【感想】アニメ『迷宮ブラックカンパニー』1話 原作の良さがそのままアニメになっていて面白かった 調子乗ったキンジが痛い目合う流れが見事

二ノ宮「良い天気だ」

二ノ宮「暴風雨の中」

二ノ宮「会社へと向かうサラリーマン達」

二ノ宮「通勤ラッシュで呼吸もままならない電車内」

二ノ宮「凡俗共は朝から大変だ」

二ノ宮「ふっ…ふっ…ふはは」

二ノ宮「はっはっはっはっはっははははは！」

二ノ宮「やった！やったぞー！」

二ノ宮「俺は遂に完全なるニート、セレブプロニートになったぁ！」

二ノ宮「俺のこれまでの努力は今日この日を迎える為にあったのだぁー！」

二ノ宮「貯めた小遣いをスイングトレードに注ぎ込み元手を増やし」

二ノ宮「増えた資産は海外不動産投資に」

二ノ宮「その不動産で得た収入は実務労働無しの固定収入へ！」

二ノ宮「そうして働かずして」

二ノ宮「金が入ってくる土台を作り」

二ノ宮「都内に三つのマンションを建て」

二ノ宮「その最上階に我が居城を構える！」

二ノ宮「負け組では」

二ノ宮「決して味わえない」

二ノ宮「究極のニート生活！」

二ノ宮「ここが俺の」

二ノ宮「終の棲家となっても」

二ノ宮「構わない」

二ノ宮「アルファにしてオメガ」

二ノ宮「俺はここで死ぬまで怠惰に暮らす！」

二ノ宮「ふっ、ふははははは」

二ノ宮「ははは」

二ノ宮「あ？」

二ノ宮「お、おあぁ～！」

二ノ宮「！？」

二ノ宮「え？」

二ノ宮「ぇええええええ～！？」

二ノ宮「ぉああああああっ！」

二ノ宮「っつ～！」

二ノ宮「うあ～」

二ノ宮「なんだってんだ、一体…」

社畜「あん？」

社畜「ん～？」

二ノ宮(は？)

二ノ宮(ぬぁんだ？これぇ～!)

ベルザ「親愛なる社員の皆さん」

ベルザ「今日は朝礼の前にあなた方に問いたい事があります」

ベルザ「あなた方は命懸けで働いていますか？」

ベルザ「なんとしてでも競合他社に勝つ覚悟はありますか？」

ベルザ「もし命を懸けておらず覚悟も無いと言うのであれば」

ベルザ「一度、一度で良いので睡眠時間を削り」

ベルザ「食事の時間を削り、成果を出してみてください」

ベルザ「お客様の感謝を集め」

ベルザ「己の手で出した成果はやがてやりがいという名の宝になります」

二ノ宮(ったく、さっきから都合の良い事をペラペラと…)

ベルザ「仕事はやりがいの原石。ハートにキラリと無限ワーキングを輝かせ」

ベルザ「やる気」

ベルザ「元気」

ベルザ「死ぬ気で」

ベルザ「頑張りましょう！」

ナレーション『二ノ宮キンジ24歳。職業セレブニート』

ナレーション『あの日彼は亜人達の住まう世界アムリアに来た』

ナレーション『古の時代、迷宮には数多の魔物と』

ナレーション『溢れんばかりの財宝が眠っており』

ナレーション『力ある人間達は』

ナレーション『栄光と名声を求め』

ナレーション『果敢に挑んでいたが』

ナレーション『近代化が進むに連れ、その在り方は大きく変容』

ナレーション『迷宮から採掘される魔石がエネルギー源として利用され始め』

ナレーション『国家及びその認可を受けた企業によって管理されるようになった』

ナレーション『その企業の一つ』

ナレーション『ライザッハ鉱業が管理する』

ナレーション『デトモルト真鉱遺跡に』

ナレーション『キンジは辿り着いた！』

二ノ宮「…」

サルヤマ「ぬぁぁああああああ！」

サルヤマ「わー！」

サルヤマ「ははー！」

社畜「サルヤマさんが全裸で踊り出したー」

社畜「サルヤマ先輩ここ三ヶ月、全く休み取れてなかったもんね…」

社畜「限界か？」

社畜「だろうな…」

サルヤマ「だっはっは」

社畜「サルヤマさん、そっち行っちゃダメ」

社畜「そこ、他の部署だから！」

ゴブリン上司「おう、二ノ宮」

ゴブリン上司「先月の成績、結果出たんだが聞きたいか？」

二ノ宮「いや、別に」

ゴブリン上司「別にじゃ」

ゴブリン上司「ねーだろぉ！」

二ノ宮「っ！」

ゴブリン上司「ノルマ達成率15%って冗談にもならねぇ」

ゴブリン上司「てめぇが足引っ張ってるせいで俺らのグループ評価下がっちまったろうが！」

二ノ宮「先月はちょっと体調悪くて」

ゴブリン上司「仕事ってのは体壊してなんぼなんだ！」

ゴブリン上司「いいか？俺が若い頃はなぁ」

二ノ宮「ざけんなボケェ～！」

二ノ宮「クソッ！クソッ！」

二ノ宮「クソォ～！」

二ノ宮「…」

二ノ宮「なんでだ…」

二ノ宮「なんでこの俺が底辺共と肩を並べて穴蔵を掘んなきゃなんねぇんだ…」

二ノ宮「週の休みすらまともに取らせず一日16時間労働」

二ノ宮「あてがわれる社員寮はプライベートなど全く無いすし詰め雑魚寝」

二ノ宮「風呂なんてひと月に1回だ！」

二ノ宮「間違っている」

二ノ宮「こんなふざけた異世界で俺が」

二ノ宮「この俺がぁー！」

ガイコツ先輩「おい、ワニベ！」

ワニベ「はい、何でしょう」

ガイコツ先輩「お前よぉ、わからない事あったら聞けって言ったよなぁ。さっきなんであんなやり方したんだ？あ？」

ワニベ「仕事は見て覚えろって、先輩が…」

ガイコツ先輩「ぁああああん！報告連絡相談でホウレンソウだ！復唱してみろ！」

ワニベ「ほ、ほ、ほうこ」

ガイコツ先輩「声が小っさいぁ～！」

二ノ宮(くそひもじい)

二ノ宮(先月の収入が13万ギリー)

二ノ宮(そこから借金の返済で諸々引かれ、手元に残るのは1万ギリー)

二ノ宮「まさかパン一つがご馳走に思える日が来るなんてなぁ」

二ノ宮「うあっ！」

二ノ宮「まっ、待て！」

二ノ宮「待ってくれぇ～！」

二ノ宮「お前が居なくなったら俺は！俺はぁ～！」

二ノ宮「明日何を食べて過ごせば」

二ノ宮「良いんだぁぁ～！」

二ノ宮「はー、ははぁー！」

二ノ宮(！？)

ワニベ「はぁ…」

二ノ宮「よっ」

ワニベ「！？」

二ノ宮「今、時間ある？」

二ノ宮「ワニベ君」

ワニベ「あ…あの…君、同じ班の二ノ宮君だよね」

ワニベ「今日、午後から姿が見えなくなったって」

ワニベ「班長が凄い怒ってたよ」

二ノ宮「へんっ！あんなサルもどき放っとけば良いのさ」

ワニベ「それにしても何て言うか、高そうなお店だね」

ワニベ「僕と同じ仕事してるのによくこんな所に来られるお金あったね」

二ノ宮「金は無い！」

ワニベ「え？」

二ノ宮「さっき借りてきた」

ワニベ「噂で聞いたんだけど、君1000万ギリーの借金があるって」

二ノ宮「違う！2000万ギリーだ！」

ワニベ「…！？」

二ノ宮「あの時は金というより、ほぼ何も無くてなぁ」

二ノ宮「俺の唯一の資産で金を稼ぐ為にそれらしい所に商談を持ち掛けた」

二ノ宮「だがすぐに金にならないと分かると」

二ノ宮「そいつらは俺を詐欺師と責め立てたんだ」

二ノ宮「底の浅さには参るよ」

二ノ宮「おかげで俺はこんな糞会社で働く羽目になっちまったワケだ」

ワニベ「あのっ」

ワニベ「僕、急用思い出しちゃったから…も、もう、帰るね」

二ノ宮「ホウレンソウの復唱か？」

ワニベ「！？」

二ノ宮「冴えない顔をしている、人生がつまらなくて金も無くて、特別な事が一つも無いやつの顔だ」

二ノ宮「これはお前にとってもチャンスなんだ」

ワニベ「チャンス？」

二ノ宮「昨日までのお前から変わる」

二ノ宮「最後の…な！」

ゴブリン上司「お！コラ、二ノ宮！」

ゴブリン上司「テメェ、昨日サボって何処に」

二ノ宮「班長！」

ゴブリン上司「あうー？」

二ノ宮「俺ら今日、出張行かせてもらって良いすか？」

ゴブリン上司「？」

ゴブリン上司「へはぁ～！」

ゴブリン上司「行ってくれるのか～？出張！」

ゴブリン上司「ふぅ～ふぅ～！そうか！いいぞぉ～！」

社畜「おい、マジかよ」

社畜「あいつら正気か？」

ゴブリン上司「まぁ言いたい事はいっぱいあるが頑張れ！」

ゴブリン上司「怪我しても労災は一切下りねえが」

ゴブリン上司「やりがいはある！」

ナレーション『出張、それはライザッハ鉱業で使われている隠語の一つ』

ナレーション『少人数で迷宮深くに潜り、魔石を掘ってくる作業の事である』

ナレーション『キンジ達の働く作業場は』

ナレーション『地下一階』

ナレーション『遺跡はそこから二階三階と果てしなく深く続き』

ナレーション『奥へ進むほど』

ナレーション『凶悪な魔物達が潜んでいる…が』

二ノ宮「なんでも地下二階ですら魔石の価値は10倍らしいなぁ。しかも副産物の希少鉱石は俺達のボーナスになる」

ワニベ「う、うん」

ワニベ「けど危険過ぎるよ」

ワニベ「うちの探索部でも毎年出張で何人か死人が出てるらしいし」

二ノ宮「見てろ」

ワニベ「消えた？」

二ノ宮「隠し扉」

二ノ宮「地下三階への抜け道だよ」

ワニベ「本当に大丈夫かなぁ」

二ノ宮「大丈夫なように昨日半日かけて準備をしたんだろうが」

ワニベ「皮のマントに冒険者の鎧って不安の残る装備だけど」

二ノ宮「贅沢を言うな」

二ノ宮「そもそも戦うつもりは無いんだ」

二ノ宮「ビンゴ」

ワニベ「凄い…これ全部魔石なの？」

ワニベ「これ…魔除けの聖水？」

二ノ宮「ああ、それでとうぶん魔物は寄って来ないだろう」

二ノ宮「お前は左手側をやれ。俺は右手側を担当する」

ワニベ「わ、わかった」

ワニベ「ありがとう二ノ宮君」

ワニベ「僕ってさ、ドンくさいじゃない？」

ワニベ「職場でもいつも要領が悪いって言われてるし」

ワニベ「こうして必要とされるのが久しぶりなんだ」

二ノ宮「勘違いするな」

二ノ宮「俺にとってお前は都合が良かっただけだ。友人が少なそうだからな」

ワニベ「どういう事？」

二ノ宮「横に繋がりのある弱者は群れようとする」

二ノ宮「大した事は出来ない癖に」

二ノ宮「不満ばかりを言うようになるんだよ」

二ノ宮「生産性の無いルーチンワークを無難にこなして」

二ノ宮「弱者である事を盾にしたから上を見下す」

二ノ宮「世の中に淀みをまき散らす唾棄すべき存在」

二ノ宮「俺はそんな連中を」

二ノ宮「使う気にはなれない」

二ノ宮「何故なら俺は勝者だからだ」

二ノ宮「勝者はただ働く事を由としない」

ワニベ「ふふふ。思った以上に獲れたねぇ」

二ノ宮「これなら掛かった経費に比べても十分な黒字になる」

二ノ宮「ここを俺達で独占できれば」

二ノ宮「相当稼げそうだ」

ワニベ「これ見たら班長とか驚くだろうねぇ」

ワニベ「僕らがこんな成果を上げるなんて」

二ノ宮「んな事はどうだって良い」

二ノ宮「要は如何に俺達が」

二ノ宮「幸せになるかって事だ」

二ノ宮「あん？」

リム「美味しそうなご飯、見付けた」

リム「あれ？」

リム「居ない」

ワニベ「なんであんなのが」

二ノ宮「使用期限3年過ぎてやがる！」

二ノ宮「あのババァ掴ませやがったなぁ～！」

リム「ごはん、どこ行った！」

二ノ宮「！！」

ワニベ「！！」

二ノ宮(おいおい勘弁してくれー！)

二ノ宮(ここで死ぬのか？この俺が！)

二ノ宮(いや、んな事させねぇ)

二ノ宮(せっかく勝ち組ニートへの道が開けたんだ)

二ノ宮(あんなブサイクな化け物に閉ざされてたまるかぁ！)

二ノ宮「良いアイディアを思い付いた」

ワニベ「え？っど、どんな！？」

二ノ宮「お前、囮になれ」

ワニベ「え？やだよ？」

ワニベ「いきなり何を言い出すんだよー！」

二ノ宮「俺に任せろぉ～」

二ノ宮「ふっふふふふふふふ」

ワニベ「う、うさんくさい！」

二ノ宮「俺とお前の仲じゃないか」

ワニベ「どんな仲だよー」

二ノ宮「まぁまぁまぁまぁま」

二ノ宮「ぁあ！」

ワニベ「え？」

ワニベ「ぇえっ！？」

ワニベ「うぐっ！」

ワニベ「たっ、助けて」

ワニベ「二ノ宮君！」

ワニベ「おっ！に、逃げてるー！」

リム「ご飯」

リム「いただきます」

ワニベ(先立つ不孝を)

ワニベ(どうか許し…)

二ノ宮「待てよデカブツ！」

ワニベ「二ノ宮君！」

リム「もう一つのご飯」

ワニベ「そこに居るって事は何か策が？」

二ノ宮「俺は俺を見下ろす奴が大っ嫌いだ！」

ワニベ(え？)

二ノ宮「貴様ぁ、そんなデカブツのクセして話せるくらいの頭はあるようだな」

リム「デカブツ違う。リム！」

二ノ宮(名前まであるのか)

二ノ宮「ならばリム！」

二ノ宮「俺と取引をしよう」

リム「取り引き？」

二ノ宮「俺は飛び抜けて優秀な人間だ」

二ノ宮「このまま俺達を食わずにここで十分な魔石を採掘するまで」

二ノ宮「他の魔物から護衛しれくれるならば」

二ノ宮「人間など比べ物にならんほど」

二ノ宮「美味な物を食わせてやる」

リム「グォオオオオオオ！」

リム「アーーーーーー」

リム「ッハッハッハッハッ」

リム「ハッハッハッハー」

リム「面白い！面白い！」

リム「お前みたいな人間初めて」

リム「いいよ」

リム「リム、お前と取引する。今後ともよろしく」

二ノ宮「ふっふふふふふ」

二ノ宮「はっはっはっはっはっは！吹いてる、吹いてるぞー！」

二ノ宮「この二ノ宮キンジ様」

二ノ宮「勝者の風がぁ！」

ゴブリン上司「いやぁ～～～」

ゴブリン上司「先月のうちの成績」

ゴブリン上司「伸びが凄いなぁ～。えぇ～～」

ゴブリン上司「それもこれも全部、二ノ宮君の出張のお陰だねぇ～」

ゴブリン上司「ありがとう～」

二ノ宮(はぁ…)

リム「あーん」

ゴブリン上司「今日も張り切って頼むよぉ～」

リム「おいしいおいしい」

二ノ宮(くっそぉ…)

二ノ宮(どうしてこうなった～)

二ノ宮(あの日の取引成立で)

二ノ宮(出張は安全に進み)

二ノ宮(更に上手い事こいつを使って)

二ノ宮(一儲けするつもりだったのにぃ～)

二ノ宮(今日も我が家のエンゲル係数は100%超え！)

二ノ宮(なんなんだこの究極の極潰しはぁ～！)

二ノ宮(もっと…)

二ノ宮(もっと稼がねぇとぉ～～！)

二ノ宮「はぁ…はぁ…はぁ…」

ワニベ「二ノ宮君、これ」

二ノ宮「ぇえ？」

ワニベ「マジックアイテムがゴロゴロ転がってる」

ワニベ「なんだろう…」

二ノ宮「値打ち物かぁ～？」

二ノ宮「随分くたびれてるなぁ」

リム「あ…そこ、リムたちのトイレ」

二ノ宮「じゃあこれ、消化し切れなかった…」

リム「うわ！ばっちぃ！」

二ノ宮「クソとか全然落ちてねぇじゃねぇか。どういう事だよ」

リム「消化できたら魔力に変えるのが普通。それよりキンジ、お腹空いた」

二ノ宮「はぁ～？お前よくこの流れで」

リム「お腹空いたお腹空いた」

リム「お腹空いたお腹空いた」

二ノ宮「ちょ、ちょっと待て！」

リム「お腹空いたお腹空いたお腹空いた」

二ノ宮「そんな都合良く飯だって持ってないぞ！」

二ノ宮「あ？」

リム「良かったらこれ、食べてください」

二ノ宮「ぃい！！」

二ノ宮「げっ！こいつ自分の尻尾切り落としてやがる！」

ワニベ「ご安心ください。また生えてきます」

ワニベ「現在待機中です。次の命令コマンドをどうぞ」

二ノ宮「はぁ？どうしたんだこいつ。イカれたか？」

リム「変あった魔力にょ匂いがすガッ…アンちか何かかかってるかもぐもぐ」

二ノ宮「え？」

二ノ宮「もしかして」

二ノ宮「この杖のせいか！」

二ノ宮「はっはっはっはっはっは！」

二ノ宮「さぁ！楽しいお仕事の時間だー！」

二ノ宮「働け働けボケどもぉー！」

二ノ宮「オラ！返事はどうしたぁー！」

社畜達「はい！よろこんでー！」

社畜「あ…」

二ノ宮「おい！てめぇ！何ボサっとしてやがる！」

社畜「ツルハシが…壊れて」

二ノ宮「だったら手で掘れ！」

二ノ宮「指が疲労骨折するまで掘るんだ！良いな！？」

ワニベ(うわー…)

二ノ宮「まったく便利な物だなぁ、このまどろみの杖という物は」

二ノ宮「一時的に対象を幻惑・洗脳し意のままに操る事ができるマジックアイテムか」

二ノ宮「見ろ！連中の目を！」

二ノ宮「完全に死んだ魚の目の様だ！」

リム「しゃらんらーん」

二ノ宮「訓練された社畜と言えどこうはいかんぞ！」

リム「二ノ宮君、やっぱりマズいよ。みんなを騙して洗脳までして」

リム「これ、完全に犯罪だよ？」

二ノ宮「人聞きの悪い事言うな！魔石の採掘量は倍なんてもんじゃなくなってるんだぞ！」

二ノ宮「俺は連中の成績を効率良く伸ばしてやっているだけだ！」

二ノ宮「その手間賃としてほんの少し多く取り分を貰う事の」

二ノ宮「何が悪い！」

ワニベ(え～…)

ワニベ(なんでこの人、こんな間違った方向に自信満々なんだろう…)

ナレーション『こうしてキンジは前後不覚になった同僚を使い』

ナレーション『魔石を』

ナレーション『掘って掘って』

ナレーション『掘りまくった』

二ノ宮「あ～。順風満帆だ」

二ノ宮「やはり俺という人間はこうあるべきなのだ。これからも無能共を使い潰してやらねばな」

リム「ふんっ」

二ノ宮「おいリム、湯船に浸かる前に体を洗え」

リム「面倒」

二ノ宮「まったく…ってお前！風呂ん中で小便しやがったな！」

リム「気持ちいい～」

ゴブリン上司「はぁ…最近疲れが抜けねぇ」

社畜「ええ、俺もっす。脱皮不全で鱗ガサガサっす…」

社畜「頭がぼーっとする…」

ゴブリン上司「しかし今月も更に数字が伸びてるしな」

ゴブリン上司「は…は…は」

社畜達「ふ…ふ…ふ…」

二ノ宮「報告、連絡、相談、ホウレンソウを忘れずに！…はい！」

社畜達「…報告…連絡……相談…」

二ノ宮「声が小さい！元気にいこうぜ！…はい！」

社畜達「報告、連絡、相談…」

ゴブリン上司(なんであいつだけあんなに元気なんだ？)

社畜「さ…」

二ノ宮「あん？」

社畜「嫌だ、もう働きたくない！」

社畜「助けてぇ～」

二ノ宮「おいおいリムちゃん。随分と我儘を言う奴が居るぞ～？ちゃんと杖の効果発揮してるのか～？」

リム「ほーん」

リム「いつも通りだけどー？」

二ノ宮「ここ最近作業効率が落ちてきている」

二ノ宮「チーム編成と分業化を考えて明確な目標値を作るか」

ワニベ「に、二ノ宮君」

二ノ宮「ん？」

ワニベ「頼まれてたポーション買ってきたよ」

二ノ宮「おう」

ワニベ「でも預かったお金じゃ人数分はとても買えなくて」

二ノ宮「問題無い。水で薄めて配れ」

ワニベ「それはちょっと酷いんじゃ…」

二ノ宮「数字が出せてないんだ。当然の事だろ」

ワニベ「二ノ宮君…」

二ノ宮「ぁあ？」

ワニベ「正直みんなもう限界だよ。いつか絶対破綻が来る」

ワニベ「このへんで納めて謝らないかい？」

二ノ宮「またそれか…だったらこれからの稼ぎはどうする？」

二ノ宮「下手に事実関係を探られれば俺達の独占している地下への抜け道もバレて全て失うぞ」

リム(んー？)

二ノ宮「連中は俺に使われる事で幸せになる。リム、もっと杖の出力を上げろ」

二ノ宮「ワニベ」

二ノ宮「俺はつくづく思ったよ」

二ノ宮「人と人は支え合って生きるものだと」

リム「あ」

社畜達「お！？」

二ノ宮「そう」

二ノ宮「上手く這いずってくれる土台が無ければ上には上がれない」

二ノ宮「だからアイツらの様な底辺共を」

二ノ宮「俺の羽ばたく足掛かりにするのだぁ～！」

二ノ宮「さぁ～社畜共よ！働いて働いて死ぬまで働いてぇ～」

二ノ宮「この俺様に貢献するがよろしぃ～！」

二ノ宮「くっはっはっはっは！ひー、ひゃーっはっはっはっはー」

二ノ宮「はっはっはっはー…」

二ノ宮「あれぇ？」

リム「お腹空いた」

二ノ宮「おま…今…」

リム「確かお腹いっぱいにならなかったら…」

リム「キンジを食べて良いんだよね？」

二ノ宮「ちょ、ま」

二ノ宮「待てぇ～～～～～～！！」

ナレーション『二ノ宮キンジ』

ナレーション『異世界での職業、社畜』

ナレーション『彼はブラック企業の悲哀から抜け出せるのだろうか』