【感想】 探偵はもう、死んでいる 12話(最終回) ついに1話と繫がっていい感じにまとまった

シエスタ「馬鹿か君は」

シエスタ「きっと助手は泣くから…私のために泣いてくれるから」

シエスタ「だからあの船でお別れしたつもりなのに全く…」

シエスタ「君、私のこと好きすぎじゃない？」

シエスタ「3年間いっぱい振り回してごめん」

シエスタ「できるなら君がもっと理不尽だって溜息をつく顔が見たかったな」

シエスタ「君の笑った顔、もっと見たかったな」

シエスタ「死にたく…なかったな」

シエスタ「でも」

シエスタ「私はあの時約束した…君がその体質のせいでどんな事件やトラブルに巻き込まれようと守ってあげるって」

シエスタ「だから君は今みたいに」

シエスタ「安心して眠ってて」

シエスタ「次に君が目を離した時、私はもういないけど」

シエスタ「大丈夫」

シエスタ「きっと私の代わりに君を助けてくれる」

シエスタ「私の代わりに君を抱きしめてくれるはずだから」

シエスタ「結局、渡しそびれたまんまだったね」

シエスタ「名前も考えないと」

シエスタ「ヘルの意識を封印し、この肉体が生まれ変わる時の名前」

シエスタ「ねえ助手」

シエスタ「覚えておいて」

シエスタ「いつか、君の眠りを覚ますものの名前は…」

シエスタ「君の顔を見るのは1年ぶりだけど」

シエスタ「少し目つきが悪くなったね」

君塚「お前の方は見た目から何まで全てとっかえひっかえじゃないか」

君塚「そこに…お前はまだいたんだな」

シエスタ「私はちょっとこの子の身体を借りてるだけ…乗っ取ってやろうなんて考えていないから」

君塚「でも…会えて嬉しいよシエスタ」

カメレオン「ぐううう…」

君塚「シエスタ、おしゃべりはここまでだまずはあいつをどうにかしないと」

シエスタ「だね…またそのために来たんだし」

シエスタ「じゃあ」

シエスタ「君、私の助手になってよ」

君塚「ご命令とあらば」

君塚「名探偵…！」

シエスタ「はい」

シエスタ「来るよ」

カメレオン「うおおおおお！！」

シエスタ「あれ？君がそっち側でいいの？」

君塚「何か問題が？」

シエスタ「そいつはもう攻撃できないから私が正面の方が都合がいいと思うんだけど」

君塚「忘れてた」

シエスタ「意外と抜けてるところはなおってない」

カメレオン「うおおおおお！！」

シエスタ「思えばいつもそうだった」

シエスタ「今日はリゾートホテルに泊まらせてやるって意気揚々と有り金全部カジノにはたいたり」

君塚「それはもうお前が野糞はもう懲り懲りよっていうから仕方なく一発逆転を狙って…！」

シエスタ「記憶を捏造しないで！君が野…外で用を足してるのをたまたま見てしまって君のプライドを傷つけてしまった件なら謝るけど？」

君塚「戦闘中だぞ！余計なことは思い出すな」

君塚「それに…お前だって恥ずかしい姿を俺にさらしたことがあっただろ？」

シエスタ「なんのこと？」

君塚「だから、いつだったか2人でベッドに入ってそれで…！」

シエスタ「あーあー聞こえない」

君塚「だから俺に銃を向けるな」

カメレオン「おらあああああ」

シエスタ「戦闘中ってこと忘れてない？」

シエスタ「余計なことは思い出さないで」

君塚「それ俺のセリフなんだが…理不尽だ」

カメレオン「ぐあああああ！」

シエスタ「で…」

シエスタ「結局のところどうなったわけ？」

君塚「どうって？」

シエスタ「だからその…一緒に寝て…その後私達…」

シエスタ「した？」

君塚「余計なことは思い出して欲しくないんじゃないのか？」

シエスタ「いや、実はそれが気になってしぶとく現世にしがみついてた」

君塚「感動の再会を返せ…」

君塚「それで」

君塚「本当は何をしに戻ってきた？」

カメレオン「ぐおおおおお….！！」

カメレオン「おおおおお！！」

カメレオン「おおおおお！！」

君塚「やばいな…」

君塚「うわ！！」

カメレオン「ぐうう！！」

シエスタ「君を助けてあげてほしい」

シエスタ「実は彼女にそうお願いされてね」

君塚「夏凪がお前に？」

シエスタ「うん、本当はあの子に全部任せるつもりだったんだけど…でも今回が最後」

シエスタ「もう二度はないからね」

君塚「ああ…わかってる…」

シエスタ「助手」

君塚「なっ！？」

君塚「お、おい！」

君塚（身体が違えど）

君塚（あの時もこうしてシエスタに助けられた）

君塚（いや…あの時だけじゃない）

君塚（いつだって…どこだって…）

君塚（俺はお前に…）

君塚「やっぱり俺はお前に振り回されるくらいがちょうどいいらしい」

シエスタ「急にどうしたの助手」

シエスタ「寂しかった？」

君塚「まさかそんな女々しいこと」

シエスタ「ごめん…」

君塚「謝るな…」

シエスタ「先に死んでごめん」

君塚「だから謝るなって」

シエスタ「本当はね君と何年も旅をする予定はなかったんだ」

シエスタ「でも気づいたら3年たっていた」

シエスタ「きっと私は私の思ってる以上に君のことを気に入ってたんだ」

君塚（アホか…俺とお前は友達でもなければ恋人でもなかった）

君塚（探偵と助手…ただの器用なビジネスパートナーだ）

シエスタ「わかってるよ…君も私を特別と思ってないし私も君を特別扱いしなかった」

シエスタ「ただ君と過ごしたあの目もくらむような3年間は」

シエスタ「私にとって何よりの思い出だよ」

シエスタ「馬鹿か君は」

シエスタ「死人に意地をはってどうするの？」

シエスタ「この1年よく頑張った」

カメレオン「うおおおおおおお！！！」

君塚「寂しいからって」

君塚「悪いがそんなことも考える暇もないくらい」

君塚「騒がしいやつらがそばにいるんでな」

君塚「だからもう1人じゃない」

シエスタ「そっか…仲良くするんだよ」

君塚「なあ、シエスタ」

シエスタ「何？」

君塚「さっきの話の続き、2人でベッドに入ってその後どうなったのか」

君塚「残念ながらというべきか何もなかったよ」

シエスタ「そっか」

シエスタ「実のところ」

シエスタ「一度くらい君とならいいなと思ってたんだけどね」

君塚「そういう大事なことは」

君塚「今度から早く言ってくれ」

カメレオン「うおおおおおおお！！」

バァン！（銃声）

シャル「マアムに会った！？」

君塚「ああ、あいつがいなければ今頃俺たちは海の藻くずだ」

シャル「そう…また私たちはマアムに救われたのね」

シャル「もしかしたらマアムはあの日自分が死ぬことすらわかってたかもしれないわね」

君塚「ああ、そうかもな」

君塚「でも…仮にそうだったとしても」

シャル「生きてて欲しかったな」

シャル「マアムは何か言ってた？」

君塚「仲良くしてくれだとさ」

シャル「そう…今度花屋に行くのにつきあってくれる？」

君塚「花屋？」

シャル「マアムのお墓に何を買ったらいいか教えて」

唯「本当にそれでよかったんですか？」

君塚「ああ、十分だ」

唯「でもすごく普通でしたよ？」

唯「君塚さんは全身全霊で普通なんだから着るものまで普通だと景色と同化しちゃうのに」

君塚「なわけあるか」

唯「私には見えています」

唯「君塚さんがモブになる未来が…」

君塚「おい」

君塚「ったく…」

君塚「ずっとその左目で見続けてくれたんだな斉川…助かった」

唯「当然のことをしたまでです！」

唯「だって私は助手の助手ですから！」

君塚「っていうかお前こんなところにいていいのか？パーティーがあるんだろ斉川に感謝を伝えるっていう」

唯「ああ…そんなことしないでいいって言ったんですが…」

君塚「そりゃ命の恩人だからな…こうして帰路につけてるのも斉川のおかげだ」

唯「あ、いけないリハの時間です」

君塚「リハ？」

唯「パーティー内で私のライブを行うんです！」

唯「あんな事件の後ですから1つでも楽しい思い出がうまれたらいいなと思いまして」

唯「それに弱った人間の心には音楽が沁みやすいんです」

唯「これはチャンスです…私の信者、いえファンを増やすための！」

君塚「斉川…」

唯「さあ世界一さいかわなアイドル斉川唯の本領発揮です！」

君塚「風靡さん」

風靡「おう」

風靡「どうするんだ？」

君塚「あのことなら夏凪にはまだ伝えませんよ」

風靡「そうか」

風靡「まあ、お前の好きにすればいいさ」

渚「おまたせ」

渚「あんた何その格好」

君塚「中々揃わないもんだな」

渚「その似合わないジャケットどうしたの？」

君塚「斉川に買ってもらった」

渚「うわー引く…普通に引く」

君塚「正論を言うな」

渚「すいません！」

君塚「なあ夏凪」

渚「なに？」

君塚「これからのことなんだが」

君塚「名探偵続けてもらえるか？」

渚「正直、やっぱり自信はないんだけどね」

渚「私は今回何も活躍できてない…むしろ迷惑ばかりかけて」

渚「あんたや唯ちゃんに助けられっぱなしだった」

渚「それに最後は…彼女に頼っちゃった」

渚「やっぱり私は…」

君塚「シエスタ本人に聞いたぞ、お前が自分の意思でシエスタ本人に身体を貸したって」

シエスタ「私に貴方の身体を使えっていうの？」

渚「うん、それが貴方の願いを聞く交換条件」

シエスタ「でも、その身体は君のものだよ？君だけのものでしょ彼もそういってたよ」

渚「そうだね」

渚「この手も」

渚「足も」

渚「髪の毛の先まで全部私のものだよ…だけど心臓は違う」

渚「だから私と入れ替わって…今も敵と戦ってる君塚を助けてほしい」

シエスタ「私はもう死んだんだよ私は彼に関わる資格はない…それに…」

シエスタ「助手は迷惑じゃないかな？今更私が現れて」

渚「さあね！それは自分の目で確かめてくればいいんじゃない」

シエスタ「無責任」

渚「いやだって、いきなり乙女モードに入られたから」

シエスタ「本当に君とは相性が悪そうだね」

シエスタ「わかったよ」

シエスタ「いけばいいんでしょ…いけば」

渚「ねえ」

渚「私に命をくれてありがとう…名探偵」

シエスタ「どういたしまして…でも」

シエスタ「私こそ…私の命を使ってくれてありがとう名探偵」

君塚「お前の言葉がシエスタを動かしそれが俺の命を救った」

君塚（夏凪には本人に気づいてない資質がある）

君塚（あのときの夏凪は）

君塚（蓋をした俺の感情に火をつけた）

君塚（そしてもう一度果たすべき使命を思い出させてくれた）

君塚（サファイアの事件の時も）

君塚（斉川が欲しているものを俺より早く見抜いた）

君塚（そして今回も）

君塚（その思いと言葉で俺たちを）

君塚（シエスタを動かしてみせた）

君塚（きっと夏凪は）

君塚（その時人が最も欲しい行為と言葉を与えることができる）

君塚（そんな能力を持っている…だから）

君塚「お前は最高の名探偵だよ」

君塚「だってそうだろ、探偵は依頼人の願いをかなえる存在なのだから」

渚「ずるいよ…」

渚「でも…まあやるよ」

渚「私も頼まれちゃったからね」

君塚「頼まれた…？シエスタに？」

渚「うん、それが彼女に一度だけ働いてもらう条件だった」

渚「夏凪渚」

渚「斉川唯」

渚「シャーロットアリサカアンダーソン」

渚「そして君塚君彦」

渚「4人でスペースを倒してほしい」

シエスタ「君たち4人が私の残した遺産で最後の希望」

君塚「そうか…」

君塚（きっと今、この瞬間俺は名探偵の意思を継げた）

渚「まあ」

渚「それでも自信がないことには変わりないんだけどね」

君塚「大丈夫だ自信のなさに関しては俺の右に出るものはいない」

渚「そんな嫌な相対評価の上げ方ある？」

君塚「それにお前はシエスタが完璧超人と思ってるかもしれないが案外そうでもないぞ？」

渚「そうなの？」

君塚「そうだとも」

君塚「存外雰囲気に流されやすいし、いつだったか訳もわからず一緒のベッドに」

君塚「おい、夏凪？」

渚「ねえ…今日この後」

渚「部屋くる？」

君塚「はぁ？お前なに言って…」

君塚「お前…まさか…？」

渚「どっちだと思う？」

アナウンス「お客様にお知らせがあります」

アナウンス「詳細をお話することはできないのですが」

アナウンス「お客様の中に」

アナウンス「探偵の方はいらっしゃいませんか？」

君塚（探偵はもう死んでいる）

君塚（だけど）

君塚（その意思は決して死なない）

君塚（だから….）

君塚（エピローグにはまだ早い）

シエスタ「ねえ助手…」

シエスタ「覚えておいて…いつか君の眠りを覚ます者の名前は」

シエスタ「渚…」

シエスタ「夏凪渚…」