【Fate】間桐凛と遠坂桜になった世界線でありがちなこと
1: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:42:27
凛が代わりに間桐に行って育ったら、お互いどうなると思う?
2: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:44:29
公式で間桐は桜じゃないと耐え切れないみたいに言われてたような
3: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:44:53
蟲の居所が悪くなる(言いたいだけ)
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4: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:46:11
養子にした翌日に燃やされる蟲蔵
5: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:48:55
遠坂は耐えられないってことは精神崩壊するのか、表向きはギリギリでどうにかなってるのか
9: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:51:25
>>5
情緒不安定か攻撃的な性格になると思う。
ゾォルケンには絶対服従だろうな。
後、慎二にはマウント取ると思う。
情緒不安定か攻撃的な性格になると思う。
ゾォルケンには絶対服従だろうな。
後、慎二にはマウント取ると思う。
41: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:48:23
>>9
本編考えると慎二にとってはマウント取ってもらったらある意味幸せだな
本編考えると慎二にとってはマウント取ってもらったらある意味幸せだな
6: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:49:40
もしや「もし○○が桜だったら」ブームが来てるのか…?
8: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:51:17
間桐の設定が全自動曇らせ装置すぎるのが悪い
10: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:53:19
耐えられないとは言われてるけど精神崩壊とは違う気がする
「『コレ』をされるのが桜じゃなくて良かった」みたいな思考に入れば持つ気はする
「『コレ』をされるのが桜じゃなくて良かった」みたいな思考に入れば持つ気はする
11: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:53:44
逆に表向きは遠坂の方と変わらなかったら興奮する
12: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:57:22
でも凛だと慎二に知られても「ごめんなさい」とは言わなそう
17: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:07:50
>>12
わざと特に悍ましい所を見せ付けたりして魔術への憧れを徹底的にへし折って諦めさせて、家から縁切らせて逃がそうとするかな?
わざと特に悍ましい所を見せ付けたりして魔術への憧れを徹底的にへし折って諦めさせて、家から縁切らせて逃がそうとするかな?
14: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:03:25
シンジにレイーポされそうになるも撃退しそう
13: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 22:59:49
でも士郎の家に通い妻する凛はちょっと見てみたいぞ
15: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:03:58
ワカメに刺されそう
32: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:00:35
>>15
そうなったら普通にワカメ返り討ちで殺してそう。
そんで特に咎められない。
そうなったら普通にワカメ返り討ちで殺してそう。
そんで特に咎められない。
16: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:05:26
私が姉さんを家から追い出したんだ、と罪悪感を覚えながら1人遠坂邸で修行にはげむ遠坂桜さん?
18: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:16:10
自分に関わらないように周りに攻撃的な態度を取りまくってるけど、心の底では本編と同じく贅肉が残ってると良い
19: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:29:10
衛宮邸の偵察を命じられて逆らえないから、士郎に嫌われて遠ざけてもらおうとするけど、士郎と大河には全然通じないんだ…
20: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:30:02
凛の髪の色が変わってしまうのか…
21: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:31:43
慎二とは双子ってことになるのか?
26: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:38:22
>>21
誕生日的には凛が妹扱いか
同級生の妹の方が優秀って慎二どんな気持ち?
誕生日的には凛が妹扱いか
同級生の妹の方が優秀って慎二どんな気持ち?
29: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:52:25
>>26
慎二だって魔術以外は優秀だから…
この凛は魔術使えるんだろうか、本編桜よりは出来そうだけど
慎二だって魔術以外は優秀だから…
この凛は魔術使えるんだろうか、本編桜よりは出来そうだけど
30: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:54:59
>>29
桜は無理やり属性変えられて虫に魔力食われているから無理
凛は属性変える必要ないので虫とジジイ次第
10年後にまた開催とか読めないし、次代の母親にされる可能性のほうが高い
桜は無理やり属性変えられて虫に魔力食われているから無理
凛は属性変える必要ないので虫とジジイ次第
10年後にまた開催とか読めないし、次代の母親にされる可能性のほうが高い
22: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:32:25
桜はあんまり変わらないイメージだけど
凛はどうなるか全然読めねぇ
凛はどうなるか全然読めねぇ
24: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:36:22
桜も桜で家潰しそう感ある。
25: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:37:58
なんとなく雁夜が聖杯戦争出ようとしてることには凛なら気付きそう
27: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:39:06
桜は耐える子だから遠坂桜でも抑圧感じながら生きそうだなあ。
凛は何度か逃げようと試みそうだけど….家を出る前に支えになる物が得られるかな…..
凛は何度か逃げようと試みそうだけど….家を出る前に支えになる物が得られるかな…..
28: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:43:01
あのペンダントは桜が持つことになるのかな
31: 名無しのあにまんch 2021/08/21(土) 23:59:36
桜の元に召喚されるであろうアーチャーはどんな反応をするんだろう
33: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:03:24
ジジイもできれば桜より凛のほうが属性便利だし欲しかったのかな
間桐はいいとこ並くらいの才能しかなさそうな雁夜でマシレベルになってた時点で詰んでる
間桐はいいとこ並くらいの才能しかなさそうな雁夜でマシレベルになってた時点で詰んでる
34: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:05:23
この場合、桜は虚数属性の宝石魔術使うことになるのか?なんか格好いいな
35: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:08:59
また家計が厳しくなるなって落ち込みながら宝石を砕いて闘う桜はかわいい
36: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:16:55
アーチャーは記憶戻ったら何起こってるかは分かるだろうけど、複雑そうだな
42: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 01:11:09
>>36
遠坂凛が居た世界線から間桐凛の居る世界に召喚され…?
遠坂凛が居た世界線から間桐凛の居る世界に召喚され…?
44: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 01:24:46
>>42
凛に助けられたペンダントの縁で桜に召喚されるのか…
凛に助けられたペンダントの縁で桜に召喚されるのか…
37: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:29:01
設定としてありえないのはわかっているが
蟲使いとして成長したことで
5大属性を載せた蝶や蜻蛉を使役する凛は見たい
蟲使いとして成長したことで
5大属性を載せた蝶や蜻蛉を使役する凛は見たい
38: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:36:07
>>37
わしは昔、原作キャラそのまんま使うのに配慮して間桐凛の娘という設定でそういう蝶使いを考えたわ
わしは昔、原作キャラそのまんま使うのに配慮して間桐凛の娘という設定でそういう蝶使いを考えたわ
40: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:43:52
>>37
蝶だと間桐の魔術としては綺麗すぎる気もするけど、すごく見たい
蝶だと間桐の魔術としては綺麗すぎる気もするけど、すごく見たい
39: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 00:38:48
蟲使い凛は羽織で和傘指してると嬉しい
43: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 01:12:58
何かとマウント取ってくる慎二を冷めた目でスルーする凛ちゃんさん
それに苛立つ慎二
それに苛立つ慎二
45: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 08:40:46
慎二がいるから士郎が凛呼びしていてなんとも言えない顔になってそう
46: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 10:29:08
凛はメデューサ呼べるのか
47: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 10:45:15
>>46
ライダーさんは触媒ってよりいずれ怪物になるもの同士っていう部分の縁召喚の部分が強いから、虚数属性の無い凛だとあの影出ないだろうし呼ばれる度合いは低そう
ライダーさんは触媒ってよりいずれ怪物になるもの同士っていう部分の縁召喚の部分が強いから、虚数属性の無い凛だとあの影出ないだろうし呼ばれる度合いは低そう
48: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 10:51:35
こんな感じで。
聖杯に望むものは無い。ただ、遠坂の血を継ぐ役割が彼女では無く私に向いたあの日から。
私に理由は無いが遠坂には聖杯戦争に挑む理由がある。
「――自らに意志はなく。受け継いだものを自分の意志にする、と?」
そんな反応を私に返したサーヴァントは、それから私へのまなざしが柔らかくなったように見えた。
「ところでマスター。オレは自分の名前も知らないが、貴女の名前も知らないのだ。この呼び方のままでかまわないのかな」
優れたお茶の淹れ方を覚えている記憶喪失の人霊はそんなふうに言う。
お互いにほんの少しは気を許したというのに、自己紹介が中途半端なまま。
そんな意図だろうか。お茶を淹れるのも、部屋の片付けも。こうした「人間同士」の会話も。どうしてこんなに「一般人」なんだろう。
「魔術師」の世界に住む私は、そんな一般人のことをきっと大好きで。
「遠坂桜と言います。呼び方はお好きなようにどうぞ」
だから、真名を忘れた英霊に私の名を告げる。アーチャーは私の名をそのままなぞり、つぶやいた。
「桜。トオサカ……サクラ?」
なんとも、ふしぎそうな表情で。
聖杯に望むものは無い。ただ、遠坂の血を継ぐ役割が彼女では無く私に向いたあの日から。
私に理由は無いが遠坂には聖杯戦争に挑む理由がある。
「――自らに意志はなく。受け継いだものを自分の意志にする、と?」
そんな反応を私に返したサーヴァントは、それから私へのまなざしが柔らかくなったように見えた。
「ところでマスター。オレは自分の名前も知らないが、貴女の名前も知らないのだ。この呼び方のままでかまわないのかな」
優れたお茶の淹れ方を覚えている記憶喪失の人霊はそんなふうに言う。
お互いにほんの少しは気を許したというのに、自己紹介が中途半端なまま。
そんな意図だろうか。お茶を淹れるのも、部屋の片付けも。こうした「人間同士」の会話も。どうしてこんなに「一般人」なんだろう。
「魔術師」の世界に住む私は、そんな一般人のことをきっと大好きで。
「遠坂桜と言います。呼び方はお好きなようにどうぞ」
だから、真名を忘れた英霊に私の名を告げる。アーチャーは私の名をそのままなぞり、つぶやいた。
「桜。トオサカ……サクラ?」
なんとも、ふしぎそうな表情で。
49: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 11:05:16
その後間桐の魔術師に
「私は凛、間桐凛よ」って言われ
完全に思い出してしまうエミヤさんかぁ
「私は凛、間桐凛よ」って言われ
完全に思い出してしまうエミヤさんかぁ
50: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 11:33:11
一つ歳下の後輩に絡みまくる慎二か
これはうざい
これはうざい
51: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:09:15
>>50
慎二が桜に絡む理由は普通に好みなだけじゃなく、前に桜の話題を出したら凛が少しだけ感情的になったからとかもあったら良い
慎二が桜に絡む理由は普通に好みなだけじゃなく、前に桜の話題を出したら凛が少しだけ感情的になったからとかもあったら良い
52: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:38:00
思念が届き、校舎の庭。私は呼び出された木陰に身を隠す。
霊体のまま、アーチャーは呪刻の場所を見つめていた。
「先程、この学校の少女がコレを破壊していた」
心当たりは? とエーテル体の見えない視線。
あの人が。と私の口からつぶやきが漏れた。
「彼女は魔術師だな?」
否定する理由は、無くて。けれど、彼女はマスターでは無い。
あの人を、先日、弓道場に呼び出して、無理を言って身体の令呪を確認させてもらった。
それだけでも、私の心には大きな負担だった事情は、アーチャーが知るはずも無い。
「彼女は君ほどではないにしろ、優秀な魔術師に見えたが」
「令呪を持っていないことは、私が確認済みです。サーヴァントの気配もなかったのでしょう?」
「それは……、確かにその通りだが」
現状、私たち二人だけの会話で答えが出るはずも無い。いまは、この結界だ。
「ところで、あの人にあなたのことを感づかれた様子は」
「ない。……彼女に、特殊な技能が備わっているのなら話は別だが」
「ならば問題ありません。基点を確認したいです。もう学校全体を探索してくれているのでしょう?」
「……無論だ、案内しよう」
疑念を押し込めているのがわかる、アーチャーの返事。
いや、私がどうしてもそう勘ぐってしまうのか。
間桐凛の存在が、私に――遠坂に――とって重すぎるものであることは認めるとしても。
しかしその心理と、彼女の客観的な魔術の実力とは話は別だ。
だから、ことさらこだわらないように振る舞って、歩き出す。
霊体のまま、アーチャーは呪刻の場所を見つめていた。
「先程、この学校の少女がコレを破壊していた」
心当たりは? とエーテル体の見えない視線。
あの人が。と私の口からつぶやきが漏れた。
「彼女は魔術師だな?」
否定する理由は、無くて。けれど、彼女はマスターでは無い。
あの人を、先日、弓道場に呼び出して、無理を言って身体の令呪を確認させてもらった。
それだけでも、私の心には大きな負担だった事情は、アーチャーが知るはずも無い。
「彼女は君ほどではないにしろ、優秀な魔術師に見えたが」
「令呪を持っていないことは、私が確認済みです。サーヴァントの気配もなかったのでしょう?」
「それは……、確かにその通りだが」
現状、私たち二人だけの会話で答えが出るはずも無い。いまは、この結界だ。
「ところで、あの人にあなたのことを感づかれた様子は」
「ない。……彼女に、特殊な技能が備わっているのなら話は別だが」
「ならば問題ありません。基点を確認したいです。もう学校全体を探索してくれているのでしょう?」
「……無論だ、案内しよう」
疑念を押し込めているのがわかる、アーチャーの返事。
いや、私がどうしてもそう勘ぐってしまうのか。
間桐凛の存在が、私に――遠坂に――とって重すぎるものであることは認めるとしても。
しかしその心理と、彼女の客観的な魔術の実力とは話は別だ。
だから、ことさらこだわらないように振る舞って、歩き出す。
53: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:38:30
雑木林の奥、掘り起こされた落ち葉。杭のような術具。
あの人がつけたのか、無数の傷がついていた。
ただし、アーチャーが言うように、破壊したわけではなかった。
ただ、魔力を押し流しただけ。
犯人が発動し直そうと思えば、すぐに発動できてしまう。
一流の魔術師ですら、及ばない魔術の構成。英霊の力。
……そう、遠坂桜に、こんな結界に強く干渉する力はない。
なおさら間桐凛には、不可能な所業であると、私は既に、知ってしまっている。
宝石と影の術式。私なりの対症療法を施して、アーチャーと別行動を提案する。
あの人が邪魔をしてくれてるなら、犯人への対応は今すぐでなくとも良い。
けれど、他の呪刻を見て回ることは必要だ。
そしてそれは、あの人に鉢合わせる可能性もあるということで。
危険は承知の上で、あの人にアーチャーの存在を知られたくはない。
私の今の気持ちを話すと、アーチャーはため息をついて。
「仕方あるまい。危機を感じたらすぐに呼ぶように」
わがままを言ってごめんなさいと、私は頭を下げる。
腕を組んで、苦笑いを隠さない、馴染んだポーズをして。
「かまわない。――我が儘か、そうか。いや、我が儘は聞き慣れている。そんな生前だったよ」
だから、――に謝られると、困ってしまう。
そんなことを、言った。我が儘、の単語に言いよどみ、言い直した彼の台詞。
「君に謝られると」だったと思う。けれど、『遠坂に』と言ったように思えたのは、私の心に焦りが交じっているせいだっただろうか。
あの人がつけたのか、無数の傷がついていた。
ただし、アーチャーが言うように、破壊したわけではなかった。
ただ、魔力を押し流しただけ。
犯人が発動し直そうと思えば、すぐに発動できてしまう。
一流の魔術師ですら、及ばない魔術の構成。英霊の力。
……そう、遠坂桜に、こんな結界に強く干渉する力はない。
なおさら間桐凛には、不可能な所業であると、私は既に、知ってしまっている。
宝石と影の術式。私なりの対症療法を施して、アーチャーと別行動を提案する。
あの人が邪魔をしてくれてるなら、犯人への対応は今すぐでなくとも良い。
けれど、他の呪刻を見て回ることは必要だ。
そしてそれは、あの人に鉢合わせる可能性もあるということで。
危険は承知の上で、あの人にアーチャーの存在を知られたくはない。
私の今の気持ちを話すと、アーチャーはため息をついて。
「仕方あるまい。危機を感じたらすぐに呼ぶように」
わがままを言ってごめんなさいと、私は頭を下げる。
腕を組んで、苦笑いを隠さない、馴染んだポーズをして。
「かまわない。――我が儘か、そうか。いや、我が儘は聞き慣れている。そんな生前だったよ」
だから、――に謝られると、困ってしまう。
そんなことを、言った。我が儘、の単語に言いよどみ、言い直した彼の台詞。
「君に謝られると」だったと思う。けれど、『遠坂に』と言ったように思えたのは、私の心に焦りが交じっているせいだっただろうか。
54: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:38:49
遠坂が謝るのは、遠坂らしくない。一流の魔術師の家としては、たしかに、そうなのかもしれないなと、頭の片隅で、そんな思考が流れた。
私の行動を容認してくれたアーチャーにきびすを返す。
すまない、ひとつ。と彼は私を呼び止めて。
「深い知り合いのようだが、君の様子を見るに、彼女と君の関係は、私は知っておいても良いのでは、とな」
「……ふぅーん。へえ、そうですか、アーチャーはあの人が気になるんですか」
ふだんの私が見せることの無い、拗ねたような振る舞いに、
「他意は無いぞ」
彼は困ったように、シャットアウトの意志を見せて。
「あの人は間桐凛と言います。昔からの知り合いなんですが、
魔術師同士だから、仲が良い、とはほど遠い、つかず離れずな関係でして」
だからあんまり、あの人について話せる材料がそもそも少ないんですと告げて、私は歩き去る。
「――間桐凛」
その名を咀嚼するような、つぶやきだけ後ろで感じた。
私の名前もそうだったけれど、彼は、人の名前を大切にする育ちなのかなと、彼の生前を、かすかに思いながら、私は行動に移った。
私の行動を容認してくれたアーチャーにきびすを返す。
すまない、ひとつ。と彼は私を呼び止めて。
「深い知り合いのようだが、君の様子を見るに、彼女と君の関係は、私は知っておいても良いのでは、とな」
「……ふぅーん。へえ、そうですか、アーチャーはあの人が気になるんですか」
ふだんの私が見せることの無い、拗ねたような振る舞いに、
「他意は無いぞ」
彼は困ったように、シャットアウトの意志を見せて。
「あの人は間桐凛と言います。昔からの知り合いなんですが、
魔術師同士だから、仲が良い、とはほど遠い、つかず離れずな関係でして」
だからあんまり、あの人について話せる材料がそもそも少ないんですと告げて、私は歩き去る。
「――間桐凛」
その名を咀嚼するような、つぶやきだけ後ろで感じた。
私の名前もそうだったけれど、彼は、人の名前を大切にする育ちなのかなと、彼の生前を、かすかに思いながら、私は行動に移った。
56: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:58:45
想像が具現化されている……
57: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 13:19:38
いつの間にか素晴らしい文章が現れてる…
55: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 12:46:28
仮に第4次の結果が変わらないとして、桜は一人で遠坂の屋敷を守らなきゃならんのか…
58: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 13:22:05
ということは桜の後見人は言峰に…?
59: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 13:24:09
>>58
八極拳を修めているけどスカートを気にして使いたがらない桜
八極拳を修めているけどスカートを気にして使いたがらない桜
61: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 14:14:21
これ士郎との関係はどうなってるんだろ?
姉さんが気にかけてる人枠なのか、それとも個人としての交友があるのか
どっちにしても、桜に士郎はやれないだろうけど
姉さんが気にかけてる人枠なのか、それとも個人としての交友があるのか
どっちにしても、桜に士郎はやれないだろうけど
65: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:01:19
>>61
桜は本編と同じく弓道部の後輩かもね
凛が通い妻してるなら気にしてそう
桜は本編と同じく弓道部の後輩かもね
凛が通い妻してるなら気にしてそう
62: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 14:40:51
いまさらだけど、時系列飛び飛びのてきとーダイジェストだし
どこまで続くかもわからんよー
呪刻に簡素な対処をしたそのすぐ夜。校舎でサーヴァント同士の戦闘が発生していた。
雑木林の木陰。影に隠れ闇に潜み、私はひとりアーチャーを待つ。
サーヴァントの一方は先日相対したランサー。昨日の今日で誰も彼もに絡んでいる様子の敵にため息をつく。とても鬱陶しい。
たかが魔術師の小娘の影が、アーチャーの矢をつがえるわずかな間を許し、螺旋の剣矢の爆発に乗じて撤退。
そんな前回の戦闘を思い浮かべていると、斥候からアーチャーが戻る。
「ランサーの拠点は突き止めた」
「もう一方は?」
「見ていない。敷地から先に飛び出してきたのがランサーだった。そのまま追跡を優先した」
ランサーとどのサーヴァントが戦ったのか不明だけれど、決着がついたわけでは無く、もう一方も健在で離れたようだった。
ならばその判断で良いと私は考える。
「なるほど、では、ランサーの場所は?」
「――――」
……アーチャーの答え。私は眉をひそめて。
「ランサーは、部外者を犠牲にしているわけではないようだが」
対処の順番と、優先度。
犠牲を食い止めるというならキャスターを優先。ランサーは現状、放置できると言えば、できるけれど。
「いえ、ランサーをこのまま倒しましょう」
きっとこれは、とてもちょうどいい機会だったから。
どこまで続くかもわからんよー
呪刻に簡素な対処をしたそのすぐ夜。校舎でサーヴァント同士の戦闘が発生していた。
雑木林の木陰。影に隠れ闇に潜み、私はひとりアーチャーを待つ。
サーヴァントの一方は先日相対したランサー。昨日の今日で誰も彼もに絡んでいる様子の敵にため息をつく。とても鬱陶しい。
たかが魔術師の小娘の影が、アーチャーの矢をつがえるわずかな間を許し、螺旋の剣矢の爆発に乗じて撤退。
そんな前回の戦闘を思い浮かべていると、斥候からアーチャーが戻る。
「ランサーの拠点は突き止めた」
「もう一方は?」
「見ていない。敷地から先に飛び出してきたのがランサーだった。そのまま追跡を優先した」
ランサーとどのサーヴァントが戦ったのか不明だけれど、決着がついたわけでは無く、もう一方も健在で離れたようだった。
ならばその判断で良いと私は考える。
「なるほど、では、ランサーの場所は?」
「――――」
……アーチャーの答え。私は眉をひそめて。
「ランサーは、部外者を犠牲にしているわけではないようだが」
対処の順番と、優先度。
犠牲を食い止めるというならキャスターを優先。ランサーは現状、放置できると言えば、できるけれど。
「いえ、ランサーをこのまま倒しましょう」
きっとこれは、とてもちょうどいい機会だったから。
63: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 14:41:05
「珍しい客が訪れたな。これまだほとんど徴集に応じなかったというのに、気まぐれなことだ」
室内の灯りに照らされた十字架、教卓。長い椅子の並び。厳かな教会の風景に立つ神父、言峰綺礼。
「監督役の元に訪れるということは、聖杯戦争に敗れたと言うことだが。『遠坂』桜」
欺瞞と心傷を引きずり出す、らしい彼の話術を私は笑って受け流す。
「あなたの『不審な行動』に興味があるか無いかと言ったら、まったく無いので、簡単に結論だけ言いますね」
「ほう、私の不審な行動、というと?」
「まあ、すごい技量の高い英霊の結界が学校に張られていたので、それを止めることは出来ませんでしたが、
小さな監視の結界をところどころにかぶせました。見覚えのある魔力と、見覚えの無い魔力の区別くらいは容易いです。ランサーのマスター」
「……突飛すぎる思考だな。君と私の関わりなど、数えるほどしか無いのだが」
「今日のサーヴァントの衝突の結果。ランサーの気の済むように戦わせていればよかったんですよ。
決着の前にすぐ撤退させたから、こんな追跡の余地を残している」
そう、言峰神父と私の関わりなどほとんどない。だからこそ、私は彼に「遠坂桜」を見せたことは無い。
「君を侮りすぎていたようだ」
「私はあなたのことを過不足無く捉えていると思いますよ。
――たとえば私より『姉さん』のことが好きみたいだとか」
欺瞞と心傷を引きずり出す、らしい彼の話術をつたなく叩きつけた瞬間、赤と青の影が衝突した。
室内の灯りに照らされた十字架、教卓。長い椅子の並び。厳かな教会の風景に立つ神父、言峰綺礼。
「監督役の元に訪れるということは、聖杯戦争に敗れたと言うことだが。『遠坂』桜」
欺瞞と心傷を引きずり出す、らしい彼の話術を私は笑って受け流す。
「あなたの『不審な行動』に興味があるか無いかと言ったら、まったく無いので、簡単に結論だけ言いますね」
「ほう、私の不審な行動、というと?」
「まあ、すごい技量の高い英霊の結界が学校に張られていたので、それを止めることは出来ませんでしたが、
小さな監視の結界をところどころにかぶせました。見覚えのある魔力と、見覚えの無い魔力の区別くらいは容易いです。ランサーのマスター」
「……突飛すぎる思考だな。君と私の関わりなど、数えるほどしか無いのだが」
「今日のサーヴァントの衝突の結果。ランサーの気の済むように戦わせていればよかったんですよ。
決着の前にすぐ撤退させたから、こんな追跡の余地を残している」
そう、言峰神父と私の関わりなどほとんどない。だからこそ、私は彼に「遠坂桜」を見せたことは無い。
「君を侮りすぎていたようだ」
「私はあなたのことを過不足無く捉えていると思いますよ。
――たとえば私より『姉さん』のことが好きみたいだとか」
欺瞞と心傷を引きずり出す、らしい彼の話術をつたなく叩きつけた瞬間、赤と青の影が衝突した。
64: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 14:43:08
――姉よりも妹の才能に一族の悲願を見出した、ある魔術師の話。
魔術は一子相伝であり、長氏が継ぐのが慣例である。
子にあまりにも才能の差があればその限りでは無いが、ある魔術師は、姉の才能ではなく、妹の属性を選んだ。
魔術師はその結果を知らずに死に。
結果として、出来損ないの烙印を押された姉と、慕っていた姉から引き裂かれた彼女が残された。
――父に縋ることはもう出来ないから、妹は姉に縋り続ける。
けれど姉はもう、それに応えることは無い。
雨の日も風の日も、ずっとずっと待ち続けて。
凍えるからだと虚ろな目で、ひとりぼっち。
属性の希少さはともかく、魔術の才としては姉妹に優劣は無い。
なればこそ、その後の人格の形成を分けたのは生まれ持った天性の性格のわずかな強弱だった。
立ち向かう意志の力。状況に抗う行動の力。
姉にはどちらもあって、妹にはどちらもなかった。
家族を亡くし、残った家だけを拠り所に妹は育った。
――だから、言峰綺礼はこんなに簡単に壊れた少女に興味が無い。
もしも、もしも、もしも。
俯き下を向く、気弱な彼女ではなく、
前を向き歩みを止めない勝ち気な眼差しの彼女が、遠坂を継いだなら。
後見人としてその成長を間近に眺めることが出来たなら。
それは言峰綺礼の空虚を埋める、ひとつの楽しみになっていただろう。
魔術は一子相伝であり、長氏が継ぐのが慣例である。
子にあまりにも才能の差があればその限りでは無いが、ある魔術師は、姉の才能ではなく、妹の属性を選んだ。
魔術師はその結果を知らずに死に。
結果として、出来損ないの烙印を押された姉と、慕っていた姉から引き裂かれた彼女が残された。
――父に縋ることはもう出来ないから、妹は姉に縋り続ける。
けれど姉はもう、それに応えることは無い。
雨の日も風の日も、ずっとずっと待ち続けて。
凍えるからだと虚ろな目で、ひとりぼっち。
属性の希少さはともかく、魔術の才としては姉妹に優劣は無い。
なればこそ、その後の人格の形成を分けたのは生まれ持った天性の性格のわずかな強弱だった。
立ち向かう意志の力。状況に抗う行動の力。
姉にはどちらもあって、妹にはどちらもなかった。
家族を亡くし、残った家だけを拠り所に妹は育った。
――だから、言峰綺礼はこんなに簡単に壊れた少女に興味が無い。
もしも、もしも、もしも。
俯き下を向く、気弱な彼女ではなく、
前を向き歩みを止めない勝ち気な眼差しの彼女が、遠坂を継いだなら。
後見人としてその成長を間近に眺めることが出来たなら。
それは言峰綺礼の空虚を埋める、ひとつの楽しみになっていただろう。
68: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:09:25
ただの人間の私には認識できないほど苛烈に互いの武器をぶつけ合う英霊。
その合間を抜けて、言峰神父の迎撃の構え。
――だから、ランサーのような英霊には効かないけれど、人間である彼には通じる。『遠坂』を継ぐためだけに邁進した私の繰影術。
故に、対応の行動を取る言峰神父。絡む影を踏み抜く震脚。私の身ではなしえない体術。
故に、対応の術が構築されたアゾット剣を構える。『遠坂』の宝石魔術の爆発力は、サーヴァントにも通じ得る。
年月さえかければ込められる魔力は膨大。遠坂桜の日々の象徴。
当たりさえすれば、言峰神父を容易く吹き飛ばせるのだけれど。
突き出そうとした剣は上体を反らして躱された。直後の彼の歩法を、宝石を撒いて阻害する。
近接戦闘では、言峰神父は私の遙か上を行く。
……そう言えば、家を継いだばかりの頃は、まだ、父のつながりの付き合いで、言峰神父と関わりがあった。
護身として、体術を彼から教わっている。
その合間を抜けて、言峰神父の迎撃の構え。
――だから、ランサーのような英霊には効かないけれど、人間である彼には通じる。『遠坂』を継ぐためだけに邁進した私の繰影術。
故に、対応の行動を取る言峰神父。絡む影を踏み抜く震脚。私の身ではなしえない体術。
故に、対応の術が構築されたアゾット剣を構える。『遠坂』の宝石魔術の爆発力は、サーヴァントにも通じ得る。
年月さえかければ込められる魔力は膨大。遠坂桜の日々の象徴。
当たりさえすれば、言峰神父を容易く吹き飛ばせるのだけれど。
突き出そうとした剣は上体を反らして躱された。直後の彼の歩法を、宝石を撒いて阻害する。
近接戦闘では、言峰神父は私の遙か上を行く。
……そう言えば、家を継いだばかりの頃は、まだ、父のつながりの付き合いで、言峰神父と関わりがあった。
護身として、体術を彼から教わっている。
69: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:09:35
遠坂を継いだからこそ、その後見人である彼から課された訓練をおろそかにした覚えは無い。
しかし、言峰神父にとっては、「ただおろそかにしないだけ」の私が面白くなかったのだろう。
課された訓練は、私が遠坂だからこなしたけれど、それ以上の発展を彼から学び取る態度は一切取らなかった。
訓練外の自主練習など、行ったことは無い。
私を見る視線が、まるでゴミを見るみたいに興味の失せたもので。
『遠坂』以外に興味の無い私に似ているように思えて。
……だから、自分に歯向かってくるような、そんな弟子がほしかったのかなと思った。
なるほどこのひとは、姉さんを指導してみたかったのだなと感じた。
だから、ただそれだけ。そんな彼の歪みは、
――私には、まったく関係の無いことだった。
しかし、言峰神父にとっては、「ただおろそかにしないだけ」の私が面白くなかったのだろう。
課された訓練は、私が遠坂だからこなしたけれど、それ以上の発展を彼から学び取る態度は一切取らなかった。
訓練外の自主練習など、行ったことは無い。
私を見る視線が、まるでゴミを見るみたいに興味の失せたもので。
『遠坂』以外に興味の無い私に似ているように思えて。
……だから、自分に歯向かってくるような、そんな弟子がほしかったのかなと思った。
なるほどこのひとは、姉さんを指導してみたかったのだなと感じた。
だから、ただそれだけ。そんな彼の歪みは、
――私には、まったく関係の無いことだった。
70: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:29:23
またアーチャーとランサーが戦ってる
71: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:45:40
間合いを離して、さりげなく周囲を伺う言峰神父。
堂々と首を巡らしていれば良いのに。さりげなさを装うなんてするから余裕の無さを図れてしまう。
すでに私の影は教会の出入り口のすべてを塞いでいる。
「――なるほど、ここまで成長できるほどに、お前は『壊れて』いたのか。ほんとうに、見誤った」
「壊れている? ですか」
何の会話だろうか。私は首をかしげる。
「君に自我は無いだろう」
「はあ、こうして返事できるんだからあるんじゃないでしょうか」
「聖杯戦争に、何も望んでいない。私という敵を襲撃することに、なんの戦意も抱いていない。
君はただ『遠坂』という装置としてここに立っている」
――故に、私には自分の意志が、ないらしい。
堂々と首を巡らしていれば良いのに。さりげなさを装うなんてするから余裕の無さを図れてしまう。
すでに私の影は教会の出入り口のすべてを塞いでいる。
「――なるほど、ここまで成長できるほどに、お前は『壊れて』いたのか。ほんとうに、見誤った」
「壊れている? ですか」
何の会話だろうか。私は首をかしげる。
「君に自我は無いだろう」
「はあ、こうして返事できるんだからあるんじゃないでしょうか」
「聖杯戦争に、何も望んでいない。私という敵を襲撃することに、なんの戦意も抱いていない。
君はただ『遠坂』という装置としてここに立っている」
――故に、私には自分の意志が、ないらしい。
72: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 15:45:50
「それは人形となにが違うのかね?」
――雨に濡れて。凍えた身体を抱いて。帰らない家族を待ち続けた少女がいた。
もしも、もしも、もしも。
輝けるような、強い心を持っているあのひとが遠坂の家に独り残されたとしたら、
孤独を強さに変えて、賑やかで、鮮やかな姿形を保ったまま、日々を邁進できたかもしれない。
けれどあの日の少女は、孤独に心を削り落とされた姿形のまま、目的の無いまま目の前の目標だけを淡々とこなしていく。
今ここに、私が言峰神父の前に立つ理由は、聖杯戦争の邪魔になることが確定したからというだけ。
「アインツベルンは人の機能を削ることで人形を作った。
マキリは妄念と呪縛の蟲の群れで人形を模す。
そして師が後継者に選んだ遠坂桜という人形。
――始まりの御三家だからこそ、辿り着く結果もこうも似通ったのか。
どの人形が勝ち残っても、そこに意味が在るとはとても思えないのだが」
まったく。と彼は嘆息する。
――雨に濡れて。凍えた身体を抱いて。帰らない家族を待ち続けた少女がいた。
もしも、もしも、もしも。
輝けるような、強い心を持っているあのひとが遠坂の家に独り残されたとしたら、
孤独を強さに変えて、賑やかで、鮮やかな姿形を保ったまま、日々を邁進できたかもしれない。
けれどあの日の少女は、孤独に心を削り落とされた姿形のまま、目的の無いまま目の前の目標だけを淡々とこなしていく。
今ここに、私が言峰神父の前に立つ理由は、聖杯戦争の邪魔になることが確定したからというだけ。
「アインツベルンは人の機能を削ることで人形を作った。
マキリは妄念と呪縛の蟲の群れで人形を模す。
そして師が後継者に選んだ遠坂桜という人形。
――始まりの御三家だからこそ、辿り着く結果もこうも似通ったのか。
どの人形が勝ち残っても、そこに意味が在るとはとても思えないのだが」
まったく。と彼は嘆息する。
73: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 16:19:45
――その彼が言うところの、『遠坂』の魔術師の実力から、現在を客観的に考えるに。
彼の白兵戦の強さは人間の常識を遙かに超えている。
……その常識外の速度と威力で、いつでも私を倒し得るほどに。
「その、『意味が無い』ことやらを残念がってますけど、あなた捨て鉢ですよね?」
それなのに、今は私の影が覆う真っ黒な聖堂の中で孤立している有様だ。
私には、ただの強がりにしか見えない。
「聖杯がほしくないどころか、どうでも良いと思っている。私はべつにそれでいいと思ってますよ。
でもあなたはそれがおかしいと言う。聖杯がどうでも良いのはあなたも同じなのに。
――その、『平常な人間の感性を装う』ことに、なにか意味が在るんですか?」
言峰神父は、一瞬、眼にわかるほど黙り込んで。
「――認めよう。お前を侮っていた。
魔術師として人間として、君の姉のほうが優れていると断じたことは今でも揺らがない。
が、今この聖杯戦争においてだけは、お前が優れていると」
彼の白兵戦の強さは人間の常識を遙かに超えている。
……その常識外の速度と威力で、いつでも私を倒し得るほどに。
「その、『意味が無い』ことやらを残念がってますけど、あなた捨て鉢ですよね?」
それなのに、今は私の影が覆う真っ黒な聖堂の中で孤立している有様だ。
私には、ただの強がりにしか見えない。
「聖杯がほしくないどころか、どうでも良いと思っている。私はべつにそれでいいと思ってますよ。
でもあなたはそれがおかしいと言う。聖杯がどうでも良いのはあなたも同じなのに。
――その、『平常な人間の感性を装う』ことに、なにか意味が在るんですか?」
言峰神父は、一瞬、眼にわかるほど黙り込んで。
「――認めよう。お前を侮っていた。
魔術師として人間として、君の姉のほうが優れていると断じたことは今でも揺らがない。
が、今この聖杯戦争においてだけは、お前が優れていると」
74: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 16:19:59
私に向けて構えをとる言峰神父。
興味の無い私に興味を持った言峰神父の明確な、敵意。
「……意味の答えになってないですね?」
「答えたところで、貴様には理解できまいよ」
言い終わらないうちに、爆発的な踏み出し。
ではなく教卓を私に向かって片手で投げつける。
彼にその膂力があることは想定の内ではある、だが、こんな見栄を捨てたマネをするとは――
かろうじて、後退。巨大な教卓が跳ね回る轟音。言峰神父が私の視界から消え。
私の死角に回り込んだ言峰神父の凶暴な拳が私の頭部を粉砕する――
――前に、教卓から伸びた影の縄が言峰神父を絡め取った。
一撃を当てるだけで良いのは、私も同じで。
一瞬だけ、敵の動きを止めるだけで良かったのは、私も同じで。
アゾット。解放。
光の奔流が、言峰神父を飲み込んだ。
広間を満たす光。マスター消失。ランサーの意識が削がれる。
アーチャーの踏み込み。その手から、滲むように現れた剣。
ランサーの表情が歪む。敗北の結果を悔やむのでは無く、自らを貫く偽物の剣に。
親友の剣で、ランサーは散った。
興味の無い私に興味を持った言峰神父の明確な、敵意。
「……意味の答えになってないですね?」
「答えたところで、貴様には理解できまいよ」
言い終わらないうちに、爆発的な踏み出し。
ではなく教卓を私に向かって片手で投げつける。
彼にその膂力があることは想定の内ではある、だが、こんな見栄を捨てたマネをするとは――
かろうじて、後退。巨大な教卓が跳ね回る轟音。言峰神父が私の視界から消え。
私の死角に回り込んだ言峰神父の凶暴な拳が私の頭部を粉砕する――
――前に、教卓から伸びた影の縄が言峰神父を絡め取った。
一撃を当てるだけで良いのは、私も同じで。
一瞬だけ、敵の動きを止めるだけで良かったのは、私も同じで。
アゾット。解放。
光の奔流が、言峰神父を飲み込んだ。
広間を満たす光。マスター消失。ランサーの意識が削がれる。
アーチャーの踏み込み。その手から、滲むように現れた剣。
ランサーの表情が歪む。敗北の結果を悔やむのでは無く、自らを貫く偽物の剣に。
親友の剣で、ランサーは散った。
76: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 16:53:41
「ごめんなさいアーチャー。逃げられました」
私のそばに降り立つサーヴァントに告げる。
壁に開いた大穴の向こうを見やって。
「奴は?」
「腕は奪えたと思います」
言峰神父の胸に突き立ててアゾットを解放するはずが、両腕に阻まれたのだ。
――それは体術の技量か、彼が抱く『意味』とやらへの執念か。
眉根を寄せ悔やむ私に彼は言う。
「ひとまずはサーヴァントを撃破し、奴の動きも封じた。
ベストでは無いにしろ、十分な結果に終わったと判断する。悔やむことは無いだろう」
「言峰神父があからさまに私に興味が無い内に仕留めておきたかったんですが。
思い通りには行きませんね……」
こんな結果では満足とはほど遠い。特に今後の言峰神父の存在は厄介なものになり得る。
不満な返答をする私に横目を向けて。
私のそばに降り立つサーヴァントに告げる。
壁に開いた大穴の向こうを見やって。
「奴は?」
「腕は奪えたと思います」
言峰神父の胸に突き立ててアゾットを解放するはずが、両腕に阻まれたのだ。
――それは体術の技量か、彼が抱く『意味』とやらへの執念か。
眉根を寄せ悔やむ私に彼は言う。
「ひとまずはサーヴァントを撃破し、奴の動きも封じた。
ベストでは無いにしろ、十分な結果に終わったと判断する。悔やむことは無いだろう」
「言峰神父があからさまに私に興味が無い内に仕留めておきたかったんですが。
思い通りには行きませんね……」
こんな結果では満足とはほど遠い。特に今後の言峰神父の存在は厄介なものになり得る。
不満な返答をする私に横目を向けて。
77: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 16:54:13
「……君も、いや、君は完璧主義者の気があるな」
「……いや、結構良くない結果だと思いますよ」
「悪い結果では無い、という根拠は先ほど私は言ったが、君はほかに何か懸念が?」
「イレギュラーに弱いんですよ私。楽に役目を果たしたいです。いえ、役目を果たすことだけ考えてられれば良いのか」
――役目。私の役目では無く、遠坂の役目。
自分以外のために果たす行い。
孤独に乗り越えられず諦念の邁進を歩んできた遠坂桜に、それ以外の生き方は無い。
「――自分以外の希望を果たそうとする生き方をした、ひとりの馬鹿を知っている」
「はあ」
慰めを考えてくれているのか、アーチャーはそんなことを言った。
けれど、私に似ている誰かがいたとして、私は私じゃ無いその人に興味は持てそうに無いのだけれど。
「そいつは確かに、易しい楽な生き方をしていたよ」
「……慰めてくれると思ったら、なんか違う方向できましたねアーチャー」
はっきりしない決着に、はっきりしない会話をして、私たちは夜の帰路につく。
「……いや、結構良くない結果だと思いますよ」
「悪い結果では無い、という根拠は先ほど私は言ったが、君はほかに何か懸念が?」
「イレギュラーに弱いんですよ私。楽に役目を果たしたいです。いえ、役目を果たすことだけ考えてられれば良いのか」
――役目。私の役目では無く、遠坂の役目。
自分以外のために果たす行い。
孤独に乗り越えられず諦念の邁進を歩んできた遠坂桜に、それ以外の生き方は無い。
「――自分以外の希望を果たそうとする生き方をした、ひとりの馬鹿を知っている」
「はあ」
慰めを考えてくれているのか、アーチャーはそんなことを言った。
けれど、私に似ている誰かがいたとして、私は私じゃ無いその人に興味は持てそうに無いのだけれど。
「そいつは確かに、易しい楽な生き方をしていたよ」
「……慰めてくれると思ったら、なんか違う方向できましたねアーチャー」
はっきりしない決着に、はっきりしない会話をして、私たちは夜の帰路につく。
79: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 18:16:38
間桐と凛に関わらないようにしてるなら、この慎二は比較的真っ当なのでは?
80: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 18:58:17
この世界でもリボンは凛から桜に渡っていて欲しい
「私は間桐で立派な魔術師になっていつか会いに来るから、桜も頑張るのよ!」とか別れる時に励まして渡してる
「私は間桐で立派な魔術師になっていつか会いに来るから、桜も頑張るのよ!」とか別れる時に励まして渡してる
83: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:37:39
>>80
今もリボンをずっと着けてる桜を見て「立派な魔術師になる、か……今はこんなザマだけどね」って間桐で変わった自分を自嘲してそう
今もリボンをずっと着けてる桜を見て「立派な魔術師になる、か……今はこんなザマだけどね」って間桐で変わった自分を自嘲してそう
106: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 22:25:49
>>83
桜のリボンを曇らせアイテムにする人多くない…?
桜のリボンを曇らせアイテムにする人多くない…?
108: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 23:17:22
>>106
だって便利だし…ねぇ
だって便利だし…ねぇ
125: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 15:49:14
>>108
決別のシーンで「ごめんね、こんな姉貴で」って言いながら桜のリボン外して欲しい
決別のシーンで「ごめんね、こんな姉貴で」って言いながら桜のリボン外して欲しい
82: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:18:48
この凛が呼ぶとしたらどのサーヴァントだろう
原作通りライダーさんでも面白そうだけど
原作通りライダーさんでも面白そうだけど
84: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:40:29
根源を目指す間桐の直系に、ついに魔術回路を持たぬものが生まれてしまった。
明確な血の衰え。この地こそ悲願と定めたというのに、この地は、マキリに味方をしてはくれなかった。
長年の望みを断念することはできない。絶望を乗り越えなければならない。
そうして。
――長年の友誼を通じて、姉妹の内要らぬ方を譲り受けた。
生き続け生き続け、数百年を経て。始まりの清冽な望みはどれほど変質しているか気づく由もない小柄な老人。
それよりも小さな身体で虚勢を張り、自らを取り巻く世界に、宣戦布告する。
「間桐凛、この家の後継ぎよ。覚えておきなさい」
出来損ないの長男を一蹴したその姿に、能無しを産んだ娘よりは、と蟲の老人は期待を持った。
――その日の夜。少女は手足の感覚を奪われ、蟲の中で泣き喚いた。
85: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:41:00
惨めたらしく許しを請う姿。出来損ないに見せた高圧的な態度など見る影も無い。
被虐趣味で眺めるならそれでも良かったが、相伝を仕込む必要な儀式でこのザマでは少なからず落胆してしまう。
すぐに自我を失い壊れるだろうと老人は嘆息した。
術を保存する肉の人形として飼うより他ない。
遠坂の長子でありながら、落ちこぼれた凡作。出来損ないの長男よりは魔術回路を持っているだけ多少マシと言ったところか。
昼間に威勢を張り、夜の蟲倉でみっともなく泣き喚く。
そんな日々が、一日、一週間、一ヶ月と続いていた。
――続いていた。
新しい蟲にまた泣き叫び。しかし一度這った蟲には身体のすべてを強張らせて声を抑えた。
喘ぐ結果は変わらないのに、抵抗するだけ抵抗して正気を失って。しかし休息を経て元に戻る。
父親に捨てられた憎悪。全てを手にした妹への怨嗟。その闇を糧にして、責め苦を耐えるその姿に、
なるほど、と老人は少女への認識を改めた。
どれほどどす黒い力であろうと、それが自我を保つ力になるのなら。器としても、使えるだろう。
被虐趣味で眺めるならそれでも良かったが、相伝を仕込む必要な儀式でこのザマでは少なからず落胆してしまう。
すぐに自我を失い壊れるだろうと老人は嘆息した。
術を保存する肉の人形として飼うより他ない。
遠坂の長子でありながら、落ちこぼれた凡作。出来損ないの長男よりは魔術回路を持っているだけ多少マシと言ったところか。
昼間に威勢を張り、夜の蟲倉でみっともなく泣き喚く。
そんな日々が、一日、一週間、一ヶ月と続いていた。
――続いていた。
新しい蟲にまた泣き叫び。しかし一度這った蟲には身体のすべてを強張らせて声を抑えた。
喘ぐ結果は変わらないのに、抵抗するだけ抵抗して正気を失って。しかし休息を経て元に戻る。
父親に捨てられた憎悪。全てを手にした妹への怨嗟。その闇を糧にして、責め苦を耐えるその姿に、
なるほど、と老人は少女への認識を改めた。
どれほどどす黒い力であろうと、それが自我を保つ力になるのなら。器としても、使えるだろう。
93: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:13:51
身体の改造は、慎重に行わねばならない。
歴史を重ねた蟲の術は、些細な過失で器を壊す。
焦ってはならない。この生意気な小娘が、間桐の最後の手札。
屈服は必要だ。だが心を殺しきるわけにはいかなかった。
次代の肉を生ませる最適な器であるように、細心の注意を払って作り替えなければならない。
――おぬしの名前は、なんといったかのう、遠坂凛?
身体を蟲に浸し、精神は遠坂の名を呟き、憎しみの沼を深く深く濁らせてゆく。
確執と憎悪こそがこの小娘の生きる糧。
マキリの水の継承は比較的、容易かった。五大属性を削ぎ落とすだけで済んだのだから。
蟲を扱う感覚は数年で馴染み。そして、聖杯の泥で作られた刻印虫が心臓に埋め込まれる。
たったの十年で、大まかな処置が済んだと老人は喜んだ。
――その過程で、少女はどれほどの涙と涎を垂れ流し、喘ぎ喚いたのか。
蟲の魔術師がそこに興味を持つことは、無い。
その身体に、侵されていない部分などひとつもありはしない。
魔術の修練の負荷、器の調整の負荷は、元の家への劣等感と憎悪が緩和する。
そういう風に、誘導した。
成長につれて、小娘の尊大な態度は肥大化する。
出来損ないの長男との対立は枚挙に暇が無い。しかし小娘は全て罵りを叩き潰し長男を嘲り笑う。
他者を屈服させる愉悦が自我の安定を保つのなら、
出来損ないにも使い道はあるなと、老人はにたりと笑った。
――そして、聖杯戦争が始まる。
歴史を重ねた蟲の術は、些細な過失で器を壊す。
焦ってはならない。この生意気な小娘が、間桐の最後の手札。
屈服は必要だ。だが心を殺しきるわけにはいかなかった。
次代の肉を生ませる最適な器であるように、細心の注意を払って作り替えなければならない。
――おぬしの名前は、なんといったかのう、遠坂凛?
身体を蟲に浸し、精神は遠坂の名を呟き、憎しみの沼を深く深く濁らせてゆく。
確執と憎悪こそがこの小娘の生きる糧。
マキリの水の継承は比較的、容易かった。五大属性を削ぎ落とすだけで済んだのだから。
蟲を扱う感覚は数年で馴染み。そして、聖杯の泥で作られた刻印虫が心臓に埋め込まれる。
たったの十年で、大まかな処置が済んだと老人は喜んだ。
――その過程で、少女はどれほどの涙と涎を垂れ流し、喘ぎ喚いたのか。
蟲の魔術師がそこに興味を持つことは、無い。
その身体に、侵されていない部分などひとつもありはしない。
魔術の修練の負荷、器の調整の負荷は、元の家への劣等感と憎悪が緩和する。
そういう風に、誘導した。
成長につれて、小娘の尊大な態度は肥大化する。
出来損ないの長男との対立は枚挙に暇が無い。しかし小娘は全て罵りを叩き潰し長男を嘲り笑う。
他者を屈服させる愉悦が自我の安定を保つのなら、
出来損ないにも使い道はあるなと、老人はにたりと笑った。
――そして、聖杯戦争が始まる。
86: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:42:07
流れを読まずに投下するぜ!
間桐凛さんはひんぬー
(遠坂桜ちゃんはそこそこデカそう)
間桐凛さんはひんぬー
(遠坂桜ちゃんはそこそこデカそう)
88: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:55:56
>>86
公式間桐凛IFが匂わされてる英霊トーサカが巨○だから間桐凛は巨○だと思うぞ
公式間桐凛IFが匂わされてる英霊トーサカが巨○だから間桐凛は巨○だと思うぞ
90: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:58:52
匂わされてるどころか社長が直球で黒化した間桐凛の成れの果てって言ってるぞ
89: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 19:58:41
凛は一回メンタル折れるけど、「これなら妹の方でも良かったかのう……」とかの呟きで正気に戻って復活してると良いな
91: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:02:27
凛の才能って魔術界でもトップクラスじゃなかった?
間桐に塗りつぶされかかってるけど、水の魔術だけは本来のスペック超えて使えるとかだとロマンがあるよね
間桐に塗りつぶされかかってるけど、水の魔術だけは本来のスペック超えて使えるとかだとロマンがあるよね
92: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:04:30
個人的に凛が時臣を恨むイメージが湧かない
94: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:15:34
>>92
凛より桜の方が恨んでそう
自分を後継にしたことも、姉を連れて行ってしまったことも
凛より桜の方が恨んでそう
自分を後継にしたことも、姉を連れて行ってしまったことも
96: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:32:04
「俺は、凛だけの正義の味方になる」ルート発生するかな?
101: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:43:58
>>96
HFルートに行くには凛が暴走しないと…
ゾウケンがラスボスなら似た感じになるかな
HFルートに行くには凛が暴走しないと…
ゾウケンがラスボスなら似た感じになるかな
99: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:37:56
おかしい、俺はHF3章を見て心の底から感動したはずなんだ
なのに、このスレやあのスレを見ていると何故か興奮してしまうんだ…
なのに、このスレやあのスレを見ていると何故か興奮してしまうんだ…
97: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:33:57
ssキリ良さそうだし、続くなら別スレ立ててもいいかも?
100: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 20:38:31
エタる自信があるので
このスレ限定の遊びとさせて頂けると(˘ω˘)
美綴綾子は、間桐凛と仲が良かった。
美綴綾子は、弓道部の衛宮士郎に一目置いていた。
間桐凛と衛宮士郎は、共通の友人を通じて会話の機会が多くなった。
衛宮士郎は、間桐慎二の尊大な性格を苦にしなかった。
間桐凛と間桐慎二の仲が良くないことは、校内では知らず知らずのうちに、周知されていたけれど。
――間桐凛と間桐慎二が、例えば、同じ弓道場の空間にいたとしても。大きないがみ合いを校内で見せることは無かった。
共通の知人が、必死に生きる子供でしか無い彼らの何かを変えていた。
このスレ限定の遊びとさせて頂けると(˘ω˘)
美綴綾子は、間桐凛と仲が良かった。
美綴綾子は、弓道部の衛宮士郎に一目置いていた。
間桐凛と衛宮士郎は、共通の友人を通じて会話の機会が多くなった。
衛宮士郎は、間桐慎二の尊大な性格を苦にしなかった。
間桐凛と間桐慎二の仲が良くないことは、校内では知らず知らずのうちに、周知されていたけれど。
――間桐凛と間桐慎二が、例えば、同じ弓道場の空間にいたとしても。大きないがみ合いを校内で見せることは無かった。
共通の知人が、必死に生きる子供でしか無い彼らの何かを変えていた。
102: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 21:16:15
――夕暮れのグラウンドで。たったひとりの高飛びを見る。
設定されてる高さは、どうもその人どころか、他のほとんどの人だって飛べないくらいの高さに設定されていて。
それでも、彼は何度も挑戦を繰り返していた。
遠坂桜であることを、べつに諦めてもいいんじゃないかなと思ったことは幾度もある。
そのたびに、自分が奪ってしまった誰かのことを想って立ち上がった。
あのひとに、無様な姿をさらせない。本来あるべき■■凛のような、遠坂桜を。
そんなことをしても、あの家に、私を見るひとは誰も居ないのに。
そんな無意味な演技の日々のさなか。無意味で無機質な、失敗の繰り返しに出会う。
なんで、私の無意味とぜんぜんちがうんだろう。と思った
くじけないことが、あたりまえ。あきらめないことが、あたりまえ。
――そんな在り方が、あるんだと。知ってしまった。
設定されてる高さは、どうもその人どころか、他のほとんどの人だって飛べないくらいの高さに設定されていて。
それでも、彼は何度も挑戦を繰り返していた。
遠坂桜であることを、べつに諦めてもいいんじゃないかなと思ったことは幾度もある。
そのたびに、自分が奪ってしまった誰かのことを想って立ち上がった。
あのひとに、無様な姿をさらせない。本来あるべき■■凛のような、遠坂桜を。
そんなことをしても、あの家に、私を見るひとは誰も居ないのに。
そんな無意味な演技の日々のさなか。無意味で無機質な、失敗の繰り返しに出会う。
なんで、私の無意味とぜんぜんちがうんだろう。と思った
くじけないことが、あたりまえ。あきらめないことが、あたりまえ。
――そんな在り方が、あるんだと。知ってしまった。
103: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 21:16:35
――そして、桜の舞う日に彼に出会い。
ひとつ上の先輩たちがやっている、部活勧誘のざわめきの中。
私は、衛宮士郎さんのもとへ近づき、弓道部の入部届を受け取ってしまった。
――だから、入部した初日に、彼女に出会ってしまう。
弓道場の一角で、親しげに談笑する数人の先輩たち。
後ろ姿を向けていた、美綴綾子先輩と、衛宮士郎先輩の、その対面。私の姿をみとめた、ひとつ上の、上級生。
「ふたりのお客さんじゃない?」
透き通るような、明朗な声。ただ、まっすぐ立っているだけの姿が、堂々と、輝いているようで。
入部届の紙を片手に持つ私の姿。すわ新入部員だと驚いたふたりは、とりあえず見学席へと私を連れゆく。
そのあいだ、彼女は、私の姿をみつめていて。
彼女の目に、私はどう映っているのか。落ちつかなく私は視線をうつむかせる。
――ああ、うつむく私を、見てほしくはないなあ。
ただそれだけを、思った。
ひとつ上の先輩たちがやっている、部活勧誘のざわめきの中。
私は、衛宮士郎さんのもとへ近づき、弓道部の入部届を受け取ってしまった。
――だから、入部した初日に、彼女に出会ってしまう。
弓道場の一角で、親しげに談笑する数人の先輩たち。
後ろ姿を向けていた、美綴綾子先輩と、衛宮士郎先輩の、その対面。私の姿をみとめた、ひとつ上の、上級生。
「ふたりのお客さんじゃない?」
透き通るような、明朗な声。ただ、まっすぐ立っているだけの姿が、堂々と、輝いているようで。
入部届の紙を片手に持つ私の姿。すわ新入部員だと驚いたふたりは、とりあえず見学席へと私を連れゆく。
そのあいだ、彼女は、私の姿をみつめていて。
彼女の目に、私はどう映っているのか。落ちつかなく私は視線をうつむかせる。
――ああ、うつむく私を、見てほしくはないなあ。
ただそれだけを、思った。
104: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 21:25:41
間桐凛は周りに攻撃的になるのか、表向き遠坂みたいになるのかどっちだろう?
109: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 23:29:55
離れ離れになる前、例のペンダントをこっそり持ち出して凛に渡す桜とか?
(あれ家宝だったっけ?…まぁいっか)
(あれ家宝だったっけ?…まぁいっか)
110: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 23:49:45
場面が飛びすぎるようですが、
スレの趣旨的に一番需要がありそうな、遠坂桜vs間桐凛に先に手をつけます。
「やはり貴女だったんですね。間桐、凛。ライダーのマスター」
「もう少し驚けばいいのに。まあ肌を見せたくらいで令呪をいじれるマキリの疑いは晴れないわよね、遠坂桜」
半壊したアインツベルン城。瓦礫が散らばるその広間で、あのひとは私に敵意を向ける。
「完璧な貴女なら、全てを操れるかもしれない、そう思っていただけです」
「完璧な貴女が私にそれを言う? ひどい皮肉だわ」
私の言を鼻で笑って、瓦礫にひそむ蟲の群れを彼女は見せる。
ただ、最後に遠坂桜に勝てればいい。この場所を指定したのは、このためか。
そして、水の弾。私を指さす。マキリの魔術。宝石で迎撃。はじける水滴が焼くように肌を蝕む。
ガンド弾の応用。水の散弾銃。吹き付ける呪い。
なるほど、と思う。ならば宝石をひとつ。風で水滴を薙ぎ払う。
相手のガンドの使い方が割れた。心理的にも体勢は十分。
私もまたガンドで彼女のガンドを迎撃し続ける。
――ガンドしか使わない私になにを思ったのか。しばらくのあとに、彼女は動きを止めた。
「大きな魔術を使わないのは、どうして?」
余裕あふれる佇まいで、首をかしげて。
余裕に見えるように、緊張を、恐れを押し込めて『遠坂』を演じている私とは大違いの彼女のことを、
私は何一つ理解できそうになくて。
スレの趣旨的に一番需要がありそうな、遠坂桜vs間桐凛に先に手をつけます。
「やはり貴女だったんですね。間桐、凛。ライダーのマスター」
「もう少し驚けばいいのに。まあ肌を見せたくらいで令呪をいじれるマキリの疑いは晴れないわよね、遠坂桜」
半壊したアインツベルン城。瓦礫が散らばるその広間で、あのひとは私に敵意を向ける。
「完璧な貴女なら、全てを操れるかもしれない、そう思っていただけです」
「完璧な貴女が私にそれを言う? ひどい皮肉だわ」
私の言を鼻で笑って、瓦礫にひそむ蟲の群れを彼女は見せる。
ただ、最後に遠坂桜に勝てればいい。この場所を指定したのは、このためか。
そして、水の弾。私を指さす。マキリの魔術。宝石で迎撃。はじける水滴が焼くように肌を蝕む。
ガンド弾の応用。水の散弾銃。吹き付ける呪い。
なるほど、と思う。ならば宝石をひとつ。風で水滴を薙ぎ払う。
相手のガンドの使い方が割れた。心理的にも体勢は十分。
私もまたガンドで彼女のガンドを迎撃し続ける。
――ガンドしか使わない私になにを思ったのか。しばらくのあとに、彼女は動きを止めた。
「大きな魔術を使わないのは、どうして?」
余裕あふれる佇まいで、首をかしげて。
余裕に見えるように、緊張を、恐れを押し込めて『遠坂』を演じている私とは大違いの彼女のことを、
私は何一つ理解できそうになくて。
111: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 23:50:11
「自分から戦いを仕掛けておいて自分から無駄口ですか。
貴女にとってはこの戦いも遊ぶ余裕でしかないと」
「余裕があるわけ、ないでしょう」
空気が揺らぐ。本気の間桐凛の重圧。
「あの日からずっと、私は張り詰めて張り詰めて、生きているのよ」
あの日からずっと――
重圧の情念とは裏腹に、どこか淡々とした語り口から、はじめて、私は間桐凛の心の裡に触れる。
「父さんがなにを考えていたのか、わからない。
でも、可憐で、堂々たる遠坂の当代。
私が遠坂を継いだとして、貴女のようになれたと思えない」
「は、あ」
わけが、わからない。可憐も、堂々も、貴女のためにあるような言葉ではないのか。
「魔術師が他家に移る。ねえ、これは他家の身体に作り替えられるっていうことなのよ」
……それだけで、凄惨な日々が想像できる。薄笑いを浮かべて自重する彼女は、それでも美しかった。
「あの日の夜、即座に処女が奪われた。蟲倉に放り込まれて一晩中犯され続けた」
ざわめく蟲。そんな地獄の中で、間桐凛が手に入れたモノがこれだというのか。
「泣いても喚いても、誰も助けてくれない責め苦の日々がひたすら続いたわ」
泣いても喚いても、誰も助けてくれない孤独の日々でも、
自分の方がきっと彼女よりマシなのだと、ずっと感じてはいたけれど。
それに加えて、彼女はどれほどの痛みと苦しみを負っていたのだろう。
貴女にとってはこの戦いも遊ぶ余裕でしかないと」
「余裕があるわけ、ないでしょう」
空気が揺らぐ。本気の間桐凛の重圧。
「あの日からずっと、私は張り詰めて張り詰めて、生きているのよ」
あの日からずっと――
重圧の情念とは裏腹に、どこか淡々とした語り口から、はじめて、私は間桐凛の心の裡に触れる。
「父さんがなにを考えていたのか、わからない。
でも、可憐で、堂々たる遠坂の当代。
私が遠坂を継いだとして、貴女のようになれたと思えない」
「は、あ」
わけが、わからない。可憐も、堂々も、貴女のためにあるような言葉ではないのか。
「魔術師が他家に移る。ねえ、これは他家の身体に作り替えられるっていうことなのよ」
……それだけで、凄惨な日々が想像できる。薄笑いを浮かべて自重する彼女は、それでも美しかった。
「あの日の夜、即座に処女が奪われた。蟲倉に放り込まれて一晩中犯され続けた」
ざわめく蟲。そんな地獄の中で、間桐凛が手に入れたモノがこれだというのか。
「泣いても喚いても、誰も助けてくれない責め苦の日々がひたすら続いたわ」
泣いても喚いても、誰も助けてくれない孤独の日々でも、
自分の方がきっと彼女よりマシなのだと、ずっと感じてはいたけれど。
それに加えて、彼女はどれほどの痛みと苦しみを負っていたのだろう。
112: 名無しのあにまんch 2021/08/22(日) 23:51:01
「だから、立派に成長した貴女の姿を見るたび、自分が惨めで仕方が無いの」
撃ち散らかした水滴が霧に変わり私を包囲する。
マキリの水の魔術と、間桐凛の本気の技量。
――立派に成長した貴女の姿を追い続けて、ここまで来たのに。
「遠坂桜の才能が、あんな蟲倉に潰されなくて良かったと思う。
汚れた身体で行使するマキリの魔術こそが、遠坂よりも私に合っている。
……この力が『遠坂凛』より上であればあるほど、父さんの判断は、正しかったと証明されてしまう」
霧に潜む白い蟲が襲い来る。ただひたすらに、宝石の魔力を振り回すしかできなくなる。
「でもね、諦められなかったの。
苦しくて、痛くて、父さんの考えも貴女の才能も納得して、私が壊れて終わればそれで良かった」
影の縛りで、宝石の魔力で、蟲の奔流を足止めする。
――壊れて始まった遠坂桜だったから、諦めない貴女の姿を望んだのに。
「だから、貴女に勝つの。貴女に勝っても、何も変わらずひとり惨めなままだってわかってる。
それでも私は、『間桐凛』を許容できないから」
どれほどの蟲を撃退しても、終わりが見えない。限りはあるだろうが、それよりも先に私の力が尽きる。
――『遠坂桜』を許容できないから、私はひとりでがんばってきたのに。
撃ち散らかした水滴が霧に変わり私を包囲する。
マキリの水の魔術と、間桐凛の本気の技量。
――立派に成長した貴女の姿を追い続けて、ここまで来たのに。
「遠坂桜の才能が、あんな蟲倉に潰されなくて良かったと思う。
汚れた身体で行使するマキリの魔術こそが、遠坂よりも私に合っている。
……この力が『遠坂凛』より上であればあるほど、父さんの判断は、正しかったと証明されてしまう」
霧に潜む白い蟲が襲い来る。ただひたすらに、宝石の魔力を振り回すしかできなくなる。
「でもね、諦められなかったの。
苦しくて、痛くて、父さんの考えも貴女の才能も納得して、私が壊れて終わればそれで良かった」
影の縛りで、宝石の魔力で、蟲の奔流を足止めする。
――壊れて始まった遠坂桜だったから、諦めない貴女の姿を望んだのに。
「だから、貴女に勝つの。貴女に勝っても、何も変わらずひとり惨めなままだってわかってる。
それでも私は、『間桐凛』を許容できないから」
どれほどの蟲を撃退しても、終わりが見えない。限りはあるだろうが、それよりも先に私の力が尽きる。
――『遠坂桜』を許容できないから、私はひとりでがんばってきたのに。
113: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 00:34:21
「率直に言って良いですか、間桐先輩」
平坦な声音。演技のわざとらしい『遠坂桜』の表層。彼女はギリっと歯を食い縛る。
さぞや彼女には、私がまだまだ余裕を崩さないように見えて苛立つだろう。
私の仮初めの余裕に備えて、蟲の動きが止まる。いや、トドメの号令を、待機する。
食い千切られた衣服。露出した肌にしみこむ毒。
疲弊する遠坂桜と、悠々と立つ間桐凛。
貴女が望んだ勝利は、目の前にあるだろうに。
なにもできずに敗北する私を――
――いや、この遠坂桜になにもさせず勝利する魔術師・間桐凛を。
「さっきからあなたの言ってること、わたし、なんにもわかんないです」
なぜ、貴女は肯定しないのか――
壊れて役目を果たすだけの、楽な生き方をしてきた私だと思う。
壊れることができなかったからこそ、辛い生き方をしてきた貴女だと思う。
「生き方は違ってしまいましたけど、それでも私は、遠くに行ってしまった貴女を見てた……」
霧の中の駆除を再開する。私の動きに反応して蟲の襲撃が再開する。
余裕なんて無くて、髪は降り乱れて。
「私だって、助けてほしかった……! 広い屋敷に残されて、たったひとりで、あなたに会いたかった……!」
いままでの人生でいちばん声を荒げている。怒鳴り散らす。
これのどこがあなたの言う可憐だとかなんだと言うのだ。
平坦な声音。演技のわざとらしい『遠坂桜』の表層。彼女はギリっと歯を食い縛る。
さぞや彼女には、私がまだまだ余裕を崩さないように見えて苛立つだろう。
私の仮初めの余裕に備えて、蟲の動きが止まる。いや、トドメの号令を、待機する。
食い千切られた衣服。露出した肌にしみこむ毒。
疲弊する遠坂桜と、悠々と立つ間桐凛。
貴女が望んだ勝利は、目の前にあるだろうに。
なにもできずに敗北する私を――
――いや、この遠坂桜になにもさせず勝利する魔術師・間桐凛を。
「さっきからあなたの言ってること、わたし、なんにもわかんないです」
なぜ、貴女は肯定しないのか――
壊れて役目を果たすだけの、楽な生き方をしてきた私だと思う。
壊れることができなかったからこそ、辛い生き方をしてきた貴女だと思う。
「生き方は違ってしまいましたけど、それでも私は、遠くに行ってしまった貴女を見てた……」
霧の中の駆除を再開する。私の動きに反応して蟲の襲撃が再開する。
余裕なんて無くて、髪は降り乱れて。
「私だって、助けてほしかった……! 広い屋敷に残されて、たったひとりで、あなたに会いたかった……!」
いままでの人生でいちばん声を荒げている。怒鳴り散らす。
これのどこがあなたの言う可憐だとかなんだと言うのだ。
114: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 00:34:33
「私よりひどい状況で、けっして俯かず堂々としている貴女を見るたび、私は自分がみっともなく思えて!」
状況が思うように進まない苛立ちでもない。殺戮を良しとする悪への不愉快でもない。
ああ、これが怒ると言うことか。
「だからずっと、声をかけられなかったけれど」
だから、せめて、決めたんだ。
「ひとりで、がんばれるようになるんだって!」
こごえるからだと、うつろなこころ。
孤独を乗り越えて強くなる美談の主人公には、もうなれないけれど。
「震える身体のまま! 竦む足のまま! 怯える心のまま!
それでも、『遠坂凛』の偶像に並ぶ、遠坂桜になろうって!」
きっとそれは目指すだけ無駄だった。
演技をせずとも堂々と、鮮烈に輝く彼女の在り方に、遠坂桜は永遠に届かない。
「貴女がどれほど『間桐凛』を惨めに思っても! 蔑む思いを抱いても!」
それでも、それでも、それでも。
「”姉さん”は! 私の目指すべき理想だったんです!」
そうして生きていれば、きっと。きっと。
貴女のそばに居ても恥ずかしくない自分に、いつか、いつか、なることができたなら。
――そうなれば、いつかきっと
胸を張って会える日が来るんだ、って――
状況が思うように進まない苛立ちでもない。殺戮を良しとする悪への不愉快でもない。
ああ、これが怒ると言うことか。
「だからずっと、声をかけられなかったけれど」
だから、せめて、決めたんだ。
「ひとりで、がんばれるようになるんだって!」
こごえるからだと、うつろなこころ。
孤独を乗り越えて強くなる美談の主人公には、もうなれないけれど。
「震える身体のまま! 竦む足のまま! 怯える心のまま!
それでも、『遠坂凛』の偶像に並ぶ、遠坂桜になろうって!」
きっとそれは目指すだけ無駄だった。
演技をせずとも堂々と、鮮烈に輝く彼女の在り方に、遠坂桜は永遠に届かない。
「貴女がどれほど『間桐凛』を惨めに思っても! 蔑む思いを抱いても!」
それでも、それでも、それでも。
「”姉さん”は! 私の目指すべき理想だったんです!」
そうして生きていれば、きっと。きっと。
貴女のそばに居ても恥ずかしくない自分に、いつか、いつか、なることができたなら。
――そうなれば、いつかきっと
胸を張って会える日が来るんだ、って――
115: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 01:19:29
「……遠坂凛と、間桐桜なら、どうなっていたのかな」
……泣いている遠坂桜と、泣いている間桐凛が向かい合う。
最後の、総攻撃。
「……さあ? きっとこうやって戦ってると思いますよ」
どのような演技で覆うとも、俯き下を向く、気弱な少女の本質は変わらない。
どのような責め苦の中であれ、前を向き、歩みを止めない勝ち気な少女の本質は、変わらない。
それは演技をすることがなくとも、責め苦の中でなくとも、ふたりの本質は、変わらないと言えるだろう。
緊迫の空間がはじけるように、世界を覆う蟲。
全ての蟲に、遠坂桜は全ての宝石をぶつけた。
遠坂にあって間桐に無いもの。宝石という外部装置。
荒れ狂う風が蟲の世界を吹き飛ばす。
晴れた視界。側面から間桐凛の襲撃。肩甲骨から伸びる、甲虫の節。
硬質の一撃に対抗するは、腰から引き抜いたアゾット剣。
二つの影が、ぶつかる。
……泣いている遠坂桜と、泣いている間桐凛が向かい合う。
最後の、総攻撃。
「……さあ? きっとこうやって戦ってると思いますよ」
どのような演技で覆うとも、俯き下を向く、気弱な少女の本質は変わらない。
どのような責め苦の中であれ、前を向き、歩みを止めない勝ち気な少女の本質は、変わらない。
それは演技をすることがなくとも、責め苦の中でなくとも、ふたりの本質は、変わらないと言えるだろう。
緊迫の空間がはじけるように、世界を覆う蟲。
全ての蟲に、遠坂桜は全ての宝石をぶつけた。
遠坂にあって間桐に無いもの。宝石という外部装置。
荒れ狂う風が蟲の世界を吹き飛ばす。
晴れた視界。側面から間桐凛の襲撃。肩甲骨から伸びる、甲虫の節。
硬質の一撃に対抗するは、腰から引き抜いたアゾット剣。
二つの影が、ぶつかる。
116: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 01:19:40
間桐凛の腹部に突き刺さる短剣。
遠坂桜の両脇を抜け空を切った甲殻の爪。
それが、戦いの結末だった。
「悔しい、なぁ……」
ポタポタと温かいものが遠坂桜の手を濡らしている。
苦しげに呻く間桐凛の身体が、ずるりと傾いていく。遠坂桜は呆然としたまま、勝利を実感できずにいる。
――悔しいと思うなら、最後の最後で、私の身体から爪を逸らさなければ良かっただろうに。
「ねえさん、どうして」
「――りぼんに、気づいちゃった」
――ああ、最後の最後に、たいせつなことをひとつ、思い出してしまったから。
「わたしは、ばかだ」
こうしてふたりして、涙を流し合うことになってしまうのだ――
遠坂桜の両脇を抜け空を切った甲殻の爪。
それが、戦いの結末だった。
「悔しい、なぁ……」
ポタポタと温かいものが遠坂桜の手を濡らしている。
苦しげに呻く間桐凛の身体が、ずるりと傾いていく。遠坂桜は呆然としたまま、勝利を実感できずにいる。
――悔しいと思うなら、最後の最後で、私の身体から爪を逸らさなければ良かっただろうに。
「ねえさん、どうして」
「――りぼんに、気づいちゃった」
――ああ、最後の最後に、たいせつなことをひとつ、思い出してしまったから。
「わたしは、ばかだ」
こうしてふたりして、涙を流し合うことになってしまうのだ――
117: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 01:21:22
このあとふたりは傷を治療して幸せに暮らしましたENDです。
書きたい場面は書いたので、これで投下は一段落です。
お目汚し失礼致しました。
書きたい場面は書いたので、これで投下は一段落です。
お目汚し失礼致しました。
118: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 01:45:18
おつです
戦闘描写が分かりやすくて面白かった
戦闘描写が分かりやすくて面白かった
120: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 07:44:35
おつ、面白かった
ありがとう
ありがとう
122: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 13:02:46
(´-`).。oO(士郎さん全然出てこないな…)
123: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 13:21:09
>>122
このルートだと凛は士郎を好きになることはないんじゃないかな。桜が凛が士郎を気にかけた理由で、士郎を気にかけることはありそう。
凛が士郎を気にかけた理由は手に届かないものを求め続ける自分にはない魔術師としてあるべき姿を士郎に見たから。桜が士郎を好きになった理由は誰も裏切らない人だから。桜は士郎に助けて欲しいとは思ってなかったけども、誰も裏切らない人を好きになった理由は、誰かに助けて欲しいという気持ちがあったからだろう。
凛は助けて欲しいとは思わないだろうから、士郎を気にかけることはないと思う。桜は遠坂の魔術師としての責務から士郎を気にすることはありそう。
このルートだと凛は士郎を好きになることはないんじゃないかな。桜が凛が士郎を気にかけた理由で、士郎を気にかけることはありそう。
凛が士郎を気にかけた理由は手に届かないものを求め続ける自分にはない魔術師としてあるべき姿を士郎に見たから。桜が士郎を好きになった理由は誰も裏切らない人だから。桜は士郎に助けて欲しいとは思ってなかったけども、誰も裏切らない人を好きになった理由は、誰かに助けて欲しいという気持ちがあったからだろう。
凛は助けて欲しいとは思わないだろうから、士郎を気にかけることはないと思う。桜は遠坂の魔術師としての責務から士郎を気にすることはありそう。
124: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 13:32:19
凛が魔術についてどのくらい知ってるのかでも変わるな
魔術について、どうして養子に出すのか、なぜ間桐なのかあたり知ってるのかどうかで大分違いそう
魔術について、どうして養子に出すのか、なぜ間桐なのかあたり知ってるのかどうかで大分違いそう
126: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 15:52:00
雁夜おじさんはどう動くかな
127: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 20:46:06
雁夜おじさんの展開は変わらなそうだけど…
凛ちゃんを遠坂に返してあげるからね、とか言った時の反応は変わりそう
凛ちゃんを遠坂に返してあげるからね、とか言った時の反応は変わりそう
133: 名無しのあにまんch 2021/08/24(火) 21:11:01
>>127
桜の方が葵似の気はするけど、おじさんはちゃんと助けようとしてくれるだろう
でも魔術家系を知ってたら凛の方が断るかも
桜の方が葵似の気はするけど、おじさんはちゃんと助けようとしてくれるだろう
でも魔術家系を知ってたら凛の方が断るかも
140: 名無しのあにまんch 2021/08/25(水) 20:49:14
>>127完全な諦観のきっかけになるな美しい…
128: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 21:30:45
間桐凛と士郎は一見絡み無さそうだけど、可能性は感じる…
129: 名無しのあにまんch 2021/08/23(月) 22:21:44
ゾウケンの命であれ、慎二への当てつけであれ、
士郎との接触はあるほうが自然だし、
「アレを名前で呼ぶのに、私は間桐で呼ぶのおかしくない?」で
士郎は凛を名前で呼ぶことは避けられなくなり
そして穢れた身体がコンプレックスの間桐凛は
「まっすぐ名前で呼んでくれる異性」を意識しないわけがない。
可能性の塊だよ。
士郎との接触はあるほうが自然だし、
「アレを名前で呼ぶのに、私は間桐で呼ぶのおかしくない?」で
士郎は凛を名前で呼ぶことは避けられなくなり
そして穢れた身体がコンプレックスの間桐凛は
「まっすぐ名前で呼んでくれる異性」を意識しないわけがない。
可能性の塊だよ。
130: 名無しのあにまんch 2021/08/24(火) 07:45:26
葵ママが凛と桜の良いとこ取りしたような美人だったけど
遠坂桜はかなり母に似そう
遠坂桜はかなり母に似そう
131: 名無しのあにまんch 2021/08/24(火) 11:24:32
基本は穏やかで優秀なお嬢様
たまにうっかりする系後輩とか
遠坂桜さん属性盛り盛り過ぎない?
たまにうっかりする系後輩とか
遠坂桜さん属性盛り盛り過ぎない?
132: 名無しのあにまんch 2021/08/24(火) 18:04:31
今さらだけど誕生日違う同い年の兄妹とか訳あり感がすごいな…
135: 名無しのあにまんch 2021/08/25(水) 03:01:05
>>132
だから学校内で仲悪くても
複雑な家庭だからしょうがないよなって誰もなにも言わないのに完全に周知されてる空気
だから学校内で仲悪くても
複雑な家庭だからしょうがないよなって誰もなにも言わないのに完全に周知されてる空気
138: 名無しのあにまんch 2021/08/25(水) 20:36:31
>>132
凛の周りとの仲にもよるけど、誕生日名言してなくて慎二と同じだと思われてるとかでも良い
双子じゃないって分かった後に衛宮邸で祝われて欲しい
凛の周りとの仲にもよるけど、誕生日名言してなくて慎二と同じだと思われてるとかでも良い
双子じゃないって分かった後に衛宮邸で祝われて欲しい
134: 名無しのあにまんch 2021/08/24(火) 22:15:13
今度は桜が代わりに…って考えたとしたらおじさんを拒絶するかな
136: 名無しのあにまんch 2021/08/25(水) 12:43:32
わりと魔術師関係なく、凛の学校の居心地悪くなさそうだ
猫を被らなくてやさぐれてても、
一目で察する複雑なご家庭に踏み込めるやつがいねぇw
後藤くんとか面白キャラとして凛の清涼剤になるかもよ
猫を被らなくてやさぐれてても、
一目で察する複雑なご家庭に踏み込めるやつがいねぇw
後藤くんとか面白キャラとして凛の清涼剤になるかもよ
139: 名無しのあにまんch 2021/08/25(水) 20:38:39
マキリがクソ過ぎるけど
遠坂も孤独な魔術修練の日々だったろうし
士郎なんて毎日命がけで魔術回路作っては捨てる日々だし
仮に聖杯戦争が始まる前の時期に、桜が蟲倉の日々に対して、士郎に助けてって訴えたところで
魔術ってそういうモノじゃないのかって士郎にぽかんとされることだってありうるわけだし
こうして振り返ると魔術師なんて碌なもんじゃねぇな
遠坂も孤独な魔術修練の日々だったろうし
士郎なんて毎日命がけで魔術回路作っては捨てる日々だし
仮に聖杯戦争が始まる前の時期に、桜が蟲倉の日々に対して、士郎に助けてって訴えたところで
魔術ってそういうモノじゃないのかって士郎にぽかんとされることだってありうるわけだし
こうして振り返ると魔術師なんて碌なもんじゃねぇな
152: 名無しのあにまんch 2021/08/26(木) 22:43:02
>>139
魔術師が碌なもんじゃないのはそれはそう
多分どの登場人物も同意してくれる
魔術師が碌なもんじゃないのはそれはそう
多分どの登場人物も同意してくれる
161: 名無しのあにまんch 2021/08/29(日) 07:45:48
遠坂桜が言峰に興味ないルートなら
麻婆の継承者が途絶えてしまう……?
麻婆の継承者が途絶えてしまう……?
174: 名無しのあにまんch 2021/09/01(水) 11:09:56
意外と姉さんを返せぇえええええ!な桜になる可能性もあるで
謎の爆発力あるしあの娘
謎の爆発力あるしあの娘
175: 名無しのあにまんch 2021/09/01(水) 22:25:00
時臣の手に負えない遠坂桜は時計塔に留学するんだっけ?
聖杯戦争するにあたって帰国するのか?
時臣死んでるからずっと日本にいるのか?
聖杯戦争するにあたって帰国するのか?
時臣死んでるからずっと日本にいるのか?