【感想】アニメ『86 エイティシックス』 1話 真面目なお嬢様と死ぬことを運命付けられた底辺層の少年兵たち　力入ってるし期待できそうだ

『ハンドラー１よりアンダーテイカ―。敵迎撃部隊がポイント３０２及び５０４に達する。大隊規模の戦車並びに同規模の近接猟兵隊だ。各機、速やかに侵出し制圧せよ』

『…てか、この戦力差じゃ全滅かなぁ！？お前らぁ！？』

『行けよ、早くぅ！行けぇ！撃てぇ！』

『戦ってぶっ壊れちまえ！生意気なエイティシックス共がぁ！』

『ひひひひ…ははははっ！！！』

『ああ？何だこりゃ？あ…？』

『やめろ…おい…やめろ…来るな！止まれよ、うるせぇ！うわ…うわあああああ！！』

『ご覧の通り今日は一日を通して快晴となり、合衆国など全国的に行楽日和でしょう…』

『それでは皆様、良い週末を…』

『サンマグノリア共和国国軍本部より、本日の戦況をお知らせします』

『第１７戦区に侵入したギアーデ帝国無人機 レギオン機甲部隊は、我が共和国の誇る自立無人戦闘機械ジャガーノートの迎撃により、壊滅的損害を受け撤退。我が方の損害は軽微であり、人的損害は皆無。人道的かつ先進的な戦闘により…』

『本日も我が国の戦死者は０名であります』

『亡国の悪しき異物を共和国の正義が打ち破る日は、間もなく訪れる事でしょう…』

『サンマグノリア共和国、万歳！五色旗に栄光あれ！』

男「おはようございます！少佐殿～」

男「昨日はわーきゃー喚いて傑作だったなぁ、豚共」

レーナ「…っ！」

男「中々派手だったぞ？５０機以上は死んだな！」

男「と言っても、人は乗ってないがなぁ」

男達「ははははは！」

男「諸君、お人形好きのお姫様が睨んでるぜー？」

男「ミリーゼ少佐殿、何です？そんな悲しい顏は？ただ無人機が壊れただけでしょう？」

レーナ「…っ」

男達「ははははは！」

レーナ「貴方たち…」

アネット「おはよ」

レーナ「おはよう…、アネット」

レーナ「随分早いのね？いつもは寝坊なのに」

アネット「仕事。徹夜よ。あのバカ連中と一緒にしないで」

男達「ぎゃははは！」

レーナ「…！」

アネット「放っときなさいって！」

アネット「ここは戦場じゃない。グランミュールの中。おまけに敵はあと２年でいなくなる。そんな状況で真面目に国の為に尽くそうって言うアンタの方が変わり者なんだから…」

レーナ「私はただこの国の良心を…！」

アネット「わかったわ、お嬢様。演説が聞けるほど頭が冴えてないの」

レーナ「…」

二人「！」

男「あのプロフェッサーの奴、部品の分際で！」

男「ホントだよ！何で１区の俺たちが、８６区の豚共に嫌味言われなきゃならないんだよ！」

アネット「はぁ…」

アネット「どうしてそんなに無人機に入れ込むわけ？レーナ」

レーナ「彼らは、無人機じゃないわ」

アネット「じゃあ聞き直すわ。どうしてそんなに入れ込むわけ？」

アネット「エイティシックスに…」

レーナ「…」

＜腕時計の音＞

アネット「戦場がお呼びよ」

アネット「お嬢様」

レーナ「認証開始。ヴラディレーナ・ミリーゼ少佐」

レーナ「東部方面軍 第９戦区 第３防衛戦隊 指揮管制官」

レーナ「パラレイド。アクティベート」

レーナ「同調対象プレアデス。プロセッサー」

レーナ「同調完了。ハンドラー１よりプレアデス。今日もよろしくお願いしますね」

『プレアデスよりハンドラー１。同調良好』

レーナ「気を付けて下さい。間もなく敵部隊が射程に入ります。万全の注意を払って…」

男の声『人間もどきのエイティシックスに、毎度のご丁寧なご対応ご苦労な事ですね…』

男の声『人間様…』

レーナ「担当部隊の変更…ですか？カールシュタール准将」

ジェローム「うむ」

ジェローム「実はある舞台のハンドラーが退役することになってね。急遽別の隊のハンドラーから代わりの者を選出したと言うわけだ」

レーナ「後任決定まで待機させておけないという事は、重要拠点の防衛部隊なのですか？」

ジェローム「ああ。東部戦線第１戦区 第１防衛戦隊 通称『スピアヘッド』戦隊」

ジェローム「東部方面軍全体から古参兵を集めた…まあいわゆる精鋭部隊だよ」

レーナ「そんな…。新米少佐の私などに、務められる大任とは思えませんが…」

ジェローム「最年少にして少佐昇進を果たした才媛がそれを言うかい？謙遜も過ぎると要らぬ反感を買うぞ？レーナ」

レーナ「すみません、ジェローム叔父様」

ジェローム「ヴァーツラフも誇りに思っているはずだ」

ジェローム「自分の娘の雄姿をな…」

ジェローム「マルガレータは？」 

レーナ「母は相変わらずです。早く結婚しろと…」

ジェローム「そうだろうな…」

ジェローム「実は成り手がいないのだよ、ハンドラーは」

レーナ「精鋭部隊なのでしょ？その指揮を任されるのは、共和国軍人としてまたとない名誉なのでありませんか？」

ジェローム「うむ。部隊については、まあそうなのだがね…」

ジェローム「スピアヘッド戦隊隊長機 パーソナルネーム『アンダーテイカー』。これにはちょっとしたいわくがあってね…」

レーナ「それは？」

ジェローム「死神と恐れられている」

ジェローム「何しろ、担当するハンドラーを壊してしまうのだそうだ」

レーナ「え？」

レーナ「プロセッサーがハンドラーをですか？逆ではなく？」

ジェローム「ああ」

レーナ「会談の類いではないのですか？」

ジェローム「勤務中に部下を呼びつけて世田話をするほど暇ではないよ。アンダーテイカーが所属する部隊のハンドラーは、担当部隊変更や退役の申請する者がほとんどだ」

ジェローム「突然自殺した者もいる」

レーナ「っ！」

ジェローム「信じがたい話だがね」

ジェローム「亡霊の声とやらに、付き纏われたのだそうだ」

レーナ「亡霊…」

ジェローム「嫌なら断っても構わんよ、レーナ。そもそも君は熱心すぎる。ハンドラーは最低限、部隊を監視して指揮は現場に任せればいい…」

レーナ「やります！スピアヘッド戦隊の管理も指揮管制も、全霊を持って…！」

ジェローム「必要以上の事はしなくていいんだ。プロセッサーたちと交流しようとするのは、もう控えなさい」

レーナ「部下について知るのは、指揮官の務めです」

ジェローム「全く…」

ジェローム「お小言ついでにもう一つ。いい加減報告書に戦死者数を記載するのはやめたまえ」

ジェローム「公的には前線に人間はいない事になっている以上、戦死者は存在しないのだよ」

レーナ「だからと言って、黙認はできません。こんな事は本来許されることでは…！」

ジェローム「レーナ！」

レーナ「っ！」

ジェローム「フッ、君は本当にヴァーツラフに似たな」

レーナ「…」

ジェローム「では、ヴラディレーナ・ミリーゼ少佐を第１戦区 第１防衛戦隊 指揮管制官『ハンドラー』に任命する。着任までに引継ぎを済ませるように。頑張りたまえ」

レーナ「最後の任務まで、全力を尽くします」

アネット「…で、受けちゃったの？」

レーナ「うん」

アネット「はぁ、全く…。レーナってどんだけ物好きなのよ…」

レーナ「精鋭部隊を任されるなんて名誉だし、遣り甲斐があるもの。それにハンドラーを壊すなんてどうせ作り話でしょ？志の低い彼らが、仕事をしない口実の…」

アネット「自殺した奴がいるってのはホント」

レーナ「…」

アネット「スピアヘッド戦隊のハンドラーがおかしくなっちゃって、散弾銃で自分の頭を吹っ飛ばしたのよ」

アネット「ほい、検査終了。今回も異常なし」

アネット「お疲れさま～」

レーナ「でも、どうして自殺を…」 

 アネット「うちにも調査依頼が来たのよ」

アネット「パラレーダの不具合じゃないかって」

アネット「辞めてく分にはともかく、流石に自殺ってなると世間的にもね」

レーナ「どうだったの？」

アネット「さぁ？」

レーナ「『さあ？』って…」

アネット「ハンドラー本人が死んでんだから、詳細な調査しようがないわよ」

レーナ「開発チームの主任がそれでいいの？」

アネット「やることはやったわよ？」

アネット「取りあえずメイドデバイスには異常は無し。それで終了」

アネット「どうしてもってなら、そのアンダーテイカー連れてきてって言ったのよ」

アネット「だけど輸送部のバカ共、『当フライトには豚の席はありません』って…。はぁ～…」

レーナ「じゃあ、アンダーテイカーからの話は？」

アネット「報告書だけ。心当たりはありませんだって。ハンドラーが死んだこと伝えたら、『そうですか』だけ」

アネット「まあエイティシックスだもんね～」

レーナ「…」

アネット「実際、パラレイドで気が振れるってのもありえない話じゃないけど、脳の一部を活性化して赤の他人と感覚を共有しちゃうわけだから」

アネット「それに基本聴覚しか同調してないけど、視覚まで同調したら脳が焼ききれちゃう。活性化しすぎても帰ってこれなくなるし…」

アネット「パラレイドを使うって事は、そういうリスクも負うって事よ」

レーナ「…」

レーナ「貴方のお父様、この研究の第一人者だったのに…」

アネット「基礎理論は別の研究者が構築したものだから、よくわからないこともあるわ。実際…」

アネット「ねえ、レーナ。やっぱり研究部に来なよ」

レーナ「え？」

アネット「今の軍なんてただの失業対策じゃない。２年後にレギオンがいなくなったら、元軍事の肩書なんて潰し利きかないよ？」

レーナ「ありがとう。でも、今は戦時だもの」

アネット「まともじゃないプロセッサー相手よ？パラレイドで何が起きるかわからない。エイティシックスならすぐ死ぬからいいけど、アンタは困るでしょ…」

レーナ「それはでも、卑怯なことだわ」

アネット「はぁ…。はいはい…。ホント物好きね」

アネット「設定変更したわ」

レーナ「ありがとう」

アネット「そうだ、レーナ。シフォンケーキ作ったの。食べてかない？」

レーナ「そうね、今日は遠慮するわ。それじゃ…」

アネット「使った卵、本物よ？」

レーナ「え！？」

アネット「牛乳も」

レーナ「えっ！？」

レーナ「おいし～～～」

アネット「どう？久々の本物は」

レーナ「サイコーよ」

レーナ「でもこんな味だったかなとも思う。合成食料ばかりだと忘れちゃうわね」

アネット「シュークリームもあるわよー？」

レーナ「っ！」

アネット「それは入っていないチーズの味がするとか、黒い煙を吐きそうとか、そういう事は…」

アネット「それ…」

アネット「前に私が作ってあげたシュークリームのこと？」

レーナ「うんうん」

アネット「～～～～」

アネット「今度のは大丈夫。昨日、見合い相手にプレゼントしやったら、泣いて喜んでたわ」

レーナ「いい人そうじゃない、今回は。よっぽど嬉しいプレゼントだったのね」

アネット「あったり前よー！」

アネット「『愛しの貴方へ』って書いたキスマーク付きのメッセージカードと一緒に入れてやったわ」

アネット「アイツが愛人と同棲してる家のポストに」

レーナ「…」

２人「あっ！」

レーナ「ぁ…」

レーナ「どうしましたか？プレアデス、応答して下さい」

レーナ「どうしましたか！？ハンドラー１よりプレアデス！」

女の声『やめろよ…。死んだよ…』

レーナ「え…」

レーナ「くっ…」

レーナ「ハンドラー１より第３戦隊各員、敵部隊が撤退を開始しました。警戒任務は第４戦隊に引き継ぎます」

レーナ「第３戦隊は帰投して下さい」

女の声『了解』

レーナ「亡くなったプレアデスたち…７人も…」

レーナ「本当に残念です」

女の声『いつもいつもお優しいお言葉ありがとうございます、ハンドラー１』

レーナ「…」

レーナ「報告ですが、第３戦隊は再編成され新しいハンドラーが着任する事になりました」

レーナ「今までありがとうございました」

レーナ「私は、スピアヘッド戦隊を指揮管制することに…」

女の声『へへ、それはいいニュースね』

レーナ「え？」

女の声『早速お悔やみ申し上げます、ハンドラー１』

レーナ「それはどういう！？」

女の声『死神によろしく』

レーナ「ッ！？」

レーナ「…っ」

レーナ「パラレイド。アクティベート。同調対象…」

レーナ「スピアヘッド」

レーナ「プロセッサ」

ライデン「お前ら、さっさと掃除し…」

全員「あ…」

全員「ぎゃあーーーーー！」

カイエ「賑やかだな」

カイエ「あっちも…」

クレナ「あー！待って！待って～！」

クレナ「卵～！」

アンジュ「お疲れ様」

ダイヤ「はぁ…」

クレナ「あれ…？」

レッカ「ちょっと手伝って～」

セオ「はいはーい」

クジョー「よし！」

クジョー「おう、今日もしっかり頼むなー！」

レフ「頼みますだろうが！」

クジョー「うひ～」

男「スピアヘッド戦隊のみなさーん！朝飯だよ―！集まれー！」

男「はいはーい」

男「お腹空いたね～」

男「おはよう」

シン「おはよう」

全員「いただきまーす！」

ダイヤ「オムレツまだあるよ」

クジョー「おかわり！」

ダイヤ「落ち着け」

カイエ「味わって食べられないのか？」

ライデン「うまいか？ペロ」

ルイ「そう言えばおかしくなちゃってたね、うちのハンドラー」

セオ「昨日の戦闘で…、もう駄目でしょ。あれは」

ハルト「聞こえたもんねー、あれがさ…」

ハルト「来るなぁ…おい…やめろぉぉ…」

席の子たち「おおぉぉ～～…！」

他の仲間「はははは！」

クレナ「ちょっとやめてよ～」

セオ「相変わらずどうしようもないよね、白豚はさ」

セオ「あれじゃ次に誰が来ても同じでしょ？」

ハルト「ねー」

カイエ「まあでも昨日は皆、ちゃんといけたんだよな？シン」

シン「ああ。大丈夫だ」

クジョー「ま、どうせ死ぬにしても、我らの死神が御導きなら悪くねぇもんな」

クジョー「？」

クジョー「なんだよ。ほれ…」

クジョー「いっ…！？」

ペロ「ニャー」

全員「うおおおおおお」

？？？「くっそぉ…くっそぉぉぉ…ぐあああああ…」

？？？「ぐ……死にたくねぇよ…」

クジョー「あ…」

クジョー「…」

クジョー「シン…」

クジョー「約束…忘れんなよ…」

シン「…」

ライデン「クジョーの奴は、ちゃんと逝けたのか？」

シン「ああ」

ライデン「兄貴の声は？」

シン「いや」

ライデン「そうか」

ダイヤ「もうないぞ？」

レッカ「～～～ッ！」

ハルト「下手くそ」

レーナ『ハンドラー１よりスピアヘッド戦隊各員へ…』

レーナ『初めまして。本日より貴方の指揮管制を担当します』

ハルト「女…？」

レーナ『今晩は着任の挨拶の為、連絡しました』

カイエ「フッ…」

シン「初めまして、ハンドラー１。こちらはスピアヘッド戦隊 戦隊長 パーソナルネーム アンダーテイカーです」

シン「ハンドラー交代の通達は承っています。本日よりよろしくお願いします」

仲間たち「フフフ…」

レーナ『こちらこそ、よろしくお願いしますね！』