転倒だわ」

リューズ「では、ワシも行くとしようかの」

ラム「そうして頂けると助かります」

ラム「気遣いの出来ない男たちの傍に、リューズさんを残して行くのは気が咎めますし」

オットー「そうそう。あれ！？今、僕もその男たちの中に含……！」

オットー「あれ。多分ラムさんは感づいてたんじゃないですかね～？」

スバル「まあ、見過ごしてくれたって事…。いや、そもそも協力してくれた時点で脈はあったって話か」

ガーフィール「って、勝手にわかり合ってんじゃねぇ！モルグレロノ１０人と１人みてーに、ほっ放っとくんじゃねーよ！」

スバル「お前に行かれちゃ困るのと、不確定要素のラムを外しておきたかったんだよ」

ガーフィール「ラムを？」

ガーフィール「おいおい、いよいよ何言ってんのかわかんなくなってきた」

オットー「これから、メイザース辺境伯の所にお邪魔しますから」

ガーフィール「あ？」

オットー「ガーフィールの腕は２本。足手まといは２人。これなら何とか届くでしょ？」

スバル「エミリアたんが胸張って出てくる前に、何とか戻ってこねぇとな」

ロズワール「このタイミングで、わざわざ私の元へ足を運んでくれるとはね。どういったご用件で来たのかぁ～な？」

スバル「バッチリおめかししてお出迎えなんて、そんな気合入れられると照れるぜ」

ロズワール「君が私に言ったんじゃぁ～ないかね。またこうして化粧した状態で、相対しようってぇ～ね？」

スバル「ああ、そういやそうだったな」

ロズワール「元々私にとって化粧は、負けられない戦いに望む気構えの様なものでね」

スバル「なるほど。まさに戦化粧ってわけか」

ロズワール「それで、スバル君。ここへは何をしに？」

スバル「もうわかってるはずだ。お前の作った盤面が、崩れ始めてるってな」

ロズワール「確かにね…。君の同行者を見れば、状況の変化はわかる」

ロズワール「何ともまあ、丁寧に飼いならされたものじゃないか？ガーフィール」

ガーフィール「ああん？」

ロズワール「だが、それよりも私にとって気がかりなのは…」

オットー「僕…ですか…？」

ロズワール「入って来た時から思っていたけど、彼は一体どこの誰さんなのかぁ～な？」

スバル「すげぇな、オットー！お前、未来を見透かす予言書からもハブられてるってよ？」

オットー「全然嬉しくありませんし、全く話が通ってない事に驚きが隠せませんけどぉ！」

ロズワール「そんな人物が、私とスバルくんとの勝負に立ち会っている…。なるほど…つまりは彼がそうか…」

スバル「ああ、そうだ。最初の歯車のズレだ」

オットー「え？」

スバル「お前がこれまで慎重に作り上げてきた盤面に、未知の駒が乱入したんだ。それで流れが変わった。予言書にも載らない、取るに足らない俺の友達のおかげでな」

ロズワール「改めて、名前を聞いておこうか…」

オットー「わ…！」

オットー「オットー・スーウェンと申します。こうして、辺境伯様とお目通りする機会を頂けて光栄です。しがない行商人にすぎませんが、御見知りおきを」

ロズワール「覚えておこう、オットーくん。次の機には、絶対に君を見落とすまいよ」

スバル「やったな、オットー！狙い通り、これ以上ないくらいロズワールの印象に残ったぜ？」

オットー「僕が望んでたのって、こういう覚えられ方じゃなかったですけどねー！」

ロズワール「オットーくんのおかげで君は立ち直り、最後の一勝負に挑む気概を得たわけだ」

スバル「そういう事。なんだけど、何かおかしくねーかぁ？」

スバル「普通ここはメインヒロインが、俺を立ち直らせる場面で、男キャラが出張るのって空気読めてなくない？」

オットー「そんな非難がましい目で見られても知りませんけどっ！？」

スバル「冗談だ、冗談！ははははは…！」

ロズワール「もう一度聞こう。ここに何をしにきた？」

スバル「降伏勧告だ」

ロズワール「…っ」

スバル「聞いたぜ？シーマさんから…」

スバル「この聖域が作られた、本当の理由を…」