【感想】 リゼロ2期 3話(28話) 内容は少し駆け足だったけどエキドナちゃん可愛かった

エキドナ「僕の名前はエキドナ。強欲の魔女とそう名乗った方が通りがいいかな」

スバル「な…」

エキドナ「そんなに警戒されると傷つくな。僕はこれでも幼気なひとりの乙女なのに」

スバル「悪いが、会うなり強欲の魔女なんて名乗った相手に警戒するのは無理だ」

エキドナ「なるほど。それは確かに」

スバル「ここはどこだ。俺は真っ暗な遺跡の中にいたはずだ。いつ転移させた！？」

エキドナ「残念だが、勘違いだ。君は肉体的な転移を体験したわけじゃない。僕の茶会に招かれただけさ」

スバル「茶会だ？」

エキドナ「魔女の茶会にね」

エキドナ「いつまでそうしているつもりだい？せめてお茶が冷める前に席についてくれないかな？」

スバル「あークソ！わかった！わかったよ！」

エキドナ「随分と勇敢だね。魔女の差し出した物をひと息とは…」

スバル「ふん！お前が俺を殺そうなんて思ったら次の瞬間消し炭だろうが！旨くもまずくもねぇが、何のお茶だ？これ」

エキドナ「ここで生成したものだからね。言ってしまえば僕の体液だ」

スバル「なんてもん飲ませてんだ、てめー！！」

エキドナ「フフフ、やはり君は不思議な人物だ。こうして普通に僕の前に居られるんだからね」

スバル「は！美少女すぎて普通だったら目が潰れるってか？言っとくがな、俺は俺的に最高の美少女で常に目の保養をしてるんだ」

スバル「だからお前の事を見ても、別にそんな大して可愛いなとか思う回数は少ない」

エキドナ「いや。普通の人なら僕の前に立つと吐くんだよ。面白いだろ？フフフ」 

スバル「誰も面白くねぇよ」

スバル「俺をどうするつもりだ？」

エキドナ「別にどうも。勝手に入ってきたのは君の方だ。帰りたいなら帰らせてあげるけど…」

エキドナ「君はそれでいいのかい？」

スバル「は…？」

エキドナ「強欲の魔女に話を聞ける機会なんて、君以外の誰が求めてもそうそう得られるものじゃないんだ」

エキドナ「問答を交わすのに必要なのは互いの存在だけ。余計な無駄は省くとしよう」

エキドナ「言葉だけあればいい。君の知りたい欲を、好奇心を、強欲を、僕は肯定しよう」

エキドナ「さあ、君は何を聞きたい？」

エキドナ「飢餓から世界を救う為に、天命と異なる獣を生み出した暴食の魔女ダフネのことかい？」

エキドナ「世界を愛で満たそうと、人非ざる者達に感情を与えた色欲の魔女カーミラのことかい？」

エキドナ「争いに満ちた世界を嘆きながら、あらゆる人たちを殴り癒した憤怒の魔女ミネルヴァの事かい？」

エキドナ「安らぎをもたらす、それだけの為に大瀑布の彼方に龍を追いやった怠惰の魔女セクメトの事かい？」

エキドナ「幼さ故の無邪気と無慈悲で、咎人を裁き続けた傲慢の魔女テュホンの事かい？」

エキドナ「ありとあらゆる英知を求めて、死後の世界にすら未練を残した知識欲の権化、強欲の魔女エキドナの事かい？」

エキドナ「それとも、それら全ての魔女を滅ぼし、自らの糧として世界を敵に回した嫉妬の魔女…。あの忌むべき彼女の事かい？」

エキドナ「しまったな…。脅かし過ぎてしまったようだ」

エキドナ「厄介なものだよ。魔女の性は」

スバル「ぐっ！」

エキドナ「うん。思ったよりはやかった。流石に適合者は馴染むのがはやい」 

スバル「何を言ってる…？」

エキドナ「お茶を飲んだろ？あれで怠惰の魔女因子に働きかけて、君の抵抗力を強くした。これでじっくり僕とも話が出来る」

エキドナ「さあ、何が聞きたい？」

スバル「聞き捨てならねぇぞ。俺の体に何をしたって？」

エキドナ「誤解しないで欲しいんだけど、僕は悪さをしようと思ってお茶を飲ませたわけじゃない」

エキドナ「むしろ僕は君の存在を好ましく思っている。少し恥ずかしいな」

スバル「あ？」

エキドナ「ここ数日の間に、君は怠惰の魔女因子の持ち主を殺しただろ？その死に際に、魔女因子は新たな憑代に君を選んだ。この墓所に入って無事なのも、そのおかげだよ」

スバル「墓所？墓ってことか？」

エキドナ「そう。ここは死後、僕の魂が囚われている魔女の墓所。聖域だ」

スバル「お前、聖域を知ってるのか！？」

エキドナ「君は勇敢なのか大胆なのか、経験の少ない僕には判断しかねるな」

スバル「茶化すな！だったらここは…。いや…、俺がさっきまでいた遺跡の森は聖域だと思っていいのか？」

エキドナ「連れないなぁ…。そうとも、君の願い通り遺跡の外は聖域だ」

エキドナ「さあ！他には何が聞きた…」 

スバル「お前に言えば外に出してくれるんだよな？」

エキドナ「え？」

エキドナ「ああ…それは保証するけど…。あの、僕に聞きたいことはないのかい？」

スバル「わりぃが、今はお前と話すより、外にいるはずのエミリアと合流したいんだよ」 

エキドナ「え…」

エキドナ「え…？」

エキドナ「嘘でしょ！僕は強欲の魔女だよ？」

エキドナ「世界中のあらゆる権力者が僕の知識にすがろうとこの身を求めて来たんだ」

エキドナ「その…、まず落ち着こう！落ちついて話し合お？誰も知らない世界の真実の知識なら…」

スバル「興味ない！」

エキドナ「えーーー！」

スバル「お前との茶飲み話は、また別の機会に作ってやるから」 

エキドナ「死者に、それも魔女に、そんな簡単な事のように約束を取り付けるのか…」

スバル「あ…」

エキドナ「こんな茶会は初めてだ…」

エキドナ「本当に帰るなら、最後に対価を頂こうか」

スバル「な…。言っとくが俺は万夫不当の一文無しだぞ」 

エキドナ「魔女の対価だ。金銭じゃない」

エキドナ「君に求めるのは制欲かな。この茶会の出来事の口外禁止…」

エキドナ「それが条件だ。それと、せっかくだ…。お土産を持たせてあげるよ」

エキドナ「君に、この聖域の試練に挑む資格を与えよう」

スバル「聖域の試練？」

エキドナ「今はまだわからなくても、その場所を知ればその価値に気づける。そうなった時、君が僕にどんな感情を抱くか…」

エキドナ「それはそれは、素敵な期待だね…」

スバル「お前…、やっぱり魔女なんだな…」

エキドナ「ああ、そうだとも」

エキドナ「僕はとても悪い魔法使いなんだぜ」

スバル「！？」

スバル「とにかく外に出ねぇと…」

スバル「エミリア達と合流だ」

スバル（誰かに…なんか言われたような…）

スバル「…っ！」

スバル「オットー！？」

謎の男「そんなところから堂々と…。いい度胸してんじゃねぇか、よそ者！」

謎の男「穴だらけのマグマリンが笑うって奴かぁぁー？」

スバル「うわぁーーー！」

謎の男「ヒヒ…」

スバル「いってぇ…。クソ、なんだ？」

スバル「は！」

スバル「はぁ…」

謎の男「ハッ、痺れる判断だ！」 

パトラッシュ「クウゥゥ…」

謎の男「いい地竜だな」

パトラッシュ「クゥゥゥ！」

スバル「待て、パトラッシュ！」

謎の男「いい女じゃねぇか、てめぇ」

謎の男「痛い目に合わせねぇ…」

謎の男「ちいと寝とけ！」

謎の男「こいつの奮戦に感謝しろや」

スバル「待て…！待て！」

謎の男「てめーら半殺しにして森の外に捨ててやる。ここのこと誰にも言わねーって誓えるようになってからなー！」

スバル「お前フレデリカの関係者だろ！」

謎の男「何でテメーの口から、その名前が出やがった？」 

スバル「何でだと思う…？よーく考えろよ」

謎の男「考えた。わからねぇ。ぶちのめしてから考える！」 

スバル「短絡的な考え方やめろ！俺達も関係者だからだよ！」

謎の男「あん？」

ガーフィール「俺様はガーフィールだ。てめーらが関係者だってんなら、聞いた事ぐらいあるんじゃねぇのか？」 

スバル「お前が…」

ガーフィール「なんで俺様がフレデリカの関係者ってわかった！？」

スバル「それ本気で聞いてる？」

オットー「完全にやられ損なんですが…。この怒りはどこへやればいいんですかねー」 

ガーフィール「うるせぇ御者だな！謝っただろーが！」

オットー「誤ったって…。まさかさっきの『わりぃボンクラ早とちりだった』って反省の言葉じゃありませんよ…」

ガーフィール「大体、そいつを見せれば一発だったろうが。考えるよりガングリオンってなー」

ガスバル「ガングリ…？」 

ガーフィール「その髪、噂のエミリア様だな」

ガーフィール「ロズワールが抱えてる銀髪の半魔」

スバル「ハーフエルフだ！二度とそんな呼び方するんじゃねぇぞ！」 

ガーフィール「ハッ、なんだなんだ気合入った声も出せんじゃねぇか！」

ガーフィール「右へ左へ流れるバゾマゾみたいになるか？」 

スバル「なぁ、俺とお前との間で言語翻訳バグってないか？」

ガーフィール「あ？」

エミリア「ん…」

スバル「エミリア！無事で良かったー」 

エミリア「スバル…」

エミリア「はっ…！」

エミリア「誰！？言っておくけど、スバルには指一本触れさせないから！！」 

スバル「待ってエミリアたん！嬉しいけど男としてスッゲー複雑だし、大丈夫だから」

ガーフィール「やる気はねーよ。ラムにどやされるのはごめんだからな」

エミリア「ラム？」 

スバル「こいつはガーフィールだ」 

エミリア「ガーフィールって、フレデリカが話してくれててた？」

スバル「うん、それで今はこいつの案内で聖域に向かってる最中。そこにラムやアラーム村の人たちも居る…でいいんだよな？」

ガーフィール「疑うのは自由だけどな。今更、引き返すなんぞ出来やしねぇ。もう結界は超えちまったんだ」

エミリア「じゃあ、もうここは聖域なの？」 

ガーフィール「おいおい、勘弁しろや。そもそも結界に近づいたから、てめーは寝てたんじゃねーのかよ」 

エミリア「結界に？」

エミリア「そういえば…。あの石が光ってたのも…」

スバル「同じタイミングだった…。ってことは、これは結界に反応したのか…」

スバル「でも、どうしてエミリアたんだけ倒れたんだ？いや、俺もいつの間にか転移してたけど、少なくともオットーは…」

ガーフィール「ハッ、結界がてめーら無視して、この女にしか反応しねーのは当然だろうーがっ」

ガーフィール「結界に引っかかるのはハーフエルフに限らねぇ。俺様や他の連中もそうだ。なんせ…」 

エミリア「貴方たちも混血ってこと？」 

ガーフィール「フン…」 

スバル「つまり、聖域ってのは亜人族の中でも混血の人たちが暮らす場所ってことか」

ガーフィール「ご名答だー！歓迎するぜ！エミリア様とその御付二人！」

ガーフィール「ロズワールは聖域なんて気取って呼んじゃーいるが、ここはそんなおキレイな言葉の似合う場所じゃねぇ。半端者の寄せ集めが暮らす行き詰まりの実験場だ！」

オットー「あのーどこに…」

オットー「お…」 

ラム「戻ったの随分と遅かったようね」

スバル「ラム！」

ラム「どこのバルスか存じ上げませんが、遅すぎる到着で失望したわ。ああ、期待したラムがバカだったわね」

スバル「存じ上げませんって言うんなら、最後までその設定を貫けよ」 

ラム「フン」

ラム「エミリア様、ようこそいらっしゃいました。奥でロズワール様がお待ちですのでご案内致します。ガーフは、竜車と御者を適当なところまで案内なさい」

ガーフィール「扱いが悪いな！そこがいいんだが」

ガーフィール「おい、御者ヤロウ付いてこい」

オットー「それ僕のことですか！？今までで最悪の認識なんですけど。てゆーか、貴方と二人きりで！？」 

スバル「骨は拾ってやるぜ？」

オットー「僕の扱い、雑すぎません！？」

スバル「ふっ、何言ってんだ。俺が気絶してる間、お前が居てくれたからエミリアが無事だったんだ。感謝してる」

オットー「お…お…。いやぁ、まあ、感謝の気持ちがあるなら…はーい」

スバル「ちょろい…」

スバル「……」

ラム「…なに？」

スバル「あ、いやぁ…元気かなってと思って…。最後に別れた案件が案件だろ」

スバル「その後、連絡がつかなくって、正直すっげぇヤキモキしてたからさ」

ラム「見ての通り、ラムは今日も可憐で壮健よ。アーラム村の住人にも被害は出ていないわ。安心なさい」

スバル「そっか。それはホントにほっとした…」

スバル「ほっとした…」

スバル「あのさ…」

エミリア「ねぇラム、いつまでも立ち話をしてるのもなんでしょ？案内お願いしていい？」 

ラム「かしこまりました」

エミリア「スバル、大丈夫？」 

スバル「ああ…」

エミリア「ごめんなさい、割り込んで…。でも…」 

スバル「いや、わかってる。ビビっちまっただけだ」

スバル「この状況でレムの事、聞いてこない時点でさ…」

スバル「情けねぇ」

エミリア「怖くて当たり前の事よ。そんなの情けないなんて思わないから」

エミリア「行きましょう。レムの事も、色んな事も、全部が良くなれるように」

スバル「了解。何があっても、俺は肉の盾としてエミリアたんを守るよ」

ロズワール「いや～、エミリア様にスバル君。随分と久々の再開な気がするねぇ～？」

スバル「会ったらドツいてやろうと思ってたんだが、お前どうしたんだよ？」 

エミリア「貴方がこんな大怪我するなんて…」

ロズワール「さーて、どこから話したものですかーね」 

スバル「あー、その前に一個だけ」

スバル「クルシュさんとの同盟は成ったぜ。これで俺を置き去りにした結果に満足かよ」

ロズワール「ああ、満足だ～とも。まさにまさに」

ロズワール「君は得難く大望の拾い物だった」 

スバル「そうかい」

エミリア「ロズワール、ここは何なの？ここに着いて…ううん、結界に触ってからだと思う。ずっと胸がざわついて落ち着かないの」

エミリア「聖域なんて呼ばれ方なのに、私には全然そんな風に思えない。むしろそれよりも…」

ロズワール「魔女の墓場」

ロズワール「そう呼んだ方がずーっと納得出来ると」 

エミリア「どういう意味？」

ロズワール「意味も何も言葉通りですよ。ここはかつて強欲の魔女と呼ばれた存在、魔女エキドナの最後の場所であり、私にとって聖域と呼ぶべき場所、です」

スバル「エキドナ…」

エミリア「スバル？大丈夫？」 

スバル「いやぁ、平気！」

スバル「なんだってそんないわく有りげな場所を、お前が管理してんだ？」

ロズワール「それは簡単。この土地は代々、我がメイザース家の当主が管理を引き継いでいる」

エミリア「じゃあ昔から強欲の魔女とメイザース…」

ロズワール「エ キ ド ナ」

エミリア「え？」

ロズワール「どうぞ彼女を呼ぶ時は名前を。強欲の魔女だなんて呼び方、如何にも邪悪な感じがしてよくなーいでしょ」

エミリア「えっと…じゃあ昔からエキドナとメイザース家は付き合いがあって、ここを管理してるってことでいいの？」

ロズワール「ええ。とはいえ管理なんて大袈裟なことは何も。エキドナの結界によって、森は正式な手順を踏まない部外者を通さない。その上、結界は血の条件を満たす者には特別な効果を発揮する」

ロズワール「それは、エミリア様も体感なされたのでは？」 

エミリア「…」 

スバル「で、お前は何だってそんな見るも無残な事になってんだ？」

ロズワール「ふむ…」 

ラム「エミリア様は不思議に思われませんでしたか？」

エミリア「え？」 

ラム「聖域に逃れてきた住人たち、それにロズワール様やラムがこうして屋敷に戻らず、この場に留まり続けていることを」

エミリア「あ、それは…」 

スバル「だから、お前が怪我してるからだろ？」

ロズワール「今、わーたし達は全員、この聖域に軟禁されている状況なんだ～よ？」

スバル・エミリア「は！？」

ロズワール「私もラムも、アーラム村の人間も…。あっ！ここに入った時点で、君たち二人もね～～」

ガーフィール「なんだ？まだたーらたら話してのかよぉ」

エミリア「軟禁って…ロズワールの怪我…、まさかっ！」

ガーフィール「ちげぇー。そいつの傷は試練に拒否された結果だ」

スバル「試練？」 

エミリア「どういうこと？」

ガーフィール「結界に触れたらどうなるか。そいつは体験済みだろ？あの調子で中に入った混血は、外に出られなくなるのさ」

スバル「な…、じゃあエミリアも？」 

エミリア「っ！」 

ガーフィール「普通の奴らには関係ねぇ結界だが、そりゃちょっとばかし不公平じゃねぇか。なあ、エミリア様？」

ガーフィール「結界を解くには墓所の試練に挑むしかねぇ。だが、混血以外の奴が試練に挑めば…」

ガーフィール「村の連中は一か所に集めてやる。暴れねぇ限りは手は出さねぇ。三食昼寝付きだ」

ガーフィール「俺様たちからの要求だ。この聖域を囲む結界を解け！そのための試練をてめぇが受けろ！それが解けなきゃ、村の連中は誰も外には出さねぇ。もっとも、今はてめぇ自身出られやしねぇけどなぁ！」

村人「おお…スバル様…！」

村人「よくぞご無事で…」

スバル「皆、無事で何よりだ！」 

村人「他の皆は元気ですか？」 

村人「ご領主様のお怪我は大丈夫でしょうか？我々の為に怪我をなされたとか…」 

村人「ほっとしましたよ！」

スバル「皆、聞いてくれ！」

スバル「知っての通り、村を襲った危険分子は追っ払った」 

村人たち「おおお…」

スバル「避難したもう片方のグループも村に戻って、今は皆の帰りを待ってる」 

村人たち「あ…」

スバル「ここを出るのが難しいってことは、皆も知らされてるっぽいな」

スバル「だけど、大丈夫！なぜなら皆を開放する為に、試練に挑んでくれる子がいるからだ」 

村人「それって…」 

村人「もしやスバル様が？」

村人「あ…」

スバル「皆も知ってるはずだ。王選候補者のエミリア。彼女が試練に挑む」 

村人「ええ…」

エミリア「ま、待たせてごめんなさい。領主ロズワール・メイザースに代わって私が試練に挑みます！」

エミリア「よろしくお願いします！」

村人たち「…」

村長「一つだけお聞かせ願いたい」 

村人「村長…」

村長「なぜです？先日も貴方は私共に頭をお下げになった。ですが、その手を拒んだのは私共です」

村長「王選において、私共の支持を得たいからと言うなら、それでも構いません。そう言って下されば…」

村長「ですが、もし他に理由があるなら知りたいのです。貴方が私共の理解できない魔女ではないということを…」

エミリア「私には、いま立派なことを答えられる自信がありません。すごーく説得力があって、皆を納得させられるような言葉は何も…」

エミリア「ただ、私には何日か短い間だけど、ここには居ない皆の家族と過ごしました」

エミリア「それで、改めて思ったんです！家族は一緒に居なくちゃ駄目だって！」

エミリア「私は…、貴方たちを家族の所へ帰してあげたい。そう約束してきたわけじゃないけど、自分の胸に誓ったの」

エミリア「理由はそれだけです。支持して欲しいだとかは、あんまり考えてはませんでした。でも、出来れば皆と…、えっと…」

エミリア「仲良くしたい…！とは、思ってます」

村長「エミリア様」

エミリア「は、はい！」 

村長「都合がいいと思われるのは承知しています。ですが…」

村長「よろしくお願いします」

エミリア「あ…こ、こちらこそ！不束者ですが、よろしくお願いします！」

スバル「不束者って、今日日聞かねぇな」

ラム「エミリア様、少し変わったみたいね。バルスが何か吹き込んだおかげ？」

スバル「自分で考えた結果だ。そうやって何でもあの子の決意を人任せにするなよ」

ラム「そうね。今のはラムが悪かったわ」

スバル「微精霊からの応援、満足いくまで貰えた？」

エミリア「うん、大丈夫。でも最後の一押しが欲しいかも」

スバル「俺で良い？」

エミリア「スバルのが欲しい。お願い」

スバル「がんばれ、負けるな、EMT！エミリアたん挑戦者！！」 

エミリア「うふ、ありがと！」

エミリア「！」

ガーフィール「試練に挑む資格ありって認められたってことだ」

エミリア「行きます！」

スバル「外に出らんねぇのは同情するぜ。でもなんで自分でやらねぇんだ」

ガーフィール「チッ…やれんならやってんだよ…」

ラム「！」

スバル「おい！これ大丈夫なのか！？」

ガーフィール「試練が続く限り、光が消えるなんてありえねぇ」

スバル「エミリア！」 

ラム「バルス！」

スバル「！」

ラム「何で…！？」

スバル「よくわかんねぇけど、入れんなら願ったりかなったりだ！そこに居てくれ！何かあったら声を上げる！」

スバル「あ！」

スバル「エミリア！」

スバル「！？」

謎の声「まずは己の過去と向き合え…」

父「グッモーニン！息子――！」

スバル「ぐえぇー！！」

父「おいおいおい、どうしたどうしたどうしたよ～」

父「まるで朝っぱらから、全裸の親父でも見たかのような顔だぜ？」