【感想】アニメ『86 エイティシックス』 8話 アネットとシンの意外なつながり　あれだけいた仲間も残り数人…

シン「いいよ、仕方ない。ありがとう」

ライデン「ん、キノ達のか？」

シン「ああ」

シン「チセの機体だけは、どうしても見つからなかったらしい」

ライデン「それで…破片も見つからねぇか。まあ、あんな砲撃食らっちゃなぁ…」

シン「ああ…」

ライデン「気にしてねぇだろうが、一応言っておくぜ？」

ライデン「お前のせいじゃねぇからな」

ライデン「次は直接基地を狙ってくるかと思ったが、意外と来ねぇな」

シン「今日の攻撃は、新型の試し撃ちついでみたいなものだろう」

ライデン「ついでで４人か…」

シン「完成すれば４人どころか、共和国が滅ぶ」

シン「俺たちはどうでもいいが、少佐はそうもいかないだろうな」

ライデン「ふ－ん…？」

シン「なに？」

ライデン「別に～～」

シン「いずれにせよ、新型は今の所沈黙したままだ」

ライデン「わかるのか？」

シン「あの声は覚えた。それに、向こうの指揮官ももう撃たせないだろう」

シン「……見つかった」

ライデン「兄貴か！？」

シン「向こうも俺に気付いた。次からは取りに来る」

シン「俺には最良の展開だが、お前たちには貧乏クジだな。どうする？明日、死ぬ前に首を吊っておくか？」

ライデン「冗談じゃねぇ…。最後までついて行くぜ…」

ライデン「我らが死神」

＜OP＞

シン『俺たちは、全滅します』

シン『この部隊は、そのための処刑場です』

レーナ「はっ…」

レーナ「特別偵察任務。目標、最終的に前進できた地点…。期間、無期限…。支援無し…」

レーナ「後退した場合、即時処刑…」

ライデン『全滅させるまで戦わせるのが、この隊の目的…。ここが俺たちの最後の任地だ…』

ライデン『俺たちは全員、ここで死ぬ…』

レーナ「…ッ！！」

アネット「どうしたの…？レーナ」

アネット「生存率０の最終任務ねぇ…」

アネット「それはまたこの国らしいと言うか、何と言うか…」

レーナ「お願い、力を貸して。どうにかして止めないと…」

アネット「どうにか？具体的にどうすんの？テレビ出て演説する？偉い人に直談判？そんな事で改心するなら、最初からこんなことになってないでしょう？」

アネット「もういいでしょ？どうにもできないの。何やったって無駄なの。だからもう…」

レーナ「やめてっ！！」

レーナ「何もしない言い訳に、悪人ぶるのはいい加減にしてっ！！」

アネット「いい加減にするのはそっちよっ！！」

アネット「やめてよ…。もう本当にいい加減にして…。何も出来ないの、私達にはあの人達を助けてあげる力なんて、何一つないの…！」

レーナ「アネット…？」

アネット「隣の家、父の共同研究者の一家が住んでいて、家族ぐるみの付き合いがあったの。でも、戦争が始まって全部終わった」

アネット「エイティシックスだったのよ。その家族…」

レーナ「…っ！」

アネット「男の子が２人いて、お兄さんとは歳が離れていたけど、弟の方とは同い年だったから同じ学校に通ってたし、よく遊んでた」

アネット「友達だった…」

アネット「でも、気づいた時にはエイティシックスは誰も学校に来なくなってて…。私も同級生にイジメられる様になったわ。こいつ、汚い色付きと仲良しなんだぜって」

アネット「悔しかった。どうしようもないじゃない…。なのに、あの子はそんな事知らないから私と遊びたがるの。やだって言ったら喧嘩になって、つい…」

アネット「言ってしまった…」

アネット『この汚い色付きっ！！』

アネット『ぁ…』

アネット「怖かった。友達にそんな事を言えてしまう自分が…」

アネット「だから、父さんが危険を承知でその一家だけでも、匿って助けようか悩んでたから反抗した。あんな子知らない、あんな子なんかの為に危ないのは嫌って…。本当は背中を押して欲しかっただろう父さんに、私は別の道を示してしまった」

アネット「次の日、あの子たちは強制収容所に連れていかれた。どうしようも無かった…。どうせ最初から何も出来なかったって、そう思うしかないでしょ？」

アネット「それなのに、貴方ときたらいつもいつも…。ねぇ、レーナ？そうやって聖女様みたいに振る舞ってるけど…」

アネット「アンタだって同罪よ？」

レーナ「ここは…？」

アネット「隣に住んでた兄弟と母親はね、不思議な力を持っていたの。言葉にしなくても互いの気持ちがわかる…っていうね」

アネット「父さんはその力に興味を持った。ここはその始まりの場所…」

アネット「始めは、ここでおもちゃみたいな機械を付けて、カーテン越しの母親が何を考えているかを当てるってゲームみたいな実験だったけど…。無線に変わる新たな通信方法があると軍部に知られて、どんな犠牲を払ってでも実用化する様、父さんに命令してきた」

アネット「そして出来上がったのが、アンタが付けてるレイドデバイスよ」

アネット「それ、完成までに何人のエイティシックスを殺してると思う？」

レーナ「え？」

アネット「言葉を伝えるものなんだから、動物じゃ実験にならないでしょ？」

レーナ「まさか…」

アネット「そう、人体実験。エイティシックスは人間じゃないって言ってたくせに、ホント都合がいいのよね？」

アネット「被験者は子供ばかり。結果が最優先され、安全は度外視。皆、苦しんで死んでいった」

アネット「父さんはそれに耐えられなくて、自殺した… 」

レーナ「っ！？ 事故で亡くなったんじゃ…」

アネット「父さんがパラレイドの設定を間違えるわけないでしょ？」

アネット「いつも言ってた。友人を見捨て、大勢を死なせた自分は、誰よりも苦しんで死ぬべきだ…って」

アネット「それなら、あの子を見捨てた私も同じ罪を負うべきでしょ？だから、父さんの出した犠牲ごと研究を受け継いだ」

アネット「アンダーテイカー…だっけ？」

アネット「ハンドラーが自殺したからって、調査依頼が来てたでしょ？」

レーナ「ええ…」

アネット「原因となるプロセッサーを連れて来てもらえば、その人だけでも助けられたかもしれないけど、所詮偽善よね？輸送部のクズ共が断ってくれて良かった」

アネット「ねっ、やっぱり何も出来ない。私には誰も助けられない」

アネット「でも、それはアンタだって同じでしょ？」

アネット「何も出来ないどころじゃない。アンタが余計な事して長生きさせたから、そいつらは死ねって命令されるんでしょ！」

アネット「適当に扱われて、とっとと死んでれば言われずに済んだことを…」

アネット「アンタのせいで言われるんじゃない！」

アネット「大嫌いよ、レーナ…。二度と顔を見せないで…」

レーナ『死なせません…』

レーナ『もうこれ以上…誰も…』

ジェローム「ふぅ…」

ジェローム「何の用かね？」

レーナ「スピアヘッド戦隊に下された、特別偵察任務を撤回させて下さい！」

ジェローム「だから言ったろう。必要以上に肩入れするなと…」

レーナ「無茶苦茶ですっ！死ぬまで意味もなく敵地を前進しろと言うのですかっ！？」

ジェローム「エイティシックスは、全滅すべきだ」

レーナ「！」

ジェローム「それがこの国のためになると、政府…ひいては市民がそう考えているのだよ。つまり…」

ジェローム「この国の意志だ」

レーナ「なっ…」

ジェローム「この国の戦争が終わった時、我々がエイティシックスに対して行った事が明るみに出れば、共和国は面目も信用も失い、迫害者としての汚名を永久に刻むだろう…」

ジェローム「その不都合を回避するために…」

レーナ「だから、戦死者の回収もお墓に入れるのも禁じて…」

ジェローム「彼らは、全滅と同時に存在しなかった事になる」

ジェローム「故に、共和国は何の罪も犯していない事になる。明確に認識しているものは極少数だろうが、目を閉じ、あるいは無関心に追認した大多数とて賛同者だ」

ジェローム「市民の決定に従うのは、我ら国軍の役目だ。レーナ」

レーナ「エイティシックスであろうと、共和国の市民です！」

レーナ「聖女マグノリアの掲げた共和国の理念は、彼らも守るべきでしょ！」

レーナ「それを成さずして何が共和国の意志ですか！！」

レーナ「ぅ…」

ジェローム「己の利と欲だけの為に、その聖女マグノリアを処刑した下劣な愚民共の国家に…」

ジェローム「何が期待できるというのかっ！！」

レーナ「…」

ジェローム「自由や平等など早過ぎたのだよ、レーナ。我々人類には、恐らく…永遠に…」

レーナ「それは、貴方の絶望を正当化するためだけの理屈です。この状況を黙認するのは間違いです！」

ジェローム「希望や理想を唱えるのは自由だが、それでは誰も動かせない。だから、お前は私の元に来たのだろう？」

レーナ「ぅ…」

ジェローム「絶望と希望は同じものだよ。望むけど叶わない。その表と裏に、違う名が付いているだけだ」

レーナ「ノウゼン大尉…特別偵察の通達が…」

シン『承っています』

レーナ「すみません…。私の力ではどうする事もできませんでした…」

シン『それはそうでしょう』

レーナ「こんなバカげてる命令に、従う必要なんてありません。逃げて下さい」

シン『どこに…ですか？人はいつか必ず死にます。それが少し早いからと言って、誰かを責めても仕方ありません』

レーナ「貴方はっ！どうしていつもそう淡々と受け入れてしまうのですか…？未来も望みも、命さえ理不尽に奪われて…。それさえも恨まないなんて…。そんな話がありますか…っ！」

シン『少佐、俺たちは別に死にに行くのではありません』

シン『俺たちはようやく自分が行こうと思ったところまで、行こうと思った道を辿って行けるんです。やっと自由になれると言うのに、それを貶さないでもらえますか？』

レーナ「だったら…、だったらせめて…もう戦わないで下さい…」

シン『無理ですね。進むためには戦うしかありませんし…』

シン『ふぅ…』

レーナ「…！」

シン『それは最初から承知の上です…』

レーナ「それは、お兄様を討つためですね？」

シン『…っ！』

シン『はぁ…。どうしてそう余計な事に気付くのですか？』

レーナ「わかりますよ…。貴方は、悲しいのに冷たく笑うのです。お兄様の事を話す時に…」

レーナ「戦わないで下さい。いくらレギオンでも、お兄様となんて…」

シン『兄は羊飼いです。討たなければどこにも行けない』

レーナ「大尉…っ！」

シン『少佐、もう俺たちを管制する必要はありません』

レーナ「それは…っ！」

シン『俺は、兄の最後の声を貴方に聞かれたくはない。なので、もう繋いで来ないで下さい』

シン『ここから東の国境を超えたその先で、レギオンの声が聞こえなくなります。誰かが生き残っていれば、助けが来るかもしれない』

レーナ「え？」

シン『羊飼いが討たれれば、レギオンはしばらく混乱します。その程度の時間稼ぎはして逝きますから』

シン『だから…』

レーナ「ノウゼン大尉…」

シン『少佐はそれまで、生き延びて下さい』

レーナ「っ！！」

シン「どうですか？」

レフ「糧食・燃料・弾薬・修理部品は所定数を確保済み。ああ…どっかのバカ戦隊長のために、足回りの修理部品は多めに用意しといたぜ？」

シン「ありがとうございます」

レフ「おめぇ、簡単な修理は出来るんだよな？」

シン「ええ。よく壊すので」

レフ「しれっと返してんじゃねぇよ、このクソガキ。いつもの調子で叩くんじゃねぇぞ？」

シン「それは約束できませんが…」 

レフ「最後ぐらい嘘でもいいから、わかったっつとけぇ…」

シン「すみません」

レフ「ったく…。本当におめぇはよ…」

ライデン「ハルトの奴も惜しかったよなぁ～。もう少しで一緒に楽しいハイキングに行けたのに…」

シン「ああ…」

セオ「雨、止むかな？」

アンジュ「初日ぐらい晴れがいいわよねー、やっぱり」

クレナ「私、おまじない知ってるよ！？カイエがやってたやつ！」

レフ「おい、ガキ共！ちょっと来い！」

ライデン「最後だと思うと、ジジイの説教も何だか愛しいな？」

セオたち「そうかな？」「そうかしら？」

全員「あはははは…！」

「いただきまーす！」

クレナ「初日の夜さ、ここで皆で集まったよね？」

セオ「配属の日？」

クレナ「うん」

ライデン「ああ、改めて誓い合ったよな～？」

ライデン「あん時に…」

アンジュ「誰に豚と罵られようと、決して豚には成り下がらない」

クレナ「最後の１人になってたとしても、最後の一日まで戦い抜く」

ライデン「これで５人も生き残った。上々だな」

セオ「少佐、最後は繋いで来なかったね？」

ライデン「何だ？寂しいのか？」

セオ「いや全然？まあちょっとぐらい心残り…かな？」

アンジュ「ここまで付き合ったんだし、さよならくらい言っても良かったわよね？」

セオ「そうそう、そんな感じ」

クレナ「こっちに関わるなって散々言ったの、やっと理解しただけでしょ？」

セオたち「フフッ…」

セオ「あっ、雨止んでる」

クレナ「晴れたー！」

アンジュ「おまじないのおかげねー」

ライデン「幸先いい感じだな？」

クレナ「あっ、アレアレ！」

クレナ「ピカピカだー！」

セオ「マークもバッチリ綺麗にしたよ？」

ライデン「お前もピカピカだなー？」

アンジュ「あらカッコいい」

セオ「嬉しいの？」

クレナ「汚かったもんね～」

シン「良かったな」

猫「ニャー！」

ファイド『・・・！』

ライデン「ん？」

ライデン「何だこれ？」

クレナ「お菓子だ」

セオ「これって…」

ライデン「最後まで子供扱いしやがって…」

ライデン「皆、忘れ物はないな？」

クレナ「うん」

セオ「はーい」

アンジュ「ええ」

ライデン「…シン！」

シン「…行こう」

＜ED＞

レイ（俺は…お前を守りたかった…）

レイ（はずなのに…）

レイ（シン…）

シン「お兄ちゃん…お父さんもお母さんも、もう帰って来ないの？どうして？」

レイ（あの時、俺は余裕が無かった）

シン「ねえ、お兄ちゃん？お母さん、どうして死んじゃったの？」

レイ（お前のせいだ、違う。お前がいたから母さんが戦場に行った、違う）

レイ（お前が母さんを殺したんだ、やめろ違う）

レイ（お前のせいだ、お前のせいじゃない。父さんと母さんが死んだのも、俺がこれから死ぬのも、何もかも全部…）

レイ（お前の罪だ！！）

レイ（シン～～～～～～～～～～～～～～！！！！！）

レイ「がっ！」

シン（自分の無力に対する途方もない怒りや憎悪を、抱えきれずにぶつけてしまった…）

レイ（守るべきお前に…）

レイ「ああああ…」

レイ「あああああああああ…」

レイ（俺はお前を守れなかった…）

レイ（でも…）

レイ「シン…」

レイ（今度こそずっと一緒だ…）

レイ（迎えに行くよ。脆い人間の豚なんか捨てて…）

レイ（今度こそずっと、兄さんが守ってやる。だから…）

レイ（こっちに来い…）

レイ（シン…っ！！！）