【感想】 探偵はもう、死んでいる 8話 嫉妬シエスタちゃんかわいい 探偵ものじゃなくてバトルものだね

バリ…（シエスタの咀嚼音）

シエスタ「ニンジンが鉄のように固い」

君塚「俺に料理をさせたのが間違いだったな」

シエスタ「なんでそんなに偉そうにできるの？」

君塚「いつもの包丁が見当たらなくてな…って今はそんなことより」

シエスタ「ケルベロスが死んだ」

シエスタ「それは間違いないと思うよ」

君塚「じゃあ、あの偽物の風靡さんは….！？」

シエスタ「例えばあの偽物の女刑事の正体がヘルだとしたら」

君塚「ヘル…？でもあいつに変身能力なんて」

シエスタ「人造人間はあるモノを核に生まれた存在でね」

シエスタ「その核を引き継ぐことで特殊能力も引き継ぐことができる」

君塚「それって…」

君塚「あの黒い石…」

君塚「じゃあヘルは今、能力と使命を引き継いで人々の心臓を奪っていると？」

シエスタ「どうだろうね」

シエスタ「あるいは単純に自分のためかも」

君塚「そんな着せ替え人形みたいなマネができるのか」

シエスタ「できるよ」

シエスタ「敵は人造人間なんだから」

シエスタ「とはいえ、やるべきことは変わらないよ私たちはこの連続殺人事件を終わらせる」

君塚「明日から忙しくなりそうだな」

シエスタ「そうだね…でもそうなると…」

アリシア「私のことなら別にいいから」

君塚「アリシア…お前いつの間に！？」

バリ…バリバリ….！！（アリシアの咀嚼音）

アリシア「カレーを食べてるとは思えない効果音ね」

アリシア「とにかく今は事件の方を優先するべきでしょ？」

シエスタ「そんな物分かりのいいことを言いにここに来たわけじゃないでしょ」

アリシア「この事件…私にも手伝わせてほしい！」

シエスタ「いうと思ったよ…でも絶対ダメ」

アリシア「どうして！？」

シエスタ「危険だから」

シエスタ「死人だってもう4人も出てる」

アリシア「私だってあの2週間で君塚の事件を解決したもん！！」

シエスタ「猫を探したり財布を交番に届けたり」

アリシア「事件に大小は関係ないでしょ？」

シエスタ「屁理屈だね」

アリシア「屁理屈も理屈！」

君塚「ちょっと落ち着け」

アリシア「私だって探偵だもん」

シエスタ「アリシア、君は探偵代行だよもう君の出番はない」

君塚「おいシエスタ、ちょっと言い過ぎじゃないか」

シエスタ「何？君はその子の味方なの？」

君塚「そうは言ってないだろ」

シエスタ「ああ、やっぱりロリコンだったんだ…あれ本当だ包丁がない」

君塚「このタイミングでそんな物騒なものを探しにいくな」

アリシア「いいわよ！」

アリシア「私は私のやり方で動くから！」

アリシア「この事件は私のやり方で解決する」

アリシア「それで私も探偵なんだって証明してみせる」

アリシア「そういうわけだから」

アリシア「明日から頼んだわよ君塚」

シエスタ「えっ…」

君塚「まあわかったよ…了解了解」

アリシア「やったー！そういうわけだから君塚はこれからも私の助手ね」

シエスタ「いや…助手は…」

シエスタ「私の….」

ウィーン…ウィーン（サイレンの音）

ウィーン…ウィーン（サイレンの音）

ウィーン…ウィーン（サイレンの音）

君塚「それは…」

君塚「5人目の被害者が心臓を奪われた知らせだった」

君塚「すいません…」

君塚「事件の直後なのに」

？？「いいえ…それが貴方たちのお仕事なんでしょ？」

？？「何かお役に立てるなら」

？？「今、お茶を用意するわね」

アリシア「大丈夫ですか？」

？？「ごめんなさい…」

？？「突然のことなので…」

？？「まだあの子がいなくなったことを信じられなくて」

被害者の母親「夫が早くに亡くなったこともあってずっと2人きりだったから娘には苦労ばっかりかけてしまって」

被害者の母親「なのにあの子はお金をいっぱい稼げるようになってお母さんに楽をさせてあげるからって..」

被害者の母親「それから本当に立派になってこんな家まで建ててくれて…」

シエスタ「事件の日、何か娘さんに変わった様子はありませんでしたか？」

君塚「おい…シエスタ…」

被害者の母親「あの日は…」

被害者の母親「特に変わった様子もなく家を出て」

シエスタ「では、遺体を見てなにか？」

君塚「シエスタ！」

被害者の母親「あの子は…私にとって勿体ないくらい自慢の娘でした」

被害者の母親「なのに…私は何も与えてあげられなかった」

被害者の母親「貰ってばかりで何も返せないなんて…」

アリシア「そんなことない！！」

アリシア「貰ってばかり、与えてないなんてそんな一方的な関係あるわけない！」

アリシア「あなたが娘さんからたくさんのものを貰ってばかりというのなら」

アリシア「それはきっと貴方も娘さんに沢山の何かを与えてきたから！」

アリシア「そうでしょ？」

被害者の母親「ありがとう」

被害者の母親「なんだか娘に言われている気分だったわ」

シエスタ「さっき」

シエスタ「どうして止めたの」

君塚「この一連の事件は通り魔的犯行だ、だから被害者がどういった行動をとっていたかの質問は無意味なはずだ」

シエスタ「それはこれまでがそうだっただけで今回もそうであると限らない」

シエスタ「例外をつぶす意味でも私はあの質問をする必要があった」

シエスタ「私はヘルを倒すためだったら手段を択ばない必ず彼女を追い詰めてみせる」

シエスタ「でも、君は違うんだね」

君塚「シエスタ…俺は…」

シエスタ「君のことだけは信じてたんだけどね」

君塚「シエスタ…」

シエスタ「今日は帰るよ」

シエスタ「じゃあね」

君塚「隠れてないで出て来いよアリシア」

アリシア「あー、ばれた？」

君塚「まあ、なんだあんなのよくあることだからな」

君塚「そりゃ3年も一緒に旅してたら喧嘩の1つくらい当然だし」

君塚「むしろ喧嘩をしない方がおかしいというか、こんなの日常茶飯事で…」

君塚「まあでも、今回みたいなガチっぽい対立は初めてなわけだが…」

君塚「でもなんだ、だからな…えっと…」

アリシア「うわ、めっちゃ気にしてる」

君塚「この話はやめるか…」

君塚「あ、そういえば」

アリシア「ん？」

アリシア「え？これ」

アリシア「あの時の…！？」

君塚「ああ、礼ってわけでもないけどな」

アリシア「わあ…嬉しい…！」

アリシア「はじめて」

アリシア「誰かからプレゼント貰ったの…」

君塚「アリシア…お前…」

アリシア「ううん、そんな気がするだけ」

アリシア「きっと記憶を失う前の私は悪い子だったんだね」

君塚「まるで今のお前は悪い子じゃないみたいだな」

アリシア「はあ？めっちゃいい子でしょ！」

アリシア「元気で素直で可愛くて誰にでも愛される！」

君塚「うける」

アリシア「うけるな！」

アリシア「このー！！」

アリシア「ねえ」

アリシア「指輪…はめてよ」

君塚「俺が？」

アリシア「君塚が」

君塚「お前に？」

アリシア「私に」

君塚「なっ！？」

アリシア「はめる指間違えたら怒るから」

君塚「何故に左手…あくまでフリだからなフリ」

アリシア「誓いの言葉を」

君塚「なんでお前が牧師をやるんだ？」

アリシア「えへへ….！」

君塚「まったく…」

君塚「まあ、なんだ」

君塚「これからも末永くよろしく頼む」

君塚「ということで1つ」

アリシア「なんか締まらないな」

君塚「うっせ、贅沢言うな」

シエスタ「さっきは言い過ぎた」

君塚「シエスタ…！」

シエスタ「まあ、私は自分の考えが間違ってると思わないし簡単に曲げていいはずがないと思っている」

シエスタ「でも、私が一方的に考え方を押し付けようとしたのは良くなかったというか」

シエスタ「とはいえ、君にも反省すべき点があって…」

シエスタ「いや、話を蒸し返そうとかそういうつもりはないんだけど」

シエスタ「お幸せに」

君塚「シエスタ！！」

君塚「おーい、シエスタ」

君塚「聞こえてるか？」

シエスタ「聞こえない」

君塚「子供かよ」

君塚「なあ、アリシアのことはまだ何もわかってないんだよな？」

シエスタ「さあ？私にはサッパリだよ」

君塚「悪い！！ちょっと出かけてくる！」

君塚「婚約者のピンチなんだ！」

君塚「アリシア！！」

君塚「大丈夫か？」

アリシア「君塚…」

君塚「待ってろ…！」

シエスタ「左胸を切り裂かれている」

シエスタ「意識を失ってるみたいだけど命に別状はないと思う」

シエスタ「この人…警官だよ」

シエスタ「ねえ、助手…」

君塚「とにかく救急車を！」

君塚「俺はアリシアを連れていくから後は頼んだ」

シエスタ「助手…君はそれでいいの？」

アリシア「あー….」

君塚「お前もかよ」

アリシア「うん！甘くて美味しい！」

君塚「素直で助かる」

アリシア「素直で可愛いって？」

君塚「待ってろ耳かきを持ってくる」

アリシア「怪我人に新雑すぎない？」

君塚「そんなに軽口を叩けるなら上等だ」

アリシア「というか君塚、なんであの時すぐあの場に来られたの？」

君塚「ああ、お前に発信機つけてたからな」

アリシア「ああ、そうだったんだ～」

アリシア「って、またさらりと凄いこと言わなかった！？」

君塚「一度口に入れたものを吐き出すな」

アリシア「発信機って何？こわ！ストーカー！？」

君塚「誤解だ誤解、お前すぐどっか行ったりするからなその予防策だ」

アリシア「いつから！？どこにつけてたのよ？」

君塚「アリシア、お前意外と派手な下着をつけてるんだな」

アリシア「はぁー！？」

君塚「最悪だ！考えゆる中で一番最悪だった！」

君塚「でもそのお陰で助けられたんだからな」

君塚「ほら、お前の健康状態は常に把握している」

君塚「それで？何やってたんだ？」

アリシア「もうあんな悲しい思いをする人はいなくなってほしいから」

アリシア「それにこれは私の仕事だから」

君塚「どうしてアリシアはそこまで必死になれるんだ？」

アリシア「私は光も音もない部屋の中にいた」

アリシア「暗い暗い退屈で苦痛でしかない世界」

アリシア「でも…」

アリシア「ある日突然視界は開けた」

アリシア「光も差して音も聞こえて」

アリシア「そして…」

アリシア「リンゴの甘さを知ったの」

アリシア「生き直したいって思った」

アリシア「私が生まれ変われるなら、課せられた仕事が探偵ならそのためだけに生きようって」

君塚「アリシア…」

アリシア「お喋りしすぎたかな…なんか眠い」

君塚「俺も朝までいるから安心して寝てろ」

アリシア「じゃあ…」

アリシア「手、握ってて」

君塚「子供かよ…馬鹿にされるぞ俺に」

アリシア「馬鹿にしてもいいから握ってて」

君塚「ご命令とあれば」

君塚「名探偵」

君塚「こんなところで何してるんだ？」

シエスタ「それはこっちのセリフだよ」

シエスタ「私はヘルを探しにきただけ」

君塚「どうしてここにヘルが来ると？」

シエスタ「君ももう気づいてるんでしょ？」

君塚「何をだよ」

シエスタ「犯人は心臓を探している…いや、心臓しか狙ってないんだよ」

君塚「ああ、それで今日も警官が犠牲になるところだった」

シエスタ「そうだよ…あの警官は左○に傷を負っていた間違いなくヘルに襲われた」

シエスタ「だけど彼女は…アリシアはなぜ右肩にケガをしていたの？」

シエスタ「どうしてあの警官に撃たれてたの？」

シエスタ「あの射撃は正当防衛だったんじゃないの？」

君塚「止めてくれシエスタ」

君塚「俺は…」

シエスタ「現場に落ちていた刃物、見覚えはなかった？」

君塚「知らない…そんなものは知らない！いちいち確認していない」

シエスタ「あれは間違いなく」

シエスタ「うちにあった包丁だよ」

君塚「そんなことより早くアリシアを見つけないと」

アリシア「君もわかってたはずだよ」

シエスタ「君があの指輪に発信機をつけていた本当の理由は」

君塚「やめろ！！」

君塚「アリシアがヘルだなんて…そんなことは…！」

君塚「じゃあ偽物の風靡さんはどうなる？」

君塚「最初はあれがヘルっていう話だろ？あの場にはアリシアもいたのに！」

シエスタ「アリシアこそが変身していたヘルだよ…そして」

シエスタ「あの偽物はまた別の敵だと考えるべきだ」

君塚「そんな奴が他にもいたって言うのか？」

シエスタ「そう考えるのが妥当だろうね」

シエスタ「例えば奴らの親玉みたいなね」

君塚「そんなバカな…！」

シエスタ「でも、まずはヘルだよ」

シエスタ「はやくヘルを探さないと」

君塚「アリシアだろ！！」

君塚「ヘルじゃない…アリシアだ！あいつは…あいつは…」

シエスタ「ヘルが心臓を負傷した直後、心臓を奪う通り魔が現れて」

シエスタ「それと時を同じくして身元不詳の少女が私たちの前に現れた」

シエスタ「ねえ助手、これがすべて偶然の一致だと君は言い張るの？」

君塚「最初からわかってたのか….」

シエスタ「いや…私がもっと早くに気づいていればここまで犠牲者を出さずに済んだ」

シエスタ「でも、どうしてもあの子を疑えなかった」

君塚「けどおかしいだろ！」

君塚「あのアリシアは全部嘘だったっていうのか？」

君塚「じゃああの叫びは…あの母親への言葉は？」

君塚「あれも嘘だったっていうのか？」

シエスタ「本物だったと思うよ」

シエスタ「あの女性は確かにアリシアの言葉に救われてた」

君塚「あの時….」

君塚「アリシアの左○にはあの人の娘の…！」

アリシア「ごめん…名探偵失格だね」

君塚「アリシア…」

アリシア「私の中にはもう1人の私がいるみたいなんだ」

アリシア「私は裏のほうで、だから記憶もなくて自分が誰なのかもわからなくて」

アリシア「だから言ってたでしょ！本当の私は17歳なんだから」

アリシア「本当はどこかで気付いてた…でも気づかないフリをしていたもう1人の私が事件を起こしてるってこと」

アリシア「でも、なんでかな」

アリシア「でも君塚と捜査を続けてるうちに他に犯人がいるんじゃないかなってそう思ってしまった」

君塚「アリシア！」

君塚「お前は悪くない」

君塚「そりゃ多少わがままで困らされることもたくさんあったが」

君塚「アリシアは優しい人間だ！」

君塚「人と喜びも悲しみも分かちあえる、怒って泣いてやることもできる」

君塚「アリシアは何も…」

君塚「有り得ない願いだとわかっていた…でも…それでも…」

アリシア「君塚…ありがとう」

アリシア「短い間だったけど楽しかった」

アリシア「本当はもっと探偵やりたかったんだけど」

アリシア「でも…もう一緒に居られない…」

君塚「俺はただ…アリシアはアリシアのままで…」

アリシア「やっぱり私は…」

アリシア「悪い子のままだったみたい」

君塚「そんな奇跡を望んでただけだ…！」

君塚「アリシア！！」

シエスタ「助手！！」

シエスタ「ごめん…」

君塚「やめろシエスタ！！」

シエスタ「馬鹿か君は！」

シエスタ「今、ここでやらないと」

シエスタ「その感情が大事な判断を狂わせると君はわかんないの？」

君塚「それが人間だってことお前はこの前学んだばかりじゃなかったのかよ？」

？？「おや…仲間割れですか？」

？？「やっと見つけましたよ…まったく…」

？？「少し目を離したすきに見逃したと思ったら姿を変えていただけでなく記憶までなくしているとは」

君塚「カメレオン…！」

君塚「アリシアをどこに連れていくつもりだ！」

カメレオン「そうですね…ここから700海里ほど北西に拠点としているところがあります」

カメレオン「迎えに来るというならそちらでお待ちしてますよ」

君塚「待て！！」

バシィ！！（シエスタが君塚の背中を叩く）

君塚「なっ！！」

君塚「撃たれたのかと思ったぞ」

シエスタ「馬鹿か君は」

君塚「謝らないからな」

シエスタ「いいよ謝らないで」

シエスタ「君は正しいことをしようとして私も正しいことをしようとした」

シエスタ「だから君は謝らなくていいし私も謝らない…いいよそれで」

君塚「これからどうする…」

シエスタ「まずはスーパーにいこう」

シエスタ「そして一番大きくて一番丸いリンゴを買おう」

シエスタ「それで美味しいアップルパイを沢山作ってとびっきりの紅茶を淹れよう」

シエスタ「そうして…」

シエスタ「仲間を助けに」

シエスタ「旅に出よう」